著:朝海いるか 先生

2年生になった優子。吾妻さんが
担任になったのもあり浮かれる
けど、担任となってしまったから
には今までみたいに外で会うのも
やめるべきだと言う話になった。
寂しいけれど、同じ教室で一緒
に過ごせる時間を優子は大切に
過ごそうと前向きな姿勢に見えた。
そんな中でやってきた三者面談。
吾妻さんは眼鏡や髪型で少しでも若く
頼りない印象を変えようとするけど、
それでもやっぱり若い先生だからと
いうだけで不安や不信感を抱いて
毛嫌いする親は存在するわけで‥
悲しいことに優子の母親も吾妻
さんをよく思っていなかった。
三者面談当日、スムーズに済み
そうだと優子が安心しかけた時
母親はきつい言葉を並べてくる。
「このところ随分浮ついているようだ
から、何しに学校に行ってるのやら。
昔から不出来な子で勉強以外取り柄も
ないのにいつまで経っても頼りなくて。
また受験失敗したらどうする気かしら。」
吾妻さんに会う前の優子はまさに、
こんなふうに自分は駄目なんだと
責めて責めて責めて‥どんどん下
しか見れなくなってしまうような
そんな印象のある子だったけど、
そんなふうになってしまったのは
母親にも原因があるんじゃないか?
娘を心配してのことにしても、
頑張ってることを認めもせずに
悪いところばかり見つけ責めて
いたら息苦しくもなるだろう。
そんな時に、いい所をたくさん
見つけて認めてくれる吾妻さんに
出会えたのは何よりの救いだった。
吾妻さんに出会ってから優子は
本当に変わったし、変わりたい
と積極的に努力もし続けてきた。
そういうのを信じて背中を押して
見守るのも、きっととても大切で
必要なことなんだろうと思えた。
高校受験に失敗した過去があって
余計に娘に対して厳しくなって
しまってるのかもしれないけど、
お母さんももう少し優子のいい
ところや努力に気付いて認めて
くれるようになったらいいな。

「いい先生が担任でよかったわね。」
三者面談を通して、そしてその
後にもちょっとあってお母さんの
中で吾妻先生の印象はいい先生
へと変わってくれたようだった。
ただその帰り際、以前友達から
借りたと優子が言っていた傘を
さす吾妻先生を見つけてしまう。
いい先生だって感じてもらえた
のはすごく嬉しいことだったけど、
友達だと誤魔化してしまったこと
で逆に疑われてしまってそうだな。
何もなければいいんだけど、
きっとそうもいかないよね。
きついことも言うお母さんだけど
ちゃんと優子のためを考えてる人
だとは思うから‥どうなるだろう。

小中は受験勉強を優先して
行けなかったらしく優子に
とっては初めての修学旅行!
楽しい時間になるはずだったけど
吾妻さんの知り合いの女性が宿の
中居さん?女将さん?だったりとか
少しの事故もあり微熱を出して‥
現在優子はクラスメイトとは別室で
布団を敷いてもらってお休み中。
そこに少しの間ついててくれたのが
吾妻さんの知り合いのお姉さんで、
実はずっとモヤついていた優子は
「吾妻さんのことどう
思ってらっしゃいますかっ!?」
思い切り質問をぶつけてしまって
それによって吾妻さんを好きなこと
が彼女にバレてしまったんだけど、
「やめといた方がいいわ。」
彼女と吾妻さんは高校の同級生で
昔から彼女の片思いだったらしい。
この再会をきっかけに‥と食事に
誘ってみたけど、彼女を不安に
させたくないと断られたって。
まさかその彼女が、目の前にいる
JKだとは思いもしないだろうな。
優子は本当に愛されてる、でも
そんな吾妻さんの彼女なんだから
守ってもらわなくても大丈夫に、
誰を相手にしたって相応しいのは
自分だって言えるようになりたい。
吾妻さんの思いを受け、優子は
そう強く決心したようだった。

吾妻さんに守ってもらわなくても
大丈夫になる‥これは優子には成長、
良い変化に繋がるものだと思われた。
でも吾妻さんにとっては、ほんの少し
不安をよぎらせる言葉のようだった。
(だけどそれなら、彼女に俺は
必要だろうか。ずっと笑っていて
ほしい。だけど本来、その役割に
一番相応しくないのは自分なのだ。)
そんな思いのせいか、吾妻さんは
優子に対して少し避けるような
態度を取り出すようになっていた。
あくまで教師としてはきちんと
生徒である彼女に親身になるし、
ただ必要以上に構っては駄目と
遠慮しているような態度に思えた。
そんなある雨の日、外を歩いている
時に声をかけてきたのは優子の母。
傘を目印に発見されたようだった。
まるで釘を指すようなその言葉に、
吾妻さんの態度が悪化しそうな予感
がしてちょっと苦しくなってしまう。
そしてまた同じ時期に、同じクラス
の立花くんに優子が告白されている
現場を吾妻さんは目撃することになる。
目撃して、優子も吾妻さんの存在に
気付いてて‥でも吾妻さんはそのまま
何もせずその場所を離れていった。
それでいいんだって言うみたいに。
今でも吾妻さんは優子が好きだし
優子だって吾妻さんのことが好き。
気持ちは変わっていないはずなのに、
諦める方へ動き始めてしまってる。
こんな悲しいこと、悲しいまま
でなんて終わらせないで欲しい。

立花くんからの告白には、
今もこれからもずっと好きな
人がいるからと断っていた。
阪木くんを通して優子が持っていた
吾妻さんの家の合鍵は返され、それ
からは多分、優子と吾妻さんが連絡
を取り合うこともなかっただろう。
ただ吾妻さんの誕生日の日、優子は
プレゼントを持ち数学準備室に行った。
今はまだ、ただの先生と生徒に
戻って2人が何も気にしないで
お互いを好きだと言えるように
なるまで、正しいままで恋をする
ことが出来るようになる日まで。
きっと本心から一旦別れたい
とかそんなことを思ってるわけ
はなくて、それでもこの先ずっと
一緒にいたいからこそ今は耐える。
そう決心して吾妻さんにとってただ
の生徒に戻ることを決めたんだろう。
「早く追いついて下さいね。」
笑顔でそう言うと数学準備室を
後にする‥その直後鉢合わせた
阪木くんが見た優子は酷く不機嫌
そうな顔をしていたようだけど 笑
頑張ったね優子。
(同じ思いをすればいい。もう受け
取ってなんかあげないし、私は私の
やり方であなたに愛を注ぐのだ。)
あとは‥時間と、吾妻さんの
覚悟が決まるのを待ちながら、
優子は今まで通り自分に出来る
ことを頑張り続けるんだろう。

吾妻さんとの間に、それ以降
何かあった様子はなかった。
3年になり、優子達は受験生。
「そういえば加々美って、
相変わらず前言ってた奴好きなの?」
受験一色っぽい空気の中に突然
そんな話題を出したのは立花くん。
そして勉強のことで楽しい話に
飢えていそうなクラスメイトは
その話題に飛びついてきた 笑
「加々美さんって好きな人いるの!?」
そんなタイミングで教室に入ろうと
していた吾妻さんは、さすがに少々
気まずくて出直そうとするけど、
結局は聞いてしまって‥これ
めちゃくちゃ嬉しかっただろうな。
好きな人にそんなふうに思って
もらえてるとか‥私なら泣く 笑
聞いてるなんて思わなかったかも
しれないけど、結果的に優子の
気持ちはちゃんと届いてるよ。
吾妻さんも、諦める方向にじゃ
なく向き合う方に気持ちが向いて
くれてたらなって心から願った。

それからの日々はあっという間で、
優子は勉強を頑張り無事志望大学に
合格、卒業式の日を迎えていた。
高校は卒業して、吾妻さんの生徒
ではなくなるけど年齢差はずっと
埋まることも縮まることもない。
(この恋が間違いじゃ
なくなるのはいつだろう。)
会うことも連絡を取ることもなく
なってしまって優子の心は揺れる。
距離が開いてこのままお互いの中
から消えてしまうんじゃないか‥
なんて思い始めた3月31日のこと。
優子はクラス会に参加していた。
ここで起こったのが懐かしの事件 笑
今回はクラスメイトがお酒を
注文したわけではなく店員さんが
お酒を間違って出してしまった
ようで、優子さんまた飲酒 笑
気分が悪くなって早めに抜けて来たは
いいけど、暗い気持ちで考え込みながら
座ったベンチで気がつくと随分長い
時間を過ごしてしまってたらしい。
見つけてくれたのは吾妻さんだった。
いつまでも帰ってこないと心配して
吾妻さんに連絡をしたのはお母さん。
生徒と学生のうちは、お母さんに
だって何も言えずにいたけれど
ずっと優子の気持ちはバレバレで
お母さんも見守ってくれてたんだ。
卒業して教師と生徒ではなくなった
今やっと、胸を張って紹介できる。
その日のために、吾妻さんだって
ちゃんと覚悟を決めてくれてた。
卒業式の日に、改めて挨拶に
伺いたいって伝えてたんだ。
「……待たせてごめんね。俺と
付き合ってくれませんか。」
やっと、ここからはじまる。
~ひとこと~
‥まとめ下手で本当にすみません!!
大好きな作品を、素敵さを少しでも
お伝えしたいのに上手くまとまらず
要領を得ない感じだったらすみません。
卒業後の優子は、もう駄目なのかな
って、このままお互い忘れてくの
かななんて諦めの方向に向いていて
そのギリギリでお酒がタイミングを
作ってくれたみたいに思えた 笑
未成年の飲酒は駄目ですよ、
わかってるけどフィクション
なので‥意図しない間違いが
きっかけになることもあります。
正しくあるためにはたくさん苦しい
思いもするし時には諦めないと
いけないことも出てくるでしょう。
それでも諦められないものが
あるなら、時間はかかっても
絶対無理なものってそんなない。
それが「今は許されない恋」と
いうくらいのものならなおさら。
簡単じゃないし、この2人も少し
タイミングが合わなかったり少し
どちらかの気持ちが弱かったりしたら
こんなふうにはなれなかったかも。
だからこそ気持ちの大きさや相手を
思いやれる強さって大切だなって
思えたし、とても好きなお話でした。
駄文ではございますが、少しでも
この作品の素敵な所、魅力を
お伝えできていたら嬉しいです。