マリーミー! 第8巻

著:夕希実久 先生

同じ布団で目を覚ました秋保と
陽茉梨‥起きて早々大号泣の
陽茉梨に慌てる秋保だけど‥

「なんか…やっとちゃんと
家族になれた気がします…。」

陽茉梨は、そう言って涙を流し
ながらとても嬉しそうに笑った。
そんな彼女に、俺世界一幸せかもと
秋保も幸せに浸っていたんだけど‥

それをぶち壊す現実にぶち当たる。
大浴場で幸せに浸っていたら、そこ
には山田‥いるはずのない山田 笑
秋保はすべてを悟ったことだろうよ。

山田達がついてきたのは、2人の
ことを心配してってこともあった。
でもそれだけではない、今後秋保の
仕事に対する考えについてもあった。

「お前仕事辞めるとか考えてねーだろー
な。目を覚ませ!ちゃんと現実を見ろ!!」

何を欠いても陽茉梨さんを最優先に。
きっとそれ自体は悪いことではない。
でも限度はある、今の秋保は陽茉梨が
大事過ぎてその限度を越えそうだった。

「オレらは学生じゃねーんだよ。
何かひとつ守るために全部
捨てるような考え方すんなよ。」

聞く耳を持とうとしない秋安に、つい
だったかもしれない、山田は手を上げ‥

その後は風呂場で大乱闘‥迷惑な www
最終的には全員合流したわけだけど、
相変わらず山田と秋保は険悪なまま。

この時の秋保は、周りには味方なんて
いないような気持ちだったかもしれない。

陽茉梨が大切、何としてでも守る。
ただ必死だっただけなんだろうね。

でも陽茉梨の言葉を聞いて、秋保は
自分とは間逆なんだなと気づいて、
秋保はついには笑いだしてしまった。

「陽茉梨さんの言う通りだな
って。山田に謝んなきゃ。」

(大事なものは、ひとつより
たくさんあった方がいいよな。)

陽茉梨を大事に思う気持ちが強すぎて
1つの方法しか考えられなくなっていた
秋保だけど、ようやくそれだけじゃない
って気付くことができたんだろうね。

ちゃんと山田と仲直りしなさいよ 笑
山田が怒ってるのは、秋保と陽茉梨を
心配してくれてるからなんだからね。

秋保は後日、山田に謝罪した。
でも仕事に関する話は譲らぬまま。

その理由を山田は改めて
思い知らされることになる。

要機密情報、おそらく持ち出し
禁止みたいな情報がまとめてある
ファイルを持ってきたんだろうか。

そこに書かれているのは、陽茉梨に
関することの事細かな報告だった。
これは法の適応者全てに義務付けられた
ことではなくて、秋保と陽茉梨だから、
2人だけが義務付けられたことらしい。

この法案を今後広めるために絶対に
成功例を出して置かなければいけない。
それに選ばれたのがこの2人だった。
きっとそういうことなんだろうけど‥

自分の奥さんのことをなんて考えたら
きっと誰だって嫌だと思うだろうな。

この真実を知って、山田は何も
言えなくなってしまったのかな。
ほんと‥この先どうするんだろう。

最近のつばめは髪も伸ばして女の子らしく
可愛くなってきた。その影響か友達も増え、
以前は拓海が1番近い存在だったかもしれない
けれど、今はそうではなくなってしまった。

「好きじゃね---しこんなデカい女!!髪
だって長いのぜんっぜん似合ってね-し!!!」

つばめと親しそうな杉山先輩(男)の言葉
に、ムキになった拓海はつばめに冷たく
当たってしまった。でもそんな拓海にも
つばめは優しくて‥みじめで仕方がない。

でもそんな時、母親・春子さんが倒れる。
理由はおめでただったので、全く悪い
話ではないんだけど‥理由がちゃんと
分かるまでの間、拓海は落ち込んだ。

自分がいろんな人に嫌な態度をたくさん
とったりしたから、自分のせいでこんな
ことになってしまったんじゃないか、と。

そんな所から‥彼なりにいろいろと
心境の変化もあったんだろうと思う。

でもこの言葉は何の突拍子もなく出た
もので、きっと拓海以外にはイマイチ
状況が掴めないでいたんじゃないかな。

ただ、いきなり好きだって言われて‥
髪型が似合わないとか言われたのに
今度は急に好きとか、びっくりよね。

顔を真赤にして‥可愛らしいわ。
つばめ、どう思っただろうな。

春子さんは、つわりが酷くてそのまま入院
することになってしまった。それまでは
春子さんが働いた給料で生活していたのかも。

「俺も小説やめて働こっかなって。」

梅村さんは小説家だったようだ。でも
妻の入院でそんなことを言い出して‥
盛大に病室から追い出されてしまう。

「いーい? 拓海、お金や見返りが
なくても頑張りたいことがあるって
素敵なことなのよ。お母さんはそんな
お父さんを応援したくて結婚したのよ。」

そんなことを拓海に昔言ってたらしい。
だから拓海は、父親が小説家を辞めよう
とすることを必死で邪魔しようとする。

(お母さんの大切なもの、きっとオレに
とっても父ちゃんにとっても大事だよ。)

そんな時、春子さんから直接話を聞いた
らしい陽茉梨は、押し入れからだいぶ
古い本を引っ張り出してきたようで、
そのまま息を切らして梅村家に行く。

「この本、梅村さんが書かれた
本だったんですか…!?」

昔大好きだったというその本は、梅村さん
がこれまで唯一出したという本だった。
その内容を楽しそうに拓海に話す陽茉梨。

妻の言葉か、拓海の態度か、陽茉梨の
嬉しそうな表情か‥梅村さんは仕事部屋
にこもって小説を書き始めたようだ。

そうしてしばらくして病室に行くと‥

「しゅ…出版社…行ってきます…!!
これでどこにも引っかから
なかったらきっぱり諦めます。」

いろいろ互いに迷いはあったようだ。
それでも互いに小説家として成功したい、
させたいという思いは持ったままだった。

互いの気持ちを確認すると、春子さんは
優しい笑顔で旦那を見送ってくれた。

「行ってらっしゃい。」

なんとも‥不器用だな二人共 笑
でも互いに互いを大事に思っている
とっても素敵な夫婦だよなと思った。

出版社に行ってきた梅村さんは
大慌てで病室に戻ってくる。
嬉しい報告をしに行ったようだ。

報告に行った後は、拓海がダッシュで
陽茉梨に話したがって秋保宅へ向かう。

「俺の本にアニメ映画化のオファーが来た。」

ということらしい。随分昔に出した本、
それを今になってアニメ映画化という
話が来るくらい、今でも見てくれる
人がいたという本当に嬉しい話だ。

持ち込んだ小説も高評価を貰い、
続きを読みたいと言ってもらえた。

春子さんも喜んでくれたようだけど
その反応は落ち着いたものだったと
梅村さんは話していた‥んだけど、
心の中は全然そんなことはなかった。

旦那と息子が帰った後の病室で大泣き。
本当は泣くほど嬉しかったんだろう。
でも自分のこんな様子を見たら旦那は
気が抜けてしまうからとあえて隠す。

ほんと‥互いに想い合ってて
素敵な夫婦、家族だよね。
元気な赤ちゃん産んでね!!

最近女の子らしく可愛くなった娘を
見て、つばめに黒じゃない新しい
ランドセルを買ってあげた紺野さん。

でもランドセルを買ってきたんだと
知った時のツバメの反応はイマイチ‥

「-…じゃ、捨てるの? あたしが今まで
使ってたランドセルは捨てるの…?」

そんなことを言ってしまったつばめ。
きっと可愛いランドセルをもらえる
事自体は嬉しかったろう。それでも
それ以上につばめはお父さんのことが
大好きで、黒いランドセルと一緒に
これまで過ごしてきた時間が大切で。

そういう物ごと手放すことになる
と思ったら、きっと寂しかったんだ。
紺野さんだって、娘が可愛くて仕方ない
からこそいろいろやってから回って 笑

互いにとても大事に思うのにたまに
から回って失敗して‥難しいよね。

今までは自分の気持ちを伝えることを
どこか怖がっていたつばめだったけど、
ちゃんと感情を出してみようって少し
思えたのかもしれない、拓海のおかげ。

こうやってきっと、少しずつ良くなる。
互いに想い合ってるんだからきっとね。

梅村家も紺野家も、温かい感じでお話が
まとまったところだったけど、今回はまだ
秋保家のことは何も解決してなかったね。

おそらく山田に見せるためにファイルを
持ち帰っていた日のことだったろうか。
偶然陽茉梨がファイルを見てしまった。

秋保の気持ちもわかる、陽茉梨の気持ちも
わかる‥ほんとどうするべきなんだろう。

仕事を辞めるとまではいかなくても、
陽茉梨に関する報告義務だけは何とか
必要なくなるといいんだろうけど‥

頑張れ秋保。このままはつらいよ。

~ひとこと~

ニート保護法に関する問題は山積み。
というか、秋保家の問題が山積みだ。

いろいろ不安なことは多いけれど、
2人の笑顔が今以上に曇ってしまう
ようなことにならなければいいけど‥

また気になる所で終わりますね~ 笑
法に関係なく、2人笑顔でいられる
ように早くなることを願います。