著:嶋木あこ 先生

公演は大成功に終わった。
同じく舞台に立つ武島家の御曹司達。
下手なわけではないのにイマイチ評価
されないという、彼らはあまりにその
状況が続いたため本気なんて出して
堪るかといった状態になっていた。
それでも、そんな竹兄弟の兄竹太郎
に本気を出させたのも河村だった。
本気を出したその瞬間、観客も最初
は混乱している様子もあったけれど、
しまいには「高島屋っ」「竹太郎」
と言う声が会場中に飛び交っていた。
そうしてその演目が終わる頃には、
会場中から、「木嶋屋」「恭之助」
という声が飛び交う。今回の舞台
はほんと、大成功だったようだ。
それを見に来ていたヒロキにも、
彼の演技はちゃんと届いていた。
あやめではなく優奈を選んだヒロキ。
でもきっと正しくは優奈をではなく
河村のいる歌舞伎を選んだんだろう。
どれだけ優しく接していても、
どれだけ恋人扱いをしたって、
ヒロキが優奈を好きになる
ことは今後もないのかもな。

例の公演のあと、小向井さんに
電話があった…孫、と出ている。
え?…ヒロキ?えーっと…wえ?w
小向井さん、好きだった男から
昔手を引いたんだっていうんだ。
相手を思って手を引くお光の様に。
いろいろ考えてみてるんだけど、
イマイチ話が見えてこないんだが
私がバカなんだろうか?えっ??w
ここいらの関係性、そのうち
わかりやすく明かされるのかな?

優奈が誰か男と寝ている。
まあ寝ていたのは確かだけど、
未だに消えないキスマークは
その証拠ではないんだけどな。
優奈、こういう所気づかなすぎて
見ていて少しイラッと来るわ~w
鈍感すぎる女はダメよ、いろいろ。
優奈も可哀想だけど、ヒロキも
可哀想ではあるんだよやっぱ。
この2人は、やっぱダメな気がする。

勢い余った。河村の
言葉に、河村の演技に
心が動かされすぎた。
講演の後、小向井さんと
偶然ぶつかって話をした。
そして、なぜか恋バナもw
そこで言われたんだ。
「あんたはまだネンネなのさ。
そのうちわかるよ。あんたは
その男を好きだってこと。」
ボロアパートで突然起きた
水道の故障、その寸前に突然
部屋に現れた河村に混乱もして
勢いで返事したようにも思えるw
「うん、ありが…………ん?」
あやめ宅の浸水により、住む
場所を失ってしまったあやめ。
河村の思いつきのような言動が
まさかの現実になってしまったw
親父さん、多分本当に病気な気が
する。あやめの居候を許したワケを、
時間がないから…そう言っていた。
一先ず河村幸せそうですww

最近のヒロキは正直言って怖い。
優奈の見えるところでは笑顔を
作るが見えない所で酷く冷めた
表情をしていることが多いから。
そこにはいろんな戸惑いがある
ことが原因になってるのかも
しれないけど…やっぱり基本的に
優しい人なんだよね、きっと。
優しくてまっすぐな人だから、
優奈の好意を利用することには
まだまだ戸惑いを覚えてしまうし
裏切られているんだと感じれば
簡単に気持ちが揺らいでしまう。
あやめに対するような好きでは
なかったにしても、幼い頃から
一緒にいて、大切な存在だとは
思っていたんだ、そこに裏切りが
生じていて、それを何食わぬ顔で
やり過ごされているのだと感じれば
さすがに動揺もしてしまうだろう。
実際、キスマークに関しては本人
気付いてないだけなんだけどね。
…とまあ、いろいろ考えた末
行き着いた結論が何か変だw
この漫画ちょいちょいBL的なの
ぶっこんできて笑うしかないw
シリアスが一瞬でとんだわw

河村の女形を見てから、ヒロキの
焦りは前以上に強まったらしい。
女形だけではダメだと、新たに
立役をやりたいとお願いした。
その結果貰えたのが、与兵衛。
「油地獄」の与兵衛という役。
人殺しの役なんだだそうだ。
衝動的に人を殺してしまう役。
…それの影響も少なからずある
のかもしれないとは思うけど、
なんかもう、いつか衝動的に
優奈を手にかけてしまいそうな
…そんな空気感がおそろしい。
偶然あやめが河村の所に居候
しているって話を聞いた時も、
それで前みたいに腑抜けた演技
に戻ってしまうようならあやめは
邪魔だ…なんて、もういろいろと
今後の歌舞伎の邪魔になる者を
全て排除しに掛かりそうな思考。
…ほんと、怖いよヒロキ。

婚約の顔合わせのようなもの
だろうか、それが行われて
正式に婚約者になったヒロキ。
でもそこには打算以外の何も
ない、悪い顔をしていた。
そんな頃、木嶋屋の親父さんが
とうとう倒れてしまって…。
ヒロキは怖いし親父さんは
心配だし…あーいろいろ不安!!
~ひとこと~
親父さんのことを除けば、河村
達の方は比較的平和に思える日々。
でも、ヒロキの方はもう見るに
見てらんないレベルに怖いです。
ヒロキの思考が、何かすごく
危険なことをやらかしそうで。
…あやめを思ってまっすぐな
思いで歌舞伎を頑張っていた
頃のヒロキはもう見られない
んだろうかね…少し悲しいよ。