これは恋のはなし 第11巻【完】

著:チカ 先生

これは恋のはなし11-1

杉田とのゴタゴタはあったものの、
その後サトミとともに買い物の
荷物を持ち真一宅に帰る途中…
自分の家に立ち寄った遥だった。

そこにいたのは、予想して
いなかった母親の姿…でも
その母親はちゃんと自分を
娘の遥だと認識していて、
会話も正常に成り立つ。

…えっと、本当にもう大丈夫
だって思っていいんだろうか?

そんなふうに思えたのも
本の束の間の話だった。

兄を話題に出すと少々
おかしなことを言い出す母親。

終いには…こんなことを言う。
息子を追って死ぬ気でいるんだ。
そこに、遥も巻き込もうと…。

偶然にも、危険を感じて森本家に
上がり込んでいた杉田と、その
状況に危険を感じて森本家に急ぎ
向かう真一…過ぎただけじゃ今は
きっと何も出来ないんじゃない?

真一…急いで…遥が危ない。
杉田も…なんとか遥を守って。

これは恋のはなし11-2

森本家に辿り着いた真一。
そして、すぐに現状を理解した彼は、
遥の母親に向かってただただ伝える。

道連れにされる子供の気持ち。
自分が遥を愛しているということ。

そして、今の母親の思いに向き合う。
誰も認めてくれない。異常だと
言ってくる…そうか、確かにずっと
そうだったのかもしれないな。
本当の意味で母親と向き合って
来た人はいなかったかもしれない。

そんな状況なら余計に、母親が
心を閉ざしてしまうのもわかる。

ちゃんと分かってくれる人が
1人でもいたなら、認めてくれる
人が存在したなら違ったのかも。

たくさんの言葉を紡いで伝える。

「遥のためにも、家族のためにも…
愛情があるなら、生きてください。」

今は亡き母親に向けた言葉でも
あったのかもしれないな…まあ
それはかもってだけの話だけど。

真一の言葉を聞いて、まるで今まで
一人で溜め込んでいた思いを吐き出す
ように大声を上げて泣き出す母親。

そこに、ようやく帰ってきた父親が
駆け寄り、遥もそこへ駆け寄った。
きっと問題は簡単に解決できる程
のものではないんだろうと思う。

それでも…少しずつでも向き合う
ことが出来ればきっとこの家族は
またやり直せる所に立ったのだ。

死んでしまったら…おしまいだもの。
…頑張れみんな。向き合うんだ。

これは恋のはなし11-3

「あのとき…娘のことを愛してる
と…おっしゃってましたよね?」

母親を一旦病院に帰らせたと
後日…なのかな?謝罪と報告に
やってきた森本さんの口から
でたのはそんな言葉だった。

わは~ww聞いてらしたのw
そんなとこから聞いてたなら
もっと早くでてきてよもうw

というのはまあおいといて。

本気なのか、軽い気持ちで
あんなことを言ったのか…

あの森本さんがすごい勢いで
まくし立てるように真一の
思いを確認する…そして最後。

ゴッ

殴られたかしらの音ww
初めましての頃の森本さん
からは到底想像出来ないわw

さてさてね、いつかは直面
すると思っていたことだけど、
いやはや…頑張れ真一~ww

これは恋のはなし11-4

「これも全部遥が
持ってきたんだよな…。」

10歳の遥がこの家にやって
きたあの日から、少しずつ
増えていって当たり前の
ようにこの空間ができる。

それがずっと変わらず
あり続けているんだ。

随分と幸せそうな表情する
ようになったよね、真一。

でもそれはきっと遥もだ。
みんな、笑顔が増えたな。

ほんとすごくすごく温かい
家になったなって心から思う。

これは恋のはなし11-5

今回の一件で多くの遥の
大事なものを救ってくれた。

そんな真一を抱きしめる
形で「大好き…」そう告げた
遥に対して、真一が応える。

「…俺も同じだ。でもな
遥、それでも俺たちは
やっぱり…変わらないんだ。」

「そうですね、私たちは
変わらないですね…。」

真一の言葉に、随分と素直に、
それも笑顔で答えた遥だった。

「私やっとわかりました。
これが私たちの形なんです。
私はずっとずっと変わらずに
真一さんのそばにいるんです。」

もう、この2人が何かを迷うこと
はこの先ないのかもしれない。
2人の形を守りながら、きっと
この先もそばにいるんだろう。

ほんと…遥すごいよね。
遥には、真一敵わないよw

これは恋のはなし11-6

あれから…何年か経った。
何年だろうwでも少なくとも
8年とか経ってるんでないかな?

昔10歳の少女が現れたこの真一の
家には、今遥によく似た幼い少女
唯(ゆい)がいた。サクラがいた
場所にはララという猫…さすがに
サクラは他界したんだろうか…。

いろいろ話はすっ飛ばしてる
けど、あの時真一は森本さんに
殴られはしたものの…認めて
貰えたってことだろうな~。

杉田と詩子は…付き合ってる
ように見えたし…結婚はまだ?
みたいな話をしていたからね。

何もない。なにも変わらない。
ずっと悪い意味でしか捉える
ことが出来なかったけれど、
今の遥には違ったみたい。

昔から何も変わらず幸せ。
真一のそばにいられて幸せ
だと話した遥の表情は、
とても美しいものだった。

~ひとこと~

いやはや…色々と話がすっ飛ぶ
ことの多いお話だと感じてる。
でも、すごくすごく幸せな
終わり方をしたなと思います。

母親とのこじらせてしまった関係。
真一が入ったことで、遥と父親も
母親と、息子(兄)を失った悲しみと
向き合う覚悟ができたんだろう。

森本家の一件がなんとか落ち着いて、
この先も変わらないと言っていた
意味が少しずつ変わり始めていた。

そして最後には変わらず幸せ。
もう…ホント大好きな作品です。

チカ先生のお話はどうしても
エロ系に持ってくイメージが
強かったんですがこの作品は
そういうんではなくて本当に
純粋な想いを紡いでくれた。

人の弱さ、思いの強さ、脆さ、
人の暖かさ、家族の暖かさ。

たくさんのものを感じることが
出来た作品だなと思います。