著:小島美帆子 先生

麗花は桐生さんに触れたこと、桐生
さんは麗花に触れられたこと‥ほんの
小さな1歩でも2人にとってはとても
大きな第一歩だったようだった。
でもそんな気分もそう長く続かない‥
2人の関係を怪しんだ高塔さんが
麗花に真実を問いただそうとした。
タイミングが合わずに答えを聞くのが
先送りになっていた頃‥高塔さんは
早乙女くんが麗花に好意を持ってる
ことを思い出したのかもしれない。
そして協力関係を求めた。
麗花を好きな早乙女くん、
桐生さんを好きな高塔さん。
互いの恋を応援する仲として。

恐怖症という秘密を話さないで
2人の関係をどう伝えたらいいか
わからなくて怪しい態度の麗花に、
出してきた提案がこれだった。
付き合っているとかでないなら
自分の恋を応援してほしいという。
麗花の中で、自分でも理由がよく
わからないドキドキやもやもやを
感じることはあったけど、それが
恋だなんて思いもしなかったろう。
この時麗花には、そう答えること
以外選択肢はなかったみたい。
妙なことにならないといいけれど。
麗花と桐生さんは苦労しそうだね‥。

高塔さんを応援するという話の後、
桐生さんとの接し方に悩むように
なってしまったのか桐生さんを
あからさまに避けはじめた麗花。
さすがに桐生さんに問い詰められた。
あくまで高塔さんの桐生さんへの
気持ちは伏せ、関係を疑われている
ということを伝えると自分から
うまく話しておくと言ってくれた
桐生さんだったが‥簡単ではない。
「二ノ宮も誘ってみんなでご飯
しましょ。それなら来てくれるでしょ?」
ということで高塔さん、麗花、桐生さん、
早乙女くんの4人で飲みに行くことに‥
そこで、高塔さんに対して応援すると
言ってしまった麗花と協力関係を受けた
らしい早乙女くんは高塔さんに逆らえず、
少しの間高塔さん達を2人にすべく離れた。
その先で桐生さんを心配する麗花に、
早乙女くんは一定の距離を開けたまま
話しかけて、この間の謝罪をしてきた。
早乙女くん‥きっと人としてはとても
いい人なんじゃないかなって思えた。
本当にただただ麗花のことが好きな
だけなんだろうって‥ちょっとビク
つきながら必死になって謝罪して‥
彼の態度に、麗花は和解を選んだ。
秘密は相変わらず秘密のままだけど
どんな形でも麗花のことを理解して
くれる存在が増えたら‥きっと今後
良い変化に繋がるかもしれないよね。
今の早乙女くんには酷かもしれない
けど、麗花のプラスになる存在に
なってくれたらいいなと思った。

麗花達が席を立っている間、桐生
さんは酷く泥酔してしまっていた。
高塔さんは桐生さんにだけやたらと強い
お酒を出すように店員さんに言ってたの。
しばらくは寝てしまいそうなくらい
曖昧な意識で座り込んでいた桐生さん
だったけど、そのすきにキスしようと
動いた高塔さんを止めると喋りだす。
「俺の…何がそんなにいいの…?大切
なものも守れない…どーしようもない
やつなのに…本当の俺を知ったら
みんな引くよ!?絶対に…っ。」
言い終えると、ついには泣き出してしまう。
桐生さんがまだ麗花にも話していない何か。
女性恐怖症と関係があるかもしれない過去。
真相はまだ謎の中‥そんな気になる
ことを口走った後、無理やりタクシー
に乗せられ帰らされることになる。
その去り際‥心配して声を掛ける
麗花を、桐生さんは菜子と呼んだ。
高塔さんはもちろん、麗花だって
何もわからない状況で混乱したろう。
酔って話したことと菜子という名前。
まだまだ謎なことばかりです。

菜子のことで真実を問い詰めに桐生
さんのもとへやってきた高塔さん。
言葉で伝えても何も答えてくれない
桐生さんに、今度は服をはだけさせて
体で訴えかけようとする高塔さん。
彼女なりのやり方だったのかもしれない
けど、桐生さんに対してそれは逆効果。
彼の抱えるトラウマ、どちらかと
言えば大切な人を自分のせいで
傷つけてしまった、守れなかった
という方向のトラウマなんだろう。
その大切な人が何者なのか、菜子が
彼にとって何なのかわかるのはまだ先。
でもこの出来事のせいで、桐生さんは
女性恐怖症をさらにこじらせてしまう。

二度目のカウンセリング会をした。
桐生さんの様子を見て、麗花の誘いで
空気の美味しい場所へ行くという話に。
そこで登山なんて選択をしたおかげで
互いに身体を預け合うことになった。
急な斜面を先に桐生さんが登って
麗花を引っ張り上げようとするも‥
失敗して2人は下に落ちてしまった。
その時の桐生さんの怯えよう‥
彼の女性恐怖症、女性が傷つくのが
何より怖くて触れることも出来ない。
そういうことなんだろうなと思う。
麗花はわざとかってくらい元気に
笑顔をみせて大丈夫だと口にした。
桐生さんや早乙女くんと関わることで、
男の人だからといってみんな怖いわけ
ではないと少しずつ理解し始めている
麗花のように、桐生さんも麗花や‥今回
は悪く影響したけど高塔さんを通して女の
人もそんなに弱くないと気付いてほしい。
そんなに気負わなくても大丈夫だって。

カウンセリング会の帰り道‥正直ずっと
桐生さんは調子がよくなさそうに見えた。
「…俺、さ。なんか……
カウンセリング会やるの
……難しい、かも。」
ここ最近の調子悪そうなことに関して、
何かあったかと聞いても桐生さんは
何も教えてはくれなかった。そして、
過去のことだって何も話してくれない。
過去のことや自分のトラウマについて
全く語ろうとしない桐生さんに対して、
話せる範囲でいいから教えてくれたら
もっと力になれるかもしれないからと
必死に伝える麗花だったけど‥
桐生さんはそれを思い切り拒絶した。
麗花の方は、ゆっくり、ほんの少し
ずつだけど前に進めている気がした。
でも桐生さんの方は、進むことを
拒絶しているようにも思えた。
変わっていけるのかな、この2人。
今のままって、きっとつらすぎる。
~ひとこと~
2巻でした。麗花のトラウマを克服させる
ことに対しては前向きなのに、自分のこと
にはどうも後ろ向きな様子の桐生さん。
一体何が彼にそうさせているんだろう。
‥トラウマっていうのは、きっとそう
簡単に何とか出来るものではない。
それでも治したいと立ち向かうのは
きっとすごく勇気がいると思います。
だからこそ、その勇気を出した2人が
さらに変わっていけることを信じたい。
そして、麗花にほんのり芽生え始めてる
無自覚な思いの正体にも、ちゃんと
自分で気づける日が来ますように。
それではまた3巻で ☆