マリーミー! 第9巻

著:夕希実久 先生

バレンタインデー、恋人や片想いの
そわそわする空気とはまた違った
意味で慌ただしくしている2人がいた。

一人は陽茉梨さん、秋保のファイルを
見てしまったこと、そしてその後の
自分の発言についてもかな? 謝罪の
意味でザッハトルテを作ろうとするも
上手く行かず手には火傷までしてしまう。

もう一人は秋保、仕事後山田に付き合って
もらい何やら買い物に行っていた様子で‥

上手くいった方も失敗してしまった方も
このままじゃいけないって2人のことを
考えて出た行動だったんだろうと思う。

「…仕事辞めてもいいかなって
思ってたんですけど、ちょっと
考え変わってきました…。」

「お仕事のことは秋保さんの好きな
ように…!と思ってるのですが、わたし
のせいで…辞めるのは嫌です…。」

家に帰ると、秋保は陽茉梨さんの火傷
の手当てをしながらそんな話をした。
お互い、自分の気持ちを口にしないで
相手のことばかり考えるからから回る。
きっと悪いことではないけど、2人は
もっとちゃんと伝えあうべきだったね。

そんな話の末に、プレゼントがあると
言って秋保は2人分の指輪を差し出した。

« 結婚指輪 »

想定内の突き返しもあったけれど 笑
ほんと陽茉梨さんらしくて笑っちゃう。

「そろそろ…寝室一緒にしたいです…。」

秋保は最後にそう付け加えた 笑
入籍から時間が経った気がするけど、
最近になってようやく2人夫婦らしく
なってきてちょうどよかったのかも。

指輪を一度は突っ返そうとしたけど、
やっぱり陽茉梨さん嬉しそうだった。

後に秋保が言っていたんだけど、突然の
指輪にはこれからの2人ための決意表明
っていう意味もあってのことらしい。

これからもいろいろあるかもだけど、
夫婦らしくお互い支え合っていける
素敵な関係になっていけたらいいね。

辞職について、なんて話を持ちかけて
しまったからか、ある時秋保の所に
課長と共に松嶋事務次官がやってきた。

辞表は返されてしまうが、事務次官は
秋保と交渉をしにきたようだった。
秋保の希望は報告義務の全面的な免除。

秋保と陽茉梨の結婚はニート保護法案を
確立させるための試験的なものだったん
だと思う。だからこそ人権侵害に値する
レベルの細かい報告義務が課されていた。

秋保としても、最初はただの仕事だった
からそれを気にもしてこなかったんだろう。
でも結婚して、陽茉梨が大切な人になった
からこそそんなことを許せなくなったんだ。

「結婚したからですよ、おじさん。」

松嶋事務次官は秋保の父親の旧友らしく、
面倒だから内密にと言っていたらしいのに
こんな所で秋保はぽろっと暴露した 笑

何が何でも辞めたいという話ではない。
ただ自分が仕事を続けることで陽茉梨さん
のことを報告しなければいけないのは彼に
とって何よりも辛いことだったんだろう。

「こちらニート保護法の省令の改正案
と若年者雇用対策における新規案に
ついて個人的にまとめたものです。」

自分の希望を通すため、秋保は彼なりに
必要な情報をびっしりまとめて提示した。
秋保の態度はともかくとして、仕事の面
でも家族の面でも今後のことをよく考えて
出した彼の精一杯の答えだったんだろう。

今後少しでも、彼の想いと努力がいい方
に変わっていくことを願うのみですね。

ある時、突然和歌のおばあちゃんが
やってきた。何を思ってかかなりの
大荷物を抱えてやってきた彼女は、
和歌、秋保、陽茉梨を巻き込んで盛大
に東京観光をして回った後まだ周り
足りないと言うので陽茉梨の一言で
秋保家に一泊することになってしまう。

陽茉梨は亡くなった祖母を懐かしむ
ような思いもあったのか楽しそうに
してたけど和歌と秋保はぐったり 笑

陽茉梨が嬉しそうにしているので
秋保も止めることが出来ず、結果
和歌だけ家に帰ることになった。

帰り際、おばあちゃんは突然
和歌に元旦那さんの名前を出す。
和歌はそれを拒絶してしまった。

おばあちゃんが感じていること、
和歌に対する思いが明かされる
のはまだ少し先のお話だけど‥

和歌の本心はどこにあるんだろう。
本当にこのままでいいんだろうか。

おばあちゃんが一泊することになった
のは、東京タワーに行きたいとだいぶ
暗くなってから言い出したからだった。

その理由、今は亡くなってしまったという
旦那さん、和歌のおじいちゃんが亡くなる
少し前に言った言葉を受けてのことだった。

おばあちゃんとおじいちゃんの関係は
あまりいいものではなかったらしい。

亭主関白な上若い頃は浮気ばかり、
不機嫌になるとすぐに怒鳴るような
そんな人だったらしい。そんな人を
和歌は少し怖いと感じていたらしい。

おばあちゃんは、大荷物の中にそんな
おじいちゃんの遺影まで持ってきてて、
それを見て秋保はおばあちゃんに言った。

「でも大事だったんですよね?どうでもいい
人の遺影なんて持ち歩かないですよね。」

そう言われて、おばあちゃんは何とも
言えない表情を見せたけど、きっと
秋保の言うとおりなんじゃないかな。

翌日、おばあちゃんは陽茉梨さんと
一緒に出かけていった。東京タワー
に行くという予定だったはずなのに
なぜか梅村家でご飯を作ってたりと
不思議なことになってたんだけど 笑

おばあちゃんは一仕事終えると梅村家
で電話を借り、ある番号に電話をした。
待ち合わせの約束をしたようで、詳細を
聞かないまま陽茉梨さんも一緒に行くと
そこにいたのは和歌の元旦那の隆則さん。

どうして急にこんな行動に出たのか‥

「陽茉梨ちゃん達や梅村さん達家族
を見てたらやっぱり和歌ちゃんの
ことが心配でたまらなくなってね…。」

おばあちゃんは、和歌達家族がいたから
幸せを感じられたんだという。そして
和歌には隆則さんが必要だと思うとも。

和歌にも家族が必要で、その相手を
隆則さんだと思ったのは、隆則さんの
そばにいた時の和歌が幸せそうに笑って
いたからだとおばあちゃんは言ってた。

おばあちゃん、何もかも急すぎるけど
後悔しないようにまっすぐに動いてる
ってだけなんだろうなと思えてきた。

まあそれで、周囲をかなり巻き込んで
大変な思いしてる人も多いけどもね 笑
おばあちゃんの思いも、届くといいね。

突然おばあちゃんと陽茉梨さんと
一緒にいる、という内容で和歌に
電話をかけたのは隆則さんだった。

戸惑いながらも、今でも隆則さんの
こと大好きなんだろうなって思える
ような反応を見せた気がする和歌は
秋保と彼らがいるカフェに向かった。

和歌と隆則さんは久々の再会‥
隆則さんに挨拶を済ませた秋保は
陽茉梨さんと立ち去ってしまった。

‥と見せかけてしばらく様子を
見守っていたようだったけど 笑

その場に残された3人の空気感は
随分と温かく柔らかいものに思えた。

和歌と隆則さんもいい感じに見えて、
もしかしたら前向きな変化も望める?
と思ったタイミングで和歌に着信。

お母さんがおばあちゃんを迎えに
来たみたい、今回お母さん達には
何も言わずに東京きたらしいんだ 笑

おばあちゃんはお母さんに回収され、
そこに残された和歌と隆則さん ‥

その後どうなったのかはわからない。
ただ、解散しようとした和歌を隆則
さんが引き止めようとしたら、和歌は
泣いてしまって‥そんな和歌に対して
今でも優しい隆則さんへの気持ちを
和歌は改めて自覚したようだった。

慌ただしかったけど‥これから先
どうなっていくんだろうか。2人が
また一緒になれる日が来たらいいな
と密かに願ってしまいたくなった。

結局2日目も東京タワーに行き
そびれたおばあちゃんはその日
和歌の家に泊まって、翌日改めて
東京タワーに行くことになった。
和歌のお母さん、陽茉梨と一緒に。

秋保と和歌は仕事で行けなかった 笑

おじいちゃんの最後の願いには残念
な裏話もあったようだけど、おばあ
ちゃんはそれでもよかったみたい。

「これでやっと、私にも
思い出ができましたよ。」

なんかちょっと‥泣きそうになった。
いつか命尽きる時は、この人と一緒に
生きて幸せだったって思いたいね。

~ひとこと~

今回もいろいろ‥よかったなあ。
どうなったんだろう‥?と謎の残る
2人もいますが、それはそのうちまた
出てきてくれたらいいなと願います。

おばあちゃん、びっくりするくらい
おてんばで元気すぎる人だったけど、
彼女が来てからいろいろ変化があった
部分も多くて、結果良かったなと思う。

これからも彼らに少しでも
多く幸せが訪れますように。