著:チカ 先生

杉田とのゴタゴタはあったものの、
その後サトミとともに買い物の
荷物を持ち真一宅に帰る途中…
自分の家に立ち寄った遥だった。
そこにいたのは、予想して
いなかった母親の姿…でも
その母親はちゃんと自分を
娘の遥だと認識していて、
会話も正常に成り立つ。
…えっと、本当にもう大丈夫
だって思っていいんだろうか?
そんなふうに思えたのも
本の束の間の話だった。
兄を話題に出すと少々
おかしなことを言い出す母親。
終いには…こんなことを言う。
息子を追って死ぬ気でいるんだ。
そこに、遥も巻き込もうと…。
偶然にも、危険を感じて森本家に
上がり込んでいた杉田と、その
状況に危険を感じて森本家に急ぎ
向かう真一…過ぎただけじゃ今は
きっと何も出来ないんじゃない?
真一…急いで…遥が危ない。
杉田も…なんとか遥を守って。

森本家に辿り着いた真一。
そして、すぐに現状を理解した彼は、
遥の母親に向かってただただ伝える。
道連れにされる子供の気持ち。
自分が遥を愛しているということ。
そして、今の母親の思いに向き合う。
誰も認めてくれない。異常だと
言ってくる…そうか、確かにずっと
そうだったのかもしれないな。
本当の意味で母親と向き合って
来た人はいなかったかもしれない。
そんな状況なら余計に、母親が
心を閉ざしてしまうのもわかる。
ちゃんと分かってくれる人が
1人でもいたなら、認めてくれる
人が存在したなら違ったのかも。
たくさんの言葉を紡いで伝える。
「遥のためにも、家族のためにも…
愛情があるなら、生きてください。」
今は亡き母親に向けた言葉でも
あったのかもしれないな…まあ
それはかもってだけの話だけど。
真一の言葉を聞いて、まるで今まで
一人で溜め込んでいた思いを吐き出す
ように大声を上げて泣き出す母親。
そこに、ようやく帰ってきた父親が
駆け寄り、遥もそこへ駆け寄った。
きっと問題は簡単に解決できる程
のものではないんだろうと思う。
それでも…少しずつでも向き合う
ことが出来ればきっとこの家族は
またやり直せる所に立ったのだ。
死んでしまったら…おしまいだもの。
…頑張れみんな。向き合うんだ。

「あのとき…娘のことを愛してる
と…おっしゃってましたよね?」
母親を一旦病院に帰らせたと
後日…なのかな?謝罪と報告に
やってきた森本さんの口から
でたのはそんな言葉だった。
わは~ww聞いてらしたのw
そんなとこから聞いてたなら
もっと早くでてきてよもうw
というのはまあおいといて。
本気なのか、軽い気持ちで
あんなことを言ったのか…
あの森本さんがすごい勢いで
まくし立てるように真一の
思いを確認する…そして最後。
ゴッ
殴られたかしらの音ww
初めましての頃の森本さん
からは到底想像出来ないわw
さてさてね、いつかは直面
すると思っていたことだけど、
いやはや…頑張れ真一~ww

「これも全部遥が
持ってきたんだよな…。」
10歳の遥がこの家にやって
きたあの日から、少しずつ
増えていって当たり前の
ようにこの空間ができる。
それがずっと変わらず
あり続けているんだ。
随分と幸せそうな表情する
ようになったよね、真一。
でもそれはきっと遥もだ。
みんな、笑顔が増えたな。
ほんとすごくすごく温かい
家になったなって心から思う。

今回の一件で多くの遥の
大事なものを救ってくれた。
そんな真一を抱きしめる
形で「大好き…」そう告げた
遥に対して、真一が応える。
「…俺も同じだ。でもな
遥、それでも俺たちは
やっぱり…変わらないんだ。」
「そうですね、私たちは
変わらないですね…。」
真一の言葉に、随分と素直に、
それも笑顔で答えた遥だった。
「私やっとわかりました。
これが私たちの形なんです。
私はずっとずっと変わらずに
真一さんのそばにいるんです。」
もう、この2人が何かを迷うこと
はこの先ないのかもしれない。
2人の形を守りながら、きっと
この先もそばにいるんだろう。
ほんと…遥すごいよね。
遥には、真一敵わないよw

あれから…何年か経った。
何年だろうwでも少なくとも
8年とか経ってるんでないかな?
昔10歳の少女が現れたこの真一の
家には、今遥によく似た幼い少女
唯(ゆい)がいた。サクラがいた
場所にはララという猫…さすがに
サクラは他界したんだろうか…。
いろいろ話はすっ飛ばしてる
けど、あの時真一は森本さんに
殴られはしたものの…認めて
貰えたってことだろうな~。
杉田と詩子は…付き合ってる
ように見えたし…結婚はまだ?
みたいな話をしていたからね。
何もない。なにも変わらない。
ずっと悪い意味でしか捉える
ことが出来なかったけれど、
今の遥には違ったみたい。
昔から何も変わらず幸せ。
真一のそばにいられて幸せ
だと話した遥の表情は、
とても美しいものだった。
~ひとこと~
いやはや…色々と話がすっ飛ぶ
ことの多いお話だと感じてる。
でも、すごくすごく幸せな
終わり方をしたなと思います。
母親とのこじらせてしまった関係。
真一が入ったことで、遥と父親も
母親と、息子(兄)を失った悲しみと
向き合う覚悟ができたんだろう。
森本家の一件がなんとか落ち着いて、
この先も変わらないと言っていた
意味が少しずつ変わり始めていた。
そして最後には変わらず幸せ。
もう…ホント大好きな作品です。
チカ先生のお話はどうしても
エロ系に持ってくイメージが
強かったんですがこの作品は
そういうんではなくて本当に
純粋な想いを紡いでくれた。
人の弱さ、思いの強さ、脆さ、
人の暖かさ、家族の暖かさ。
たくさんのものを感じることが
出来た作品だなと思います。