orange 第6巻 -未来-

著:高野苺 先生

※本作は、1巻-5巻で完結した
orangeを、今度は須和を主人公と
した形で描かれているお話です。

orange本編を読んでから、
読んで頂けたらと思います。

orange6-未来--1

翔が生き続けた世界。あれから
10年経っても、この6人は
変わらず仲良しでいられた。

そして10年前、10年後の菜穂からの
翔に宛てた手紙に書いてあった場所。

『26歳の春、4月23日。
弘法山の桜を一緒に見ませんか?

この日の夕日がとてもきれいで、
弘法山から見るオレンジ色に染まる
空や街や桜を翔と一緒に見たいです。』

6人と…あとはこの春くん。翔と
菜穂の子供かな~♡そういう詳細
は特に記されてなかったけど…

きっととても幸せな光景だった。
そんな…夢を、翔がいなくなった
世界の菜穂と須和は見ていた。

きっとあの手紙が届いた世界で
翔が生き続けたパラレルワールドの
彼らの思いが届いたんだろうなんて、
そんなふうに思えて仕方なかった。

タイトルの『orange』は‥この
オレンジ色だったりするかな?

orange6-未来--2

6巻の始まりは、5巻から続く
ような彼らの未来の話だった。

そしてその後は須和を主人公と
した話。始まりは多分、10年後
に菜穂と結婚した須和の高校時代、
翔を失ってからの先のお話だ。

サッカーをやめ、菜穂や萩田と
いった友人たちから離れていった。
きっといろんな後悔で考えても
考えても答えなんて出なくて、
辛くて辛くて…いっそ全てなく
なってしまえばいいと思った?

(何が正解かわからないなら全部
捨てよう。大切にできないなら、
持っていても仕方ないから。)

そうやって、気がつくと大学生。
偶然??菜穂と再会したのだった。
新しく出来たお弁当屋さんで
バイトをしてる菜穂を見つけた。

それをきっかけとして、忘れ
ようとしても結局は忘れられ
なかったことを、また考える。

何とかしたかった…変えたかった。
でもこの頃の菜穂はあの頃から
ずっと、翔だけを思い続けてた。

orange6-未来--3

菜穂のすごくつらそうな表情を
見て…もう一度あの頃の笑顔を
見たいと思った。あの笑顔の
目の前にはいつも翔がいた。
翔が菜穂としたがっていたこと
を、翔の代わりにやってみた。

彼女が出来たらやってみたい
と昔須和と翔が話してた時に
翔が言っていたことを、だ。

その第一弾は大成功だった。
菜穂がまた、あの頃のような
笑顔で笑ったのだ…嬉しそうに。

(菜穂には翔が必要だった。)

別に、翔の代わり…とかそう
いうつもりはなかったのかな。
翔だったらこうしてた…翔なら
菜穂を笑顔に出来る…そうゆう
ふうに考えての行動だったかな?

ずっと学生の頃は迷っていた。
自分が好きな菜穂が翔を好きで、
菜穂の気持ちなんて知らずに
須和を応援しようとした翔の
気持ちが須和にはわからなかった。
翔こそ、菜穂を大好きだったのに。

それからも、須和は菜穂を笑顔に
したいがために、似た行動を続けた。
翔がしたいと言っていたことを。

orange6-未来--4

ある時、翔と3人で…と花火に
なほを誘った。3人分のかき氷を
買って、翔の分は須和が食べた。

花火を見ながら、翔が言いたい
と言っていた言葉を伝えた。

「菜穂、浴衣…可愛い。」

須和なら絶対に言わなかった言葉。
でもここにいるのは須和で…きっと
翔なら言わなかった言葉も加える。

「好きだよ、ずっと好きだ。
高校の時からずっと…。」

すると菜穂はまた、どこか寂し
そうな遠い目をしてこう返す。

「…私は、翔が好き。
ずっと、一生好き。」

翔の思い、菜穂の思い…そして
須和の思い…須和は自分をズルい
奴だって思ってしまうようになる。

きっと、翔や菜穂のように真っ直ぐ
すぎる思いで動いている人を見たら
…見ていたからそう感じてしまった。
菜穂にまた寂しい表情をさせてしまう。

菜穂をあんなふうに思える翔。
須和はずっと翔になりたかった。
翔のふりをして、翔のしたかった
ことを菜穂にたくさんしてきた。

それらが俺でなくて翔だったら、
菜穂はどんなに幸せだったろう。

(翔の代わりになれなくてごめん。)

…須和はズルいんじゃない…きっと
ただひたすら優しすぎたんだな。

orange6-未来--5

「菜穂の嬉しそうな笑顔が
見たい。翔が必要なんだよ。
俺じゃ…ダメなんだよ…。」

自分の中では自分を責め続けた須和。
いろいろやって来た上で、やはり
自分じゃダメだと感じていたんだ。
そんな須和に対して萩田は言った。
アズがそう言ってたって話だけど。

菜穂を笑顔にしたのは、ここに
いない翔じゃなく、須和なんだと。

翔を救うことに成功した後の
須和もね、相変わらず自分に
全く自信がなくてズルいんだ
なんて言っていたことがあった。

本人に悪意なんてなかったろう。
ただ菜穂を笑顔にしたいから…
それだけのためにやってきた。

須和は本当に、すごく良い奴で、
優しすぎるからすぐ自分を責めた。
10年後の彼になる須和も、10年前
高校生の須和も、菜穂が大好きで
菜穂のために必死なだけだった。

「今…高宮が向き合ってるの
はおまえだ。救ってやれよ。
おまえしかいないんだから。」

萩田は須和に、そう言った。
…ここで須和はどんな行動に出る?

orange6-未来--6

これでダメだったら、諦める。
そんな覚悟で挑んだ菜穂の誕生日。

翔が言っていたのは、漠然と
何かサプライズをしたいという
内容だった。須和のサプライズの
センスなんて、酷いものだった。

翔が大笑いしていたもの、
面白い、とwそれでも彼なりに
一生懸命サプライズを考えて
この答えを出したんだろうと思う。

菜穂の誕生日に、プロポーズをした。
もちろん、付き合っているとか
そういうのはない…いろいろと
順番をすっ飛ばしたプロポーズw

「俺は翔にはなれないかも
しれない。どんだけ頑張っても
アイツには勝てないと思う。」

「この先も翔の事で泣く事や辛い
事だってあるかもしれない。けど、
その度に俺が菜穂を幸せにする。」

須和のプロポーズに、菜穂は
少し困ったような…複雑そうな
表情を見せたように思えた。
そして少し時間が欲しいという。
…菜穂は、どんな決断をするだろう。

今までの須和の思いや行動は、
菜穂にどんなふうに届いたろう。

orange6-未来--7

それから少しした頃、菜穂は
プロポーズの返事をしたいと
言ってきた。須和と再会して、
色んな所で遊んだ日々を思い
彼女の感じたままに話し出す。

そこで菜穂が嬉しかったと
話す内容は、どれも翔が菜穂と
したいと話していたことばかり。

(違う。全部俺じゃない。全部俺が
翔が菜穂としたかった事だ。翔のフリ
して菜穂を喜ばせたかっただけだ。)

そう思ってうつむきかけた須和に、
思いもよらなかった菜穂の言葉。

「…でも、一番嬉しかったのは
誕生日にプロポーズしてくれた事。
生まれてきて、一番幸せだと思った。」

これは、紛れもない須和だった。
彼の不器用なりに全力なサプライズ。

高校の時の告白も、花火の時の
告白も…菜穂は嬉しかったと話す。

菜穂はとても優しい子だから、
昔翔と喧嘩をした時なんて
自分を責めて責めて…自分が
大嫌いだなんて言っていた。

そんな自分を好きだと言って
くれる須和の言葉に救われた。

今になっても、あの頃と
変わらず好きと言ってくれて
すごく嬉しかったんだって。

翔への思いはウソではない。
きっと本当に大好きだったろう。
それでも今の菜穂は翔を思って
とてもつらそうな表情をする。

大きすぎる後悔から、勝手に
背負ってしまっていたのかもな。
そんな菜穂に、そうじゃないんだって
気付かせてくれたのは須和だった。

ああ…良かった…。
これできっとまた菜穂は、
前に進める、須和もね。

~ひとこと~

6巻でした。どうだったでしょう?
いや~ほんと毎度泣かせてくれる。

今回は須和編と言った感じで
描かれているストーリーでした。

そしてこの先もおそらく、他の
キャラクターを主人公とした話
が続いていくのかな…??詳細は
まだわかりませんが、月刊
アクションの方ではそういった
情報も上がっているようでした。

まだ彼らの世界を楽しめる。
私には、そんな思いすらあり、
これからもレビューを書くのを
楽しみにしているところです。

また、お付き合い
頂けたらと思います。