ぴんとこな 第15巻

著:嶋木あこ 先生

ぴんとこな15-1

ヒロキの方は少しずつでも
回復に向かう一方で順調。

でも、河村の親父さんの方は
日に日に弱々しくなっていった。

そんな状態で稽古に集中出来る
河村ではなかった。毎日稽古も
そこそこに病室を覗き見に来る。

顔を出したら怒られるだけだと
思っているんだろうか、室内まで
見舞いに来るようなことはないが
親父さんにはしっかりバレている。

何もしてやることは出来ない。
もう見守ることしか…それでも、
心から彼を信じてくれていた。

同じ院内、偶然それを見つけて
挨拶に来たヒロキだったが、
親父さんの言葉を聞いてまた
1つ決心をしたようだった。

ヒロキも河村も、それぞれ違う
ところで脆さを持っている。
それで崩れそうになった所を
支えて引っ張ってきたのは、
この2人だから出来たことだ。

まだ入院しているヒロキだけど、
いつまでもここにはいられない。
早く退院して復帰して、今度は
ヒロキが河村を持ち上げる番。

ぴんとこな15-2

親父さんと一緒に演る予定だった
「連獅子」この状態では中止か
代役を立てる他ないだろうという。

父親があの状態で、乗り気じゃない
河村だったけど、恵利左衛門は代役を
立ててでもやるべきだと話してきた。

親父さん…どう足掻いてももう先は
長くない。そうなんだろうな…。

これから先のために、河村は今
頑張らなきゃいけないときだろう。
米駒屋がこうやって助けてくれる
今のうちに、出来る限りのことを
やっとくべきなのかもしれない。

気持ちの面では辛いかもしれない。
でもそれもこれも親父さんのため、
今後の木嶋屋を引っ張るためにも。

ぴんとこな15-3

恭之助のことを思うあまりか、
病室を抜け出して踊りの稽古を
していたヒロキ…案の定、無理を
して膝を痛めてしまったようだ。

「踊りに関しては以前と同じ
ように動くことはできないと
思ってください。ムリをすると
悪化するおそれがあります。」

そしてきつい言葉をかけられる。

今まで通りに歌舞伎をやるため、
正座ができなくなるような手術?
それってかなり厳しいんじゃ…。

これからはきっと明るいお話が
待ってるんだと思ってたんだけど、
まあそう簡単にはいかないよね。

ぴんとこな15-4

病院から家への帰り道だろうか。
松葉杖をついて歩いていると
河村に見つかってしまうヒロキ。

彼の出した決断はこうだった。
膝を痛めこのままでは今までの
ように踊ることは出来ない。

手術をすれば前のように踊れる
かもしれないが、歌舞伎に限らず
日本の伝統芸能にとって正座が
出来なければ廃業なのだとか。

そんな現実の中、恭之助の相棒と
して彼が受け入れてくれても、
自分の存在で足手まといになって
しまうんじゃないか…そんなのは
堪えられない‥そんな思考から、
ヒロキが出した答えは歌舞伎を
やめる…ということだったらしい。

でも、そんなヒロキに対して
河村の反応はとても困ったもので
…さて、ヒロキこれじゃあ辞めるに
やめれねーんでないすかねww

確かに今いろいろ問題は生じてて
河村にとってしんどい時期だけど、
多分辞めるなんていい出したのは
ヒロキがいなくなってしまうなら
ってのは大きなきっかけだった
んじゃないかなって思うんだよ。

ぴんとこな15-5

「前に司(恵太郎)が言ってたんだ。
たったひとりの一生涯の相手役を俺たち
カブキ役者はどこかで探しているって。」

「俺にとっての一生涯の相手役は
おまえなんだよ。俺はおまえじゃなきゃ
ダメなんだ。おまえだってそうだろ?」

まるでプロポーズだな。

『一弥』

一弥にとっての相棒も、恭之助に
とっての相棒も、他にはいない。
この2人じゃないとダメなんだ。

これからどうしていくかはやっぱ
ヒロキ次第だけど…続けて欲しい。
今まで通りにできなくたって、
きっとこの2人のコンビならきっと
最高の舞台を作り上げれると思う。

…ここには観光客もたくさんいて、
彼らを知る人も多かったらしく、
この光景の写メが拡散されたw

アヤシイ二人って言われてたw
実施急いでズッコケそうになった
のを支えた感じだったんだろうがw

ぴんとこな15-6

ネットに乗って恭之助と一弥が話題に
なっているこの状況で、本来は親子で
演ることの多い連獅子の配役だがここ
は年の差には目をつむり恭之助と一弥で
やろう…そう提案してきた社長ジュニア。

世左衛門さん=河村父ですよ。
確かに彼の第約なんてのはかなり
のプレッシャーだと思います。

本来そのレベルの代役ならもっと
格上の人が演るところだろうし。
でもまあ、面白い話になってきたw

ぴんとこな15-7

連獅子の件で、すぐには応えを
出さずにその場を立ち去って
しまったヒロキだったが、彼は
特に悩んでいるわけではなさそう
だった。帰ってしまったヒロキを
連れ戻そうと追いかけると、そこ
には一弥と恵利左衛門…修羅場!?

身構えて隠れる河村だったが、
そこでされた会話は全くもって
そんなものではなかった。

連獅子の話をしていた時、電話が
鳴ったことに河村は酷く怯えた様な
態度を取っていた。やはり、常に
父親に関する不安を抱えている。

そんな恭之助を支えるためにも、
連獅子に参加しようとしていた。

そして、更に予想外な展開。

「実は今からお宅に伺おうと
思っていました。こんな体に
なってようやく気づいたんです。」

「老いても衰えを悟らせないその
技術と芸幅…あなたはスゴイ人だ。」

これまでの非礼を頭を下げ謝罪し、
あれだけ知恵を貸してもらえる
ようにとお願いしたのだった。

河村は勿論だけど、それ以上に
ぽかーんと開いた口が塞がらない
状態になっていたのは恵利左衛門。

そして少し立って、顔を
真っ赤にして叫びだした。

でもその表情は知っていた。
以前米駒屋に河村が行った際
べた褒めしたことがあって、
その時もこんな顔で叫んでたw

嬉しかったんだろうな、きっと。
ありったけ文句を叫び終わると…

「とりあえずそのヒザを支えるために
筋肉をつけなさい。言っとくけど、
アンタに頼まれたからじゃないよ。」

「医者の許可が降りたらウチに
通いなさい。しごいてやるよ。」

ヒロキが奈落に落ちたあの日から、
大きく変わったことが1つある。
ヒロキが、自分ひとりで何とか
しようとしなくなったことだ。

時には誰かに頼ることも必要。
真剣に向き合って頼れば、
相手も手を貸してくれる。

それに、ようやく
気づいたような気がした。

これから厳しい稽古になるかも
しれないけど、きっとヒロキ
ならやっていけると思うんだ。

河村もいる、1人じゃないしね。
頑張れ、最強コンビ!!!

~ひとこと~

おぉおおおお!!!!
面白くなってきたぁ!!!

ヒロキがとても誠実に、最初の頃
のヒロキに戻ったなと感じている。

正直優奈や梢六に対しては一体
どんな態度を取るんだろうって
感じではあるけど…前に比べたら
随分まっすぐな視線を送るように
なるんじゃないかなと思っている。

やっぱり、ヒロキはこうでないと。
これでこそ、恭之助に並ぶに
相応しい相棒だろうってね。

ところで、この15巻58.5話という
形であやめの父(行方不明)らしき
人物がちらっと出てきてるんです。

警察官…?それとも警備員とかか?
はっきりはわからないけど、顔は
見えなかったけど頑張ってる様子。

そこいらの話も、綺麗に片付くのかな?

そゆわけで、次で最終巻です。
どんなお話になってくるのか!?