著:嶋木あこ 先生

「僕は悪くない。」
自分を正当化するように、
自分に言い聞かせるように
そう口にしたヒロキだった。
(これでいいんだ、早く
そっちに行きたいよ…)
恭之助を目指して、ただ
そのためだけにひたすら進む。
本当は悪いってわかってて、
でも目的のために自分は
非道にだってなる…そんな
ふうに自分を押し殺して無理
してるように見えてしまう。
ほんとの所はわからないけど。
ヒロキはいつまでこんな自分を
背負い続けていくというんだろう。

「おまえには腹違いの兄弟がいる。」
河村の祖父、樹藤さんが亡くなり
際に親父さんに残した言葉がこれ。
今になって明かされたわけだが、
親父さんは義兄弟の存在とその
母親が贔屓の小向井さんだという
ことまで知っていたのだそうだ。
* – * – * – * – * – * – *
ところで、小向井さん初登場の時
「小向井」さんだったのにここ最近
「小向」さんなんだけど…どっちだw
最近小向さんなんで、今後は
小向さんで書いてこうと思うw
さて、話戻しま~す。
* – * – * – * – * – * – *
ここで明らかになったのが彼の存在。
まだ学生だった頃、歌舞伎界に足を
踏み入れる前の田辺樹生くんです。
「彼を近づけないようにしなくては。」
(――と同時に、木嶋屋の血と芸を引き
継ぐのは我々だと気持ちを強くした。)
樹藤さんが亡くなってから恭之助
に対する態度が急激に厳しくなった
のはこれが原因だったようだ。
その結果息子が懐いてくれなくて
寂しい思いもしたようだけどw
それから数年して、存在を知った
当時は歌舞伎界に入る素振りなど
なかった田辺が木嶋屋に弟子入り
を志願しにやってきたのだ。
息子に近づけることを危険に思い
その場では断った親父さんだった。
まあ、そんなこんなで親父さんの
過去や思いがわかってきたわけだが。
…体調、大丈夫なんかな…。

その後、小向さんは亡くなった。
葬式の日、参列していたのかな。
ヒロキは、梢六に釘を差すように
優奈と自分の浮気の話、そして
優奈の相手の話をしてきた。
それに+して、山本さんのことを
妙な誤解をさせる言い方をする。
「付き合いは程々にした
ほうがいいかもしれません。」
山本さん、携帯電話を紛失してる
様子だった…予想はできたけども、
やっぱりその携帯ヒロキが持ってた。
ほんと、この人やること危ない。
…いっそ全てバレてしまったほうが
いいんじゃないかと思えてくる。

「振り上げたこぶしを下ろす場所は
もうどこにも残されていないから…。」
ヒロキ自身、もういろいろと
取り返しの付かないところまで
来ていることには気付いてるんだ。
その上で、もう後戻りもできず
進むしか出来ないからこうしてる。
…歌舞伎役者をこのまま続けたい
ならこうやって自分を偽り続ける
しかないのかな。時間はかかっても
1度ダメになって1から下積みでも
なんでもやり直した方が本当の
意味で彼と並べるんじゃないのか…

恵太郎と恭之助のコンビでの
公演の最後の話…あれの恭之助の
応えがここで明らかになった。
なんつーか、河村らしいよなw
やっぱ恭之助と一弥のコンビ見たい。
いつまでも謝るの先延ばしにして会う
こともないんじゃ、何の解決にもならん。
こんなふうなまっすぐな思いがある
なら、さっさと謝りに行けよ河村~。

「――まだだ。あんな未熟な子を
残してなんて…逝けるわけがない。」
以前倒れた時、多分癌なんだろう
って思ったけど、綺麗に取れる
っぽいこと言ってて手術すれば
大丈夫なんだなって思った。
なのに、あれ以降そういう話は
一切出てこないまま、それで、
相変わらず体調は優れないまま。
むしろどんどん悪化してる様子。
死ぬようなことじゃないんじゃ
なかったの…?そう思ったのに…
治せるものじゃなかったのか?
息子を不安にさせないために、
話を伏せていたことで手術なんて
大っぴらなことができなかった?
それとも、はなからその気は
なかったとでも言うんだろうか。
…今の河村が聞いちゃったら、
動揺して何も手に付かない
状態になっちゃうよね、これ。

優奈と梢六の接触を恐れて、
稽古など抜けられない時以外は
優奈をなるべく見張っていら
れるようにしていたヒロキ。
だがこの時ばかりは運に
見放されたのかもしれない。
近場に少し買い物に出た優奈。
そこに偶然(?)居合わせた梢六。
もしかしたらずっと話す機会を
伺っていた可能性もあるけど。
「ヒロキの子供を妊娠した」
そう話した優奈に対して梢六は、
「それでもいいよ。
俺は全部受け入れる!!」
本当に、梢六は優しい人だ。
その分、弱いところもあるけれどw
・子供の父親が田辺樹生であること
・田辺樹生は河村樹藤の孫であること
ヒロキが恐れているこの2つの
秘密が梢六にバレてしまうこと。
こんなタイミングでこの2人を
見つけたのは、山本さんだった。
…話すのかな?本当のこと。
子供のことに関しては、優奈も
話そうとしているように思えた。
小向さんの葬式の時も、山本さんは
彼に真実を話そうとしていたし…
14巻、ヒロキには悲惨な未来が
待ってるのかもしれないね。
~ひとこと~
14巻でした。いやはや…これは
いろんな所で大変なことになってる。
14巻はいろいろ読むのに覚悟がいる
巻になりそうな気がしております。
悪いことをすればその報いは来る。
ヒロキは今までかなり酷いことを
繰り返してきてしまってるからな。
それに比べて梢六…彼も確かにいろいろ
馬鹿なことをしてきたとは思うけど、
それでもその分はもう十分優奈に返せて
来ているんじゃないかって思うから。
想像してもダメですね、
では、また14巻で。