著:タアモ 先生

基を好きだと伝えてから、
基があからさまにおかしい。
困らせてしまったんだと知ると…
「昨日のは冗談だから
気にしなくていい。」
そう言うと、怒りはすれど、
とても安心した態度を取る基。
昔から泣くのを我慢してきた子。
気持ちを押し殺して生きてきた子。
…慣れてはいけないものに
慣れないと生きてこれなかった。
こんなん、可哀想すぎるよな。

空海(くうかい)というHNで
小説を書く真魚に、いつも
感想をくれるラジカルという
HNの…覚えてますでしょうか。
この女性、基の会社の杉本さん。
偶然にもネット上で連絡を
とっていたラジカルさんと
結構近い所に住んでいると
分かり、会ってみることに
した真魚…そして今に至る。
基がハマっている携帯小説、
空海(基はそらみって読み
間違えていたけれど)を読んで
いるのを見つけた杉本さんが
嬉しい…なんて言っている
シーンが有りました。
基はそれを見て、空海さんの
正体は本当に杉本さんか!?
なんて考えていたけれど、
杉本さんは空海の一ファンで
同じ好みなのが嬉しかった
って意味の言葉だったのかも。
ここでちょうどいい距離感
(遠いという意味で)の彼女に
基のことを話してみた真魚。
すると、ラジカル…杉本さんも
同じ会社の人に恋してるとか…
ふふ…嫌な予感しかしません。

基の弟、大樹が帰ってきた。
とはいえ、一時的に墓参り
も兼ねて顔を出した感じ。
真魚が家にいることに反対
だった大樹だったけれど、
基と話して、真魚と話して…
「我慢してるよ、今だって
ずっとしてる。本当は基だって
すごくさびしいんだ。だから早く
帰ってきてほしい、大樹にも。」
「母さんが『真魚ちゃん、家で
ご飯食べていきな』って今でも
言ってる気がするんだ。真魚のこと
もだけど、俺のこと心配してさ。」
雨の日にはいつも傘を持って
迎えに来てくれた母親と、真魚
が少しだけ重なって見えた。
大樹の中で、真魚が、基が
少しだけ違って見えたとき。
「帰ろう、兄貴の言った
とおりな気がするし。」
真魚の存在をきっかけに、基も、
大樹も少しずつ変わってく。
そのあと大樹は帰っていったけど、
なるべく早くこの家に帰れるように
相談してみると言ってくれた。
基の望む家族のいる温かい家。
そう遠くはない話かもしれない。
基の願いが叶う…そう思うと
嬉しい半面、みんな帰ってきたら
自分は出て行かなきゃいけない…
そう、また不安に思っていた。

ある日、基が空海の小説を読んで
いるのを発見してしまう。そして
会社の人がこれを書いてるんじゃ
ないかと思っているって話を聞いた。
その時は、ただ混乱していた真魚
だったけど、ある日杉本さんの
部屋に遊びに行くと、そこで偶然
見つけてしまった…基の写真。
「好きな人の写真、
見られちゃいました。」
顔を真っ赤にしてそう話す杉本さん。
やっと友達ができたと思っていたのに、
彼女の好きな人は自分の好きな人で…
基が前に話していた会社の人は
ラジカルさんなんじゃないか?
基はラジカルさんが好きなのか?
モヤモヤして仕方がなかった。
恋も、家族も、どこにいたって
自分は邪魔者なんじゃないかって。

いつもいつも、自分の悩みとか
一生懸命になって相談に乗って
くれていた織田くん、どうして
自分にそこまでしてくれるのかと
疑問を述べると…真魚には想像も
付かなかった応えが返ってきた。
「好きだからだろ。」
母親だと偽ってずっと相談
していた相手が実は好きな人だと
真魚は織田くんに告白していた。
そんな真魚の思いを知った上で
織田くんは思いを告げてきた。
…なんとまぁ…どうしたことか。
真魚は、友達(杉本さん)と同じ人を
好きになってしまったと織田くんに
相談していたんだけれど、彼は
勘違いしてクラスの違う真魚の友達
(ちーちゃん)に大丈夫か?なんて…
こちらはまた別のお話ですね。

家に帰ると…犬!?
「新しい家族だ。」
「会社から帰れない日があるから
ずっと飼えないなって思ってた
けど今は真魚がいるからな。」
「名前はコロッケとかどうだ?」
(コロッケ:空海の小説に
出てくる犬の名前w)
基の行動にどこまでの意図が
あったのかわからないけど、
真魚がいるからって言って
くれたのは、自分がここにいる
ことを認められているようで、
ちゃんと必要とされているって
言われてるようで、嬉しかった。
~ひとこと~
織田くんのことは?
杉本さんのことは?
まだまだ不安要素が付きない。
ちーちゃんは織田くんのことが
気になるふうな所がありますし…
中村家が少しずつ修復されてく
温かい空気を感じつつ、真魚の
周りはまだまだ問題がたくさん。
真魚の父と義母のこともあるし。
とても温かい雰囲気の中で、
常に自分の居場所っていう
不安を抱え続けている真魚。
基は、ほんとの家族と同じ
くらい真魚を大事にしてる
気もするんだけれど…そう
簡単には安心できないよね。
真魚は、諦めることとか
我慢することに慣れすぎてる。