著:チカ 先生

自分の家に戻ってくると遥がいた。
久々に会った遥を見て…平静を
装おうとする真一だったけど、
どうにも無理な状況らしいw
意識すると…なるよね、こうw
さて…これから真一は遥の前に
どんな顔して出るというんだろう。

真一が悩みに悩んで出した
結論…それ以外に出すことが
できなかったが正しいのかな?
「今までと一緒、それだけだよ。」
遥に対して明らかに今までと同じ
対応が出来なくなってるのに、
それでも今まで通りにするという
答えしか出せなかったようだった。
彼の気持ちの変化を本当に
知っているのは大垣だけ。
大垣はこの先も真一のこの
変化や小さなことで動揺する
様を見て笑ってるんだろうなw
でもうん…頑張れ真一。
この先のことはわからない。
でもほんと、今の状況では
何も出来ないんだろうな。

遥が地味に心配していたこと。
火事(ボヤ騒ぎ)のことだった。
真一がキスをきっかけに家を
出て、ホテルで執筆作業に集中
していた期間内に、サトミ達が
修繕を全てやってくれていた
おかげで、新しくなったものは
あれど火事を思い出させるものは
家の中にはなくなってたろう。
それでも、もう随分昔のこと
みたいに真一の頭からあんなに
動揺し恐怖した火事のことが
すっぽり抜け落ちてしまってた。
遥のことで、頭がいっぱいに
なっていた証拠だろうね。
恋の力…ほんとすごいなww

遥への想いを自覚したら益々
遥に対してどう接していいのか
わからなくなり避けるような
態度を取りがちになった真一。
それを打開しようと映画に
真一を誘った遥…断ろうとして
しゅんとする遥を見て結局OKを
出した真一だった。でもその日
実は朝から調子が悪かったらしい
遥は、途中で体調を悪化させた。
こんな気持ちを抱いたままで自分は
いつまでも遥のそばにいていいのか。
ダメだろう…なんて考えを巡らせた
真一だったけど、体調を崩して一人
でほっとくことも出来ないとも思う。
好きになってしまってもそれが
叶わないものだと気付いた時、
ありもしないたらればを並べて
みたくなるものなんだろうと思う。
でも、きっとそんなふうに条件が
違った状態で出逢ったところでまた
同じように恋に落ちたとは限らない。
あの時、あのタイミングで出逢って
時を一緒に過ごしてきたからこの
思いが生まれた…ほんと残酷だ。

大人ってずるいんだよね。
大人になればなるほどずるさ
を覚えないとしんどいからね、
それが悪いとかじゃないけど。
気恥ずかしさもあったろうし
素直に言えないのもわかる。
それでもこれは言っちゃダメ
だったな~、遥傷ついただろう。
例のキスのこと…今までずっと
問い詰められることを真一自身
阻止しようとしてたのもあるけど
…突然m止めることも出来ずに
つっこまれてしまって慌てて
口から出てしまった言葉だった。
あー、これほんとあかん。
遥が可哀想すぎんだろう…。
はずみ…衝動的にって意味では
間違ってはいないかもしれない
けど、それにしたってそこに
あった気持ちを伏せたままで
はずみなんて言ったらさすがに
酷く傷つけるってわかるだろうに。
真一自身、失敗したとひどく後悔
したが、本人が1番テンパってる
状態だったからね…ダイジョブかな。

遥を傷つける発言をして
しまったあの日…真一は大垣に
こんな問いかけをしていた。
「女に『ごめん』って
言ったことあるか?」
それを後になって答えてくれた
大垣だったけれど…そうだよな。
大垣とか真一にしたってそうだ。
ごめんなんて素直に言えないような
人がごめんって言えるような相手、
言わなきゃってなるような相手が
いるとしたら、そうやって自分を
曲げてでも傍にいたいという存在
に対してなのかもしれないと思う。
…真一は遥に…言えるかな?

真一なりの精一杯の言葉だった
のかもしれない…こんな言い方しか
出来なくても必死な謝罪の言葉の
つもりだったのかもしれないと思う。
でもそんな言いたいことだけ言って
立ち去ろうとする真一に対して、
遥は涙を流しながら言ったんだよ。
「ごめん…なさ…」
「私が勝手に怒ってムキになって…
だから嫌いにならないでください。」
そんな彼女の言葉、態度を
見て真一はこんなことを思った。
(やっぱり、こいつなのかな…)
大垣にとっての奥さんのような存在。
真一にとっては遥なのかな…って。
そんな彼女の頭に手をおいて、
宥めるようにして伝えた。
「遥…俺がおまえを嫌い
になるわけないだろ。」
年齢、立場上どうにも出来ない
今の2人の関係…どうなってくのか。
~ひとこと~
進みそうで進まない。
進みたいけど進めない。
とても暖かく優しい、それでも
とても苦しくて切ない恋の話。
やっぱり読み進めてて苦しいなと
感じることがすごく多いんです。
叶わない恋って…好きな気持ちが
強ければ強いほどつらいものよね。
でも…どうなるんだろうなほんと。