私のオオカミくん 第3巻

著:野切耀子 先生

自分が感じている気持ちが
何なのか…それを淡路くんに
言われて初めて気づいた様子。

どう見てもね、そうだった。
同じ気持ちで応えることが
出来ないと言ってた時だって
ほんとは同じでもそうだって
気付けなかっただけなのかも。

だってあの頃から既に、こむぎ
に対する執着は強かったもの。
もう1度こむぎとちゃんと話を
しよう…そう思った大神くん。

(大神くんとのすれ違いは、中途
半端な私の行動が招いたのかも。)

このままじゃダメだ…そう考えた。
だから、もうやめる…そう話した
こむぎは、方法を問われて新しい
恋を探すととっさに答えていた。

周りにそんな話をしてる人が
いたとか、淡路くんがそんな
ことを言ってきてたとか…
そこから出た答えと思うけど。

それに対して、伏見くんからは
きっとかなり想定外の返事が来る。

「協力してやろうか?
“新しい恋”の相手役。」

考えておくように言われ次の日、
答えを求められたこむぎだけど…

こんなふうに思えるくらいまで、
伏見くんの中でこむぎの存在は
他とは違う人間になってたのね。

この点だけなら、すごくいい
変化なんだろうなって思う。
でも彼の言葉にこむぎは、
断りの言葉を返した。

「利害とかそういうのとは
別のところで考えたいから。」

だからやめておく…と。
それに対して、伏見くんの反応は
心なしか嬉しそうなものに思えた。
断られたことより、こむぎのそう
いう考え方に対してだと思う。

この後大神くんに対して好きなのを
やめる宣言をしたこむぎは、少しだけ
心が軽くなっていったのを感じていた。

でも大神くんにとっては、やっと
自分の気持ちに気付けたのにその
思いは行き場を失ってしまった。

「どうやら君の存在は彼らをいたずらに
かきまわすだけみたいだ。彼らのことを
思うならどうか、離れてくれないかな?」

伏見くん達とは比べ物にならない
程強い催眠をかけられるであろう
センセイ、彼はこむぎの記憶を消し
この村から出て行かせようとする。

でもその時、催眠は思うようには
かからなかったのだろうか…。

「あれ?なんで既に…あ、
もしかして君あの時の-。」

センセイが1人で納得してる間に
こむぎはその場を逃げ出した。

家に帰ると、こむぎはセンセイが
言っていたあの時というのを気に
して昔の話を父親に聞いてみた。

すると4~5歳の頃ここに来ていて、
でもそれ以降母親が来たがらなく
なったという話をしてくれた。

…何かあるのかもしれないね。

「楠木さんいなくなっちゃうよ。
センセイって縄張り意識強いでしょ。

想定外に結と燐のやわらかいとこに入り
込んだ『人間』、かきまわし不和を招く
存在っていうのが楠木サンに対するセン
セイの見解。追い出そうとしてるみたい
よ、母親のところに帰らせるって-。」

そんな話を淡路くんから聞いた
大神くんと伏見くん。そんな
タイミングで、こむぎの母親の
仕事が落ち着いてきて東京に
戻ることも出来る…という連絡
がこむぎの元へやってきた。

自分の存在で彼らを乱すのなら
ここにいない方が…と悩んだりも
しながらだろう、一度話をしに
母親の元へ行っていたこむぎ。

それを知って、彼女はもうここを
去ろうとしているんだろうと諦め
の態勢を取り始めていた大神くん。

そんな彼の背中を押してくれた
のは、友人達の言葉だった。

やっと出した答え。
今度こそ、もう逃げないで
まっすぐ立ち向かえるといいね。

母親の元を訪れたこむぎは、
父親に聞いた昔の話を尋ねる。
何かあったんじゃないかと。

すると、ある繋がりを知ることに。
そこで高校の時の同級生に会ったと
いう母親。そんな友人が、おかしな
ことを言っていたのが気になって山へ
行ってみるとどこからか視線を感じる。

母親の経験していたことはそれだけ。
でもその頃、こむぎは山を遊び場に
していたのだという。そして問題は、
その友人の名前だ。『大神百合』。
…彼女は大神くんの母親だろう。

「もう遅いって言われちゃうかもしれない
けど、俺、こむぎちゃんが好きなんだ。」

東京の母の元から北海道に帰ると、
そこには大神くんが待っていた。

想像もしていなかった突然の告白。
一度フラれているのにと真意を
疑うも、大神くんは本気が伝わる
ように頑張ると言ってくれた。

きっとこの2人は、これから少し
ずつこれまでの溝を埋めていける。
だから、諦めずに頑張って!!

すっかり応援態勢だったのに…
東京から戻ってきたこむぎは、
大神くんを含めた4人と話をした。

その結果推測されたこと。

・昔こむぎと大神くんは
何らかの接触があった
・その時大神くんとこむぎは
センセイに催眠をかけられた
・既にセンセイに術をかけられていた
から伏見くん達の催眠は効かなかった

全てはセンセイが握っている。そう
わかったところでやってきたセンセイ。

「君戻ってたんだね。
余計な情報を携えて。」

こむぎの、彼らに関する記憶は、
全てセンセイに消されてしまった。

~ひとこと~

いろいろと問題は多かれど、少し
ずつ少しずつ変化していい方向に
行ってると思いたかった。でも
最終的には消されてしまった記憶。

…次巻最終巻です。どうなるか。