著:コダ 先生

八代の借金話は無事に済んだ
あとも、宣言通り吾妻さんは
お弁当を持って累の部屋にやって
きた。身体の関係も続いたまま。
そんな状況に、突然の罵倒を
浴びせてきた中野さんだった。
この態度や発言の理由を理解
出来るのはもう少し先の話。
「お前は所詮、穴しか価値はない。」
でもこの言葉で、累はこの後
色々悩まされることになる。

ある時、吾妻さんがきれいな女性
(蝶子さん)とラブの方なホテルに
入っていくのを目撃してしまう累。
所詮自分は『吾妻お気に入り
コレクション』の中の1人で
しかなかったんだな~と思う。
でもそれを実際に見てしまった
のは「いや」と感じた累だった。
その日も吾妻さんは累の部屋に
やってきた。いつものように、
お弁当を持ってそのあとヤりに。
「吾妻さんとしたくない。借金は
ないし、する必要ないでしょ?」
拒絶してしまう累に対して、
すんなり帰ってしまう吾妻さん。
お互いの心境としては‥
蝶子さんとホテルに入っていった
様子を見られていたことに対して
少しもバツの悪そうな感じを出す
こともなくしれっとしていた彼に
モヤついて拒絶してしまった累。
拒絶されている状況で無理やり
ヤって累に…その先はハッキリは
描かれていなかったけど、怖い
思いをさせたり嫌われたりする
ことを恐れた様子(?)の吾妻さん。
最終的には煙草を理由に追い
返されてしまった吾妻さんだった。
すれ違ってるなぁ…。
累のモヤつきは、中野さんに
言われた言葉もあって余計に
ひどくなっている様子だった。

累の部屋を、累に抱きしめて
もらうことを、累との時間を、
居心地がいいと感じていた。
それがない今どうにもざわつく。
落ち着かない…そんな吾妻さん。
もう来てくれないかもしれない。
吾妻さんともうくっついたりする
ことは出来ないのかもしれない。
そう思ったらとてつもなく寂しい
気持ちに襲われてしまった累。
お互いそんな気持ちの中、先に
行動に出たのは吾妻さんだった。
「今日煙草一本も吸わなかったぞ。
これからも吸わねーからな。」
「お前がっ、煙草嫌だって
言ったんだろうが!!!」
この時はまだお互い納得のいかない
思いもあったと思うけど、それでも
お互いを求める気持ちの方がきっと
強かったんだろう…この時はヤッて
話は終わるんですがね、お互いに
自分の気持ちの理由すら気付いて
いない2人…難しいものです。
ちなみにイヤな夢というのは、
吾妻さんの過去の話に近い内容。
蝶子さんと会っていた日の夜は、
そんな嫌な夢にうなされていた。
中野さん曰く、派手な女と遊ぶ
から…らしい。吾妻さんの母親も、
その派手な女だったからだろう。
お互いがいるこの場所が、お互いに
こんなに居心地良く感じてるのにな。

ちょっとしたきっかけから
中野さんの自分への態度の
理由を知ることになった累。
中野さんは、吾妻さんに
恋愛的に好意を持っていた。
累の提案により、中野さんと
吾妻さんの話を新作BLのネタ
として書かせてもらうことに。
これで中野さんとの距離感も
少し柔和されることを願うw

ある時、吾妻さんが累を見つけて
仕事すら放棄して累を追いかけて
行く様子を目撃することになった
蝶子さん。禁煙も累のためと知る。
ここで彼女が累に対して怒りの
矛先を向けることになり、彼女は
わざわざ累のアパートを訪れた。
「ねえあんた、前戯してもらってる?」
「つまりあんたはただの穴
ってことよ。大事ならそんな
雑な扱いされるわけないでしょ?」
「下手に自分だけのものに
したいなんて思わないことね。
あんたみたいなブス、調子に
のったらうざがられてポイよ。」
蝶子さんに、吾妻さんに関して大して
知らないということを指摘された累。
聞いても教える人じゃないと言われたが
自分にならもしかしたらと訊ねてみる。
「吾妻さんっ、のこと聞いていい?」
「いいぞ。」
思いの外あっさりOKを出されるも…?
「家族は?兄弟いる?」
家族のことについて聞こうとした
途端、答えることを止めた吾妻さん。
答えなかったことには理由があった。
話すことで累に引かれるのが嫌で…。
でも累はそうは思ってくれてない。
吾妻さんと一緒にいたいなら、必要
以上に彼に踏み込んではいけない。
好きになっても、告げてはいけない。
累の中で、一緒にいるために自分の
気持ちを抑え込まなきゃという思考に。
…すれ違ってるなぁ。

ある日、累は吾妻さんへの
気持ち的依存の理由をご飯を
与えてくれることだと考えた。
それで、自炊をすると宣言して
買い物を済ませ帰宅すると…
真っ暗な部屋の中に吾妻さん。
「留守中は使うなて言われたから。」
暗い室内でぼーっとしていた彼は、
存在に驚いた累に対してそう言う。
これは幼い頃、母親から言われた
言葉だった。電気もケチられ、
ご飯として与えられたのは食パン。
まだまだ明かされない所も多いが
彼の過去には暗い部分が多いな。
でもそんな彼の言葉に対して
累は驚いて声を上げていた。
そこでようやく正気に戻った彼。
いろいろと辛くて苦しかった過去を
いまだトラウマのように抱えたまま
いるのかもしれないね…そんな彼を、
累だったら救えるのかもしれない。

ある日、偶然だったかもしれないが
吾妻さんと彼の妹が話している
所に居合わせることとなった累。
酷くイライラした様子だった彼。
母親や妹に名前を、啓吾、啓吾
くんと呼ばれることを、酷く
不快に感じているようだった。
でもそれは、累だったら違った。
ずっと自覚できなかった恋心。
ある拍子に、今までそんなことない
なんて否定してきた『好き』という
気持ちを自覚してしまった累。
吾妻さんはきっとまだ気持ちを自覚
してはいないけれど、今まできっと
家族の問題のせいか名前で呼ばれる
のが嫌だったと言うのに、累に呼ば
れるのは全然嫌じゃ無いと気付く。
…中野さんから見ても、2人は両想い
で恋人同士のようにしか見えない。
そんな2人なのに当人同士はいまだ
思いが通じ合えないままでいる。
…どうなっていくんだろうね。
~ひとこと~
吾妻さんが話すことを躊躇した
家族の話、電気代すらケチって
いたという内容をポロッと口に
出してしまった時に累は全く引く
様子もなく、自分じゃなかったか
と逆に安心した様子を見せた。
前戯をしてもらってないという
累の不安も、ある時打ち明けて
見ると、そういうことなら、と
すんなり応えてくれた吾妻さん。
きっとまだまだ抱える不安は
消えてくれないかもしれない。
それでも、累は気持ちを自覚した。
吾妻さんも、累が他とは違う
自分の中の特別であることは
気付いているように思える。
‥それでも、気持ちを打ち明けては
いけないと思っている累…この先、
どうなっていくんだろうね。
楽しみだけど、少しだけ不安です。
それでは、また次巻で!!