著:嶋木あこ 先生

あの場で会ってしまった3人。
優奈は子供のこと、本当は田辺
の子供だということを明かした。
そして山本さんも口が滑って
樹藤の孫である話をする…。
そうなったら話は早かった。
おそらくそのまま澤山の家に行き、
師匠に全てを話したんだろう。
ヒロキが家に帰った時、師匠は
目も合わせてくれなかった。
「出てってくれ…。」
そう言われてしまい途方に暮れて
街を歩く中恭之助に電話をかける。
電話に出てくれることはなかった。
この時は、タイミングが悪かった。
父親のことで立ち直れない彼を
一時だけでも元気にしてあげたい。
そんなあやめの思いに甘えてる
最中だったのでね、仕方あるまい。
でもこんな状況でヒロキが
そんなふうに思えるわけもない。
舞台稽古の会場に顔を出した
ヒロキ。何を思っての行動かは
わからないけど…ヒロキはその舞台
の奈落に落ち、病院に搬送された。

搬送されたヒロキは、手術中。
入院中の河村父の所に慌てて
現れた轟屋の優奈の父。
どうしたのかと尋ねると…
「どーしたもこーしたもねぇよ、ウチの
大事なヒロキが自殺しちまったんだよ!!」
師匠がヒロキと目も合わせてくれなかった
理由はこういうことだったらしいです。
優奈が少し可哀想ではあるけど…実の
娘なのにね。それでもここまでヒロキ
は師匠に愛されていたんだなぁ。
これはほんと、ヒロキの今までの
努力の成果なんだろうと思う。

知らない番号からの大量の不在
着信に折り返す河村。するとその
番号の相手はヒロキの携帯だった。
電話に出たのは轟屋の者で、
ヒロキの事情を説明してくれた。
それでようやく河村とあやめが
病院にかけつけた時…手術は無事
終了したが、傷だらけでボロボロ
の彼がそこにいて、河村はこの先
の自分を案じていたようだった。
ヒロキの存在はそれだけ、恭之助
にとって大切なものになっている。
きっと河村が歌舞伎をやっていく
のに必要不可欠な存在なんだろう。
意識を取り戻すのはヒロキの
気力次第だろうという医師。
ちゃんと、目を覚ますよね??

それから、河村は毎日のように
ヒロキの様子を見に来ていた。
父親の見舞いのついでと言ってw
ほんと、素直じゃないんだから。
そんなところをヒロキの師匠に
見つかり、病室の前で立ち話。
それも結構な大声で…迷惑だw
師匠はヒロキに誤解をさせて
しまったこと、轟屋のトップに
相応しいのはヒロキだけだと
心から思っていることを目を
覚ましたヒロキに伝えたいと。
恭之助だって、電話に出られず
見捨てたと思ったかもしれない
がそんなことはないということ。
「アイツは俺の最高の相棒なんだから。」
2人とも、伝えたいことがあって
時間を縫って通っているようだった。
そしてその大声のせいなのか
違うのかはわからないけれどw
ヒロキは無事目を覚ましたのだ。
襲名も、何もかももう無理だろう。
それでも気持ちだけでもこんな
ふうに行ってくれた人をこれ以上
失望させたくない、またゼロから
やり直そうと思っていたヒロキ。
そんなヒロキに、あまりに予想外
で嬉しすぎる言葉をくれた師匠。
「俺と養子縁組して俺の
息子になれ、ヒロキ。」
今までやってきたことはきっと
間違いだらけだったに違いない。
それでも、彼の歌舞伎に対する
真っ直ぐすぎる思いや努力は、
ちゃんと届いていたということ。
今後こそもう、何を誤摩化すでも
なくヒロキとして、一弥として
歌舞伎に取り組んでいけたらいい。

ヒロキと師匠の会話が落ち着いた頃、
院内がドタバタ騒がしくなったと
思うと…西田屋の完二郎さんを始め
大勢の歌舞伎関係者が病室に来たw
そして、あやめもね。ヒロキは
今までほんと気付けていなかった。
こんなに、自分を愛してくれる人が
いるってことに、気付かなかったんだ。
ずっと1人だと思って戦ってきたよう
なものだものね。ヒロキの、こんな
困ったような優しい笑顔、随分久々に
見た気がした。ああ、ヒロキだなってw
なんか、やっとちゃんとヒロキだ。
無理するでも取り繕うでもなく。
きっとまだ問題はあると思おう。
優奈のことも多少はあるし、何より
田辺がこれからどう行動に出るか。
優しいやつだと思ってたけど、
やっぱり捻くれ方も異常だった。
ヒロキのことを死ねばいいなんて
思っていたくらいだからね。
優奈は、田辺を好きになったと
思っていたけど、ヒロキを嫌いに
なったわけではなかったから今回
自殺なんかされて怖かったろうな。
ヒロキのせいでいろいろ怖い思い
させられたのに、それでも嫌いに
ならなかったってのもスゴイけどw
まあ…一先ずは一件落着…?

病室での騒ぎがようやく落ち着いた頃。
看護師さんに騒いだことへのお叱りから
ようやく開放され病室に戻ってきた河村。
河村以外は騒ぎ疲れてそのまま病室
の床で眠ってしまったようだったw
まだ起きていたヒロキに対して、
今ならお祝いに言うこと聞いてやる
なんていい出した河村。それに対して
ヒロキが頼んだのはシンプルなこと。
「僕を”一弥”と呼んでください。」
ずっとメガネとか呼んでたしねw
実際ヒロキ、や一弥と呼んだこと
は1度もなかったらしかった。
「一弥と呼ばれないのは役者として
認められていない気がするんです。」
なーんて言われてしまって、じゃあ
言ってやろうじゃねーかと思った
河村だったけど、妙に気恥ずかしくて
それを口にすることは出来なかったw
そして、そのお願いを聞くのを先延ばしにw
さて、いつ聞けるようになるんだろうかね。
2人のコンビが再開した時?それとももっと…
いろいろあったけど、良かったな。
~ひとこと~
14巻でした。いろいろ…ほんといろいろ
怖いなって気持ちから読み始めた14巻
ですが、本当にいい終わりでした。
小向さんのことは残念だったけど、
ヒロキもこれでようやく自分で作った
闇から開放されるのかもしれないな。
さて、ここからまた見所ですね。
田辺に関しては、最近いい奴かもって
結構思い始めてたから一弥に対して、
1人の命に対して冷酷すぎて少々
イメージ悪くなりましたが、まあ
今までのヒロキの行動に比べたら‥
今後の行動次第でしょうかね。
では、また15巻で!!