マリーミー! 第4巻

著:夕希実久 先生

 

秋保が陽茉梨さんを抱きしめた
あの日から、彼女は態度を変える。
実際は、恥ずかしいのか、顔を
真っ赤にしてテンパっているという
様子なのだけど、秋保にはそれが
警戒心丸出しに見えたのだろう。

秋保は、事故で陽茉梨さんを失う
かもしれないという不安から彼女を
抱きしめてしまったけれどそれで
怖がらせてしまったならと謝った。

でも陽茉梨さんは、必死にそれを
否定しようと、こんな行動に出た。

この後すぐ、ネコ達に邪魔されて
会話は続かなかったものの…

「心さぁ…これからずっと陽茉梨さんに
な---んにもしないで暮らしてくの?」

いやはや…そうなんですよ~
テンパってるのは陽茉梨だけじゃ
ないんですよ~、秋保だってね、
いっぱいいっぱいだったりするの。

そんな中、新学期からは頑張って
学校に行くという翔は家に帰るという。

また、陽茉梨と秋保の2人の生活が
始まろうとしているが不安がいっぱいw

山田と秋保が知り合ったのは高1。
そこからの長い縁だというけれど、
その頃から比べても秋保はほんと
変化した所が多いのかもしれない。

彼らの馴れ初めは、個人的には
結構好きなお話だったりする。

冷めた態度をとられてもめげずに
絡んでいったのは山田の方だった。
その度、随分と迷惑そうな表情を
見せた秋保だったけれど…それなりに
長く一緒にいてみれば、別に性格が
悪いわけでないことは分かってくる。

いじめを受けて教科書を隠されでも
した様子の女子…、みんな知らんぷりを
するのにその日使う教科書全部を貸した
秋保…きっと、優しい人なんだろう。
ただ、無愛想で、発言がや態度が少々
ストレート過ぎるというだけなんだろう。

小さなきっかけから仲良くなりだして、
今も同じ職場で働く山田は、最近の秋保に
好きなものや大事なものが増えていく様子
を見て、なんだか嬉しそうにしていた。

こうやって、茶化しながらも見守って
くれる友人がいるのって幸せなことね♪

陽茉梨の無理して笑う表情と、
クラスメイトのつばめ(女の子)が
無理して笑う表情が同じだって、
そう気付いて、似てる2人だからと
会わせてみた拓海だったのだけど、
今回はどうにも上手く行かなかった。

つばめちゃん…陽茉梨さんのことを
何も知らないのもあるけれど、自分が
いろいろ苦労してるのが辛いのかも…

拓海や翔と話している時の幸せそうな
陽茉梨しか見ていない彼女からしたら
拓海が会わせた理由がわからなかった。

…いろんな人と出会って変われた陽茉梨
さんや翔のように…つばめちゃんにも何か
きっかけが与えられたらいいけどね‥

つばめは、生まれたばかりの頃に
母親が出ていってしまったらしい。
ずっと父親に育てられてきた。

生まれた頃から母親はいなかったから
特に寂しいと思うことはなかったと
いう彼女だけど、やっぱ苦労はしてきた。
それは、もちろん父親だってそうだ。

こんな見た目だけど、ちゃんと父親で
…でも世の人には伝わらない。まあ、
このおばさんにはってだけかもだけど。

自分のために頭を下げる父親を見て
つばめは我慢することを覚えた。
自分が変われば父親が嫌な思いを
することもなくなるはずだからと。

まだ小学生の幼い子供がだ。
つらすぎんだろ、そんなのさ。

この後、父親は髪を黒く染めて
髭を生やしはじめた…まずは見た目
からでも、ちゃんと大人に、父親に
見てもらえるようにという考えでだ。

つばめも、父親も、それぞれを大切に
したいからと変わろうと頑張っていた。

ある時、学校にいる時熱で倒れて
しまったつばめは、諸々の事情で
陽茉梨の家へお邪魔することに。

大分体調が戻って、喉を通りやすい物
ということでかき氷を用意していた。

でもこれ以前に、少し問題があった。
偶然、電車で痴漢を捕まえたつばめ父と
逃げようとした痴漢を説得にかかった
秋保が怪我をすることになり、手当にと
一時的に陽茉梨の元へ来ていたのだけど、
そこでつばめ父は寝付いてしまった。

いろいろ疲れていたんだろうな…。
朝帰りの父親、そこに一緒にいた
陽茉梨を見てつばめは不安を抱える。

詳しい事情なんて聞く時間も心の余裕も
なかったろうから、ただ、朝まで陽茉梨
さんと一緒にいて帰ってこなかった父親
という認識をしてしまったんだろうな。

・・・やっぱりつばめと陽茉梨は似てる。
陽茉梨はきっと秋保を始めとするいろんな
人と関わって考え方が少しずつ変化した。
安心という気持ちをやっと得られたんだ。

それを、つばめちゃんにも与えてあげたい。
なんでもいいから、そのきっかけがあれば…

いつの間にか、秋保は陽茉梨さんを
好きになっていっただろう。でも、
秋保からしたらそれは片思いみたいな
もので、陽茉梨さんにとって自分は
一緒に生きていく家族って言う存在
だけなのではと思っていると思う。

少なからず、意識してると思うけど♡

それを全く理解していないからこそ
言えた言葉だったんじゃないかな。
陽茉梨さんが聞いたら泣いちゃうよ。

それに秋保だって絶対寂しいだろうに。
そんな寂しいこと言わないでよ。

~ひとこと~

あああああっ、なんかいろいろ
上手く行きませんね悲しい!!

翔は、あれからちゃんと学校に
言って、楽しかった!!と学校帰り
陽茉梨に報告をしに来たのでした。

とても平和で、嬉しい気持ちで
いっぱいだったのに、つばめちゃん。

こんなまだ幼い子供が悩むことは
ないんだよ…父親だって悪くない。
でも、そういう父娘に理解がない
周囲…いいとは言わないけど実際
そういうのを理解して接してくれる
人のほうが少ないのかもとは思う。

…つばめ父はいい年の大人だから、
つばめに比べたらまだつらいこと
からの上手い逃げ方を知ってる。

でもつばめは笑ってごまかすこと
しか出来なくなってる気がしてる。
なんとか・・・救ってあげたい。