てをつなごうよ 第5巻

著:目黒あむ 先生

小豆の手を握り気持ちを伝えようと
した千花だったけど、どうしても
手が震えてしまう‥その手を小豆
がギュッと握ると、震えは不思議
と消えてしまったようだった。

小豆の手が、小豆の行動が、
小豆の気持ちが‥きっと全部
千花にとって大切なもので
大好きで仕方ないんだろう。

「好きだよ小豆。
小さい頃からずっと。」

告白‥してる所にタイミング
悪く来てしまったのは美月。
怪我をして保健室に行った
ということを知り、心配して
来ただけだったんだろうけど‥

「逃げるぞ。」

今この小豆との時間を邪魔されたく
ないから。向き合うと決めたのに
邪魔が入りまた逃げたくないから。

保健室の窓から2人は上履きのまま
外に‥手をつないだまま走った。

告白したことで困らせるかもしれない。
それでも伝えたのは、ただの幼なじみ
じゃなく一人の男としてみて欲しい。
そのために伝えたことだと話した。

だから返事は焦らないし、ふられる
つもりで告白したわけでもないと言う。

真っ直ぐに思いを伝えてくる千花に、
自分の不甲斐なさとか上手く出来ずに
結局傷つけてしまったことの後悔‥

小豆も、正直な気持ちを話し出す。
でも最終的に傷つけたくない、これ
以上どうしたらいいかわからない‥
となって何も言えなくなってしまう。

「ちゃんと聞くから、小豆が
思ったことそのまま言えばいい。」

ふられるつもりで言ったわけじゃない
けど、どんな答えが返ってきても
受け入れる覚悟は出来ているからと。

そこでようやくこれまで考えた
こと、思ったこと、今の気持ち
を少しずつ口にしだした小豆。

男の人として見てること、スキン
シップに対して気恥ずかしさを
覚えたり、当たり前だった距離感
に緊張してしまったり‥でも、
それが好きということかどうかは
まだよくわからないままで、でも
自分の中でもやもやする部分が
あって‥ちゃんと考えて答えを
出すから、隣で待ってて欲しい。

‥もしかしたら、千花は最終的に
ふられてしまう覚悟もしてたのかも。

それでも小豆の気持ちは予想外で、
でもすごく嬉しいものだったから‥
言ってよかったんだろうと思う。

最終的に小豆がどんな答えを
出したとしても、大きな一歩。

この後夏咲きのコスモスを見つけて
千花が大事にしてる押し花の話題に。

「お前からもらった俺の宝物だからな。」

小豆は気付いてなかったみたい
だけど、ようやく押し花の正体
を知って‥随分動揺していた。

幼い頃からずーっと、大事に
想われ続けていたんだよ。

怪我のことで心配していたのに、いつ
まで経っても帰ってこない2人‥やっと
戻ってきたのを見つけた時には、2人の
距離感はこれまでとはなんだか違ってて‥

何かあったんだろうと思ったのに、
美月は怖くて何も聞けなかった。

そんなだから学校でも美月はどこか
様子がおかしくて、心配した善くんが
電話をくれて相談してみることに。

恋のライバルがいること、自分は
その人に何も敵わないと感じている
こと、それでも頑張ろうとしてたけど
今日2人の様子を見て、どうしたら
いいかわからなくなってしまったこと。

善くんに相談すると、思いもよらな
かった提案をされることになる。

球技大会‥千花はバスケに出る。
そして美月もバスケを選んでて、
敵チームとして戦うことになる。
そこで勝って自信にするための
練習をしようという提案だった。

(心が少し軽くなった。)

実際勝てるのかわからない‥まず
美月すごく体力ないイメージ 笑
でもそのための努力の時間だって、
その上更に勝てたりしたらきっと
自信はつくんじゃないかって思う。

美月、いい友達持ったなと思った。
悩みに一緒に向き合って一緒に
戦ってくれる心強い友人だね!!

結果は最後までわかんなけど‥頑張れ!!

球技大会当日‥初戦から戦うこと
になった千花と美月のクラス。

どちらが多く得点するか‥美月が
一方的に挑んだ戦いだったが練習
の成果もあってすごくいい勝負。

得点数を追い抜いて後は千花の
得点を止め続ければ‥そう思い
一瞬気を抜いた時‥顔面にボール
を思い切り食らって美月KO!!苦笑

気絶から目を覚ました時には試合は
終わっていて、千花が3ポイントを
2本決めたとかで千花のクラスの勝利
‥美月の勝負も敗北に終わってしまう。

落ち込んだり悔しがったり、そんな
気持ちのせいで看病してくれてた
千花にお礼も言わずに逃げてきて
しまった美月だったけど、最終的
に探し出されてしまったみたい。

千花に何も敵わないと感じていて
何か一つでも勝てることを見つけ
自信をつけようと思ってたこと、
それすら失敗に終わったこと。

「…俺、橘さんがうらやましいです。
橘さんみたいになりたかった…。」

そんなふうに話す美月だったけど、
千花も同じ気持ちを口にしてきた。

「俺はずっと柊くんが羨ましかったよ。」

男である以前に幼なじみで、兄妹
みたいな関係だった。近すぎて、
男として意識してもらえなかった。

そもそも、小豆が初めて異性と
して興味を持った男の人は美月。

羨ましいとも感じるよねそりゃ。
美月は千花に敵わないと思った。
千花だって先を越されたと思った。

互いにいいやつだって知ってるから
悔しい羨ましいって思うんだよね。

「…柊くんは超強力な
俺のライバルなんだから。」

なんて言って自分で恥ずかしくなって
しまうような千花だったけど‥ほんと
千花はすごくいい男だって思うよ。

(…俺は自分の事ばかりなのに
…本当かなわないなぁ…。)

美月がそう思ったこと、千花は知らない。
でもこれでやっと前に進めそうかな‥??

「小豆?」

って後ろから呼ばれて振り向いた
そこにいたのは、千花が会ってた
3つ年上のお姉さん‥知り合い!?

この瞬間は本当にびっくりした。
まほねぇ = 久木 茉帆

昔同じ団地に住んでいたという彼女は、
小豆と千花にとってお姉ちゃん的存在。

ある程度大きくなってからはまあ‥
千花といろいろあったんだろうけど
きっとそうなるより更に前の話ね。

偶然再会した2人、少し話そうって
ことで茉帆の部屋に呼ばれたんだけど
その部屋の場所には見覚えがあった。

いつだったかこの部屋から千花が
出てきたっていう記憶。千花は
未だにまほねぇと会ってたんだ、
団地出た後も連絡とってたの‥?
とか考えてモヤついてしまう小豆。

さてさて‥今の小豆の状況をきっと
半分くらいは知ってるまほねぇ。
なにか言ってくるんだろうかね‥?

いきなり、告白されたんだって!?
返事どうすんの?なんて突っ込んだ
ことを聞いてくる茉帆に対して、
テンパりながらも自分の気持ちの
答えが出せない部分を話してみる。

美月を好きなら千花には断るべき
なのにそれが出来ない。そこから
どれだけ考えても答えが出せない。

でもそれに対して茉帆が言うのは、
やっぱりちょっときつくて‥でも
核心をついた言葉だったと思う。

「ふたりの事天秤に
かけてるってわかってる?」

最初きついこと言ったけど、やっぱ
それも事実で、それを理解した上で
ちゃんと自分の気持ちに気づかなきゃ
いけない‥考えようとしても、ずっと
わからないままでいた小豆の気持ち。

茉帆に言われたことで、少しは
考え方が変わるかもしれない。

きっとどっちも大事なんだと思う。
だからこそ迷ってるのかもしれない。

それでも‥頑張れ小豆。ちゃんと
気持ちを見つけられるように。

ハロウィンの日‥
昔のことを思い出した。

幼い頃の小豆は、いじめられっこの
千花を守ってあげたいと思ってた。
千花が元気になればいい、泣いてる
のは見たくない、ずっと笑っていて
くれたらいいのに‥そう感じてた。

そしてきっと‥それは今もある、
変わらない思いなんだろうと思う。

気付くと小豆は千花の手を握ってた。

理由はわからなかったみたいだけど、
なんだか、気持ちがぶわーってなって
気付いたらって感じだったみたい。

幼い頃から千花が大好きで大事で
仕方がなかった‥それが恋では
なかったにしろ、こんなに強い
気持ちはきっと恋以上かも‥

小豆、少しは答えに近づけたかな?

~ひとこと~

小豆の気持ちが動いていく。
ゆっくりだけど、進んでく。

それで誰かが傷付くことになるかも
しれないけど‥それでも小豆には
ちゃんと答えを出してほしいと思う。

それが、小豆自身のためであり
そんな小豆を思う2人のためだから。

‥でも、千花なのかな。
小豆にとって1番大切で
手を取りたいと思う相手。

もう答えは目前な気がする。