これは恋のはなし 第10巻

著:チカ 先生

これは恋のはなし10-1

遥に詰め寄った杉田は、
冗談だよ…なんて言うけど
その後に続いた言葉や態度は
全てが冗談なんて思ってない
んじゃないかと思えてしまう。

「このままでいいってのは
本当に本心?思い合ってても
絶対に関係は進まないなんて
なんの意味があんの?」

意味を求めてそばにいるわけでは
ないだろう。好きだからそばに
いたいからいるんだろう。でも、
今の遥には随分ひどい言葉だ。

最後にこう言って
杉田は立ち去った。

「森本の気持ちも変わってない
かもしれないけど、俺の気持ちも
変わってないから、また来るな。」

杉田が真一の家に来なくなって
数年…数年ぶりにやって来た彼は
随分大人びた雰囲気に変わってた。

そして…大人な真一には太刀打ち
出来ない…なんて悔し涙を流して
いた杉田は今、本格的に真一から
遥を奪いに来たのかもしれない。

詩子が杉田に、杉田が遥に
恋心を抱いている状態で、
あの頃と同じように戻るの
はもう無理なことかもな…。

これは恋のはなし10-2

「詩子ちゃん…やっぱり変?私たち…」

杉田に言われた言葉たちから、
遥は自分と真一の関係は変なの
かと悩んでしまったようだった。

デートも何もない、それ以外にも
恋人同士のようなことは一切ない。

そんな関係の中で、真一自身も
何もなかったように振る舞う。

きっとすごく寂しかっただろうし、
不安にも、たくさんなったろう。

でも、この問い掛けに対して
詩子がくれた言葉は、今の遥に
とって自分を…自分と真一の
関係を認めてもらえたようで
すごく嬉しかったんでないかな。

詩子…ほんと第一印象がひどい
感じだった分余計今好きだわw

これは恋のはなし10-3

「これはいつまで続きますか?
いつになれば普通の…」

詩子の言葉に勇気をもらったの
かもしれない。それで一度真一
に聞いてみようと思ったのかも。

こんなお互い何も出来ないような
関係は一体いつまで続くのかと。
真一から帰ってきた言葉は酷だ。

「付き合うとかそーいう言葉で括った
としても、俺たちはなにもない。」

でも真一は心から自分の発言を
正しいと思っていったわけでは
なかったんじゃないかなと思う。

(先のことなんて今はわから
ない。約束もできない。
今の俺には、こうするしか。)

他に方法がわからなかった。
他に言葉が出てこなかった。
ただ、これから先の遥の負担に
なるような無責任なことを
言ってはいけない…そんな
ふうに思ってる気さえした。

でもそんな言葉で、遥は涙する。
それを見つけた遥は、いつもなら
断っていたであろう杉田の誘いに
乗って真一の家を飛び出していった。

これは恋のはなし10-4

杉田の誘いに乗ってしまった
遥は、次の日学校を休んだ。
携帯電話すら真一の家に置いた
ままの状態で連絡すらつかない。

そんな状態でもしかしたら…
と杉田に連絡を入れた詩子。
そこで杉田と一緒にいるとわかり、
大慌てで遥を探しに走った真一。

無事合流し帰り道を歩く時、杉田
が真一にこんな質問を投げかけた。

「さっきの慌てようは保護者
として?それとも…嫉妬?」

質問には答えずに質問を返す真一。

「おまえいつからそんな
根性悪くなったんだ?」

「こっちもマジなんで。」

杉田…これからもガツガツ来そうね。
遥の隙をついて、確かに昔みたいな
やり方では遥は揺らがなかったろう。
でもやっぱりすごく…寂しいかも。

でもこれが杉田の本気の示し方
だっていうんなら…やっぱり
遥には逆効果な気がしてる。

今回の件で酷く嫉妬した真一。
寂しさや不安を覚えつつも、
それでも真一を好きでいる遥。

一件邪魔してるようにみえる
杉田だけど…結果的には2人の
絆を深めているように思えた。

これは恋のはなし10-5

真一は遥に手を出さない。
保護者だから。何よりも
年齢的に手を出せない。

だから今まで本当に何も
しないままでやってきた。

でも本当はね、きっと衝動が
わいてきたって我慢するしか
出来ない状況なんだと思う。

手を出してはいけないから。
そんな関係虚しいかもしれない。
それでも、他に方法がない。
その程度の軽い気持ちだとか
言うことでは絶対ないだろう。

でも…それで事実遥がとても不安に
なっている…そんな遥をこのままで
いさせるのは嫌だったんだろうな。

だから、こんな強引なことを
してしまってるのかもしれない。

杉田の思いだってきっと本物。
遥を思って、遥を心配してる。
だけど、それは結局遥と真一を
引っ掻き回してるだけなのだよね。

これは恋のはなし10-6

番外編、詩子と杉田がメインのお話が
描かれていました。本編の方で杉田が
変わり果ててしまったと悲しく思って
いた私ですが…どうやらそんなことは
なかったのかもしれませんね…w

高校生になって、変に大人ぶっている
最近の彼だけど、昔と変わっていない
所も実はたくさんあったりして。

大人ぶっていたって、変にかっこ
つけていたってあの頃の杉田はまだ
彼の中にちゃんと残っていたみたい。

なんてお話が描かれている
番外編になってるわけですが…

そんな様子を見て、一安心。詩子も
きっと安心とともに好きだって気持ち
も再確認したんじゃなかったろうか。

叶わぬ恋を追いかけるのはやめて
新しい恋をするんだと思っていた
詩子だったが…今も杉田を好きだ。

そして杉田も遥を好きなまま。
いろいろ変わってしまったようで、
変わらないままのものもあった。

いつか…振り向かせられたらいい。
頑張れ詩子。諦めないで欲しい。

~ひとこと~

杉田が昔のままで安心した番外編w
そしてちゃっかり登場してたのが
大垣親子…そう、娘かほりちゃん。
ちゃっかりでてきましたよ笑ったw
もう2人目が舞穂のお腹にいるみたい。

そしてそして本編の方ですが、ついに
いろいろと精神に問題のあるという
母親が動き出したようでございます。

亡くなった兄のことばかりだという
母親でしたが、最近になって遥に
会いたいといい出したようなんです。

それで家に帰りたがっているという
話を遥の父から連絡を受けた真一。
遥にその話はしないままに、遥を
なるべく一人にしないようにと動き
出した真一を始めとする大人達。

でも、本編最後の杉田の行動で家を
飛び出していってしまった遥…実は
母親に見つかってしまっていたよう。

次巻で最終巻ですが、まだまだ不安な
要素が山積みなままのこれは恋のはなし。

最終巻、どのように描かれるのか。
それでは、11巻でお会いしましょう。