これは恋のはなし 第2巻

著:チカ 先生

これは恋のはなし2-1

(俺からなにか言ったわけでも
なく気づいたらこうなっていた。)

いつの間にか、遥がいる時間が
日常の一部になってしまってた。
甲斐甲斐しくも、部屋を掃除して
食事を用意してくれる遥はまるで
嫁そのもので…これはいろいろと
ちゃんと考えなきゃいけないような
気もするけど考え始めたらもう
それこそドツボにはまるのかもな。

これは恋のはなし2-2

健気に真一を思う遥に対して、

「落とせない男じゃないかも
よ?ゆっくり時間をかけて、
内海好みの女性になれば。」

そんな言葉とともに真一の小説が載る
いる最新号を遥に渡した大垣だった。
内海真一の頭の中が少しわかるかも
なんて言ってね。でも実際小説の
内容には遥には難しくて、結局は
よく分からないで終わったのだけど。

敵を知るため…なんて理由で真一の
本を読んでいた杉田にどんな意味の
話かを尋ねてみることにした遥。

「娘は成長するに連れて母親に
似てくるし、おっさんはその娘を
拒みながらもどっか自分好みの
女にしようと導いてる感じで…」

そんなふうに内容を話した杉田。
ある時、小説のモデルは自分かと
尋ねてきた遥に、戸惑いながらも
それを否定した。そしてついでにと
言ってこんなことを言ったのだ。

この時の真一の心に一体何が
あったのか…真相はわからない。
でも、きっと何かしらの変化が
あって、彼自身も実はそれに
戸惑ってるような気がした。

これは恋のはなし2-3

珍しく真一が遥を家まで送って
行った日、偶然にも家の中には
遥の父親が帰ってきていた。

真一を不審に思い、彼の素性を
調べている様子の父親を偶然
大垣が見つけ、わざわざ真一
の家まで連れてきたのだった。
ほんと、大垣やること怖いわ。
ネタのもとが降ってきたとでも
言わんばかりの表情だったわw

真一、遥父(森本さん)、大垣が
集まるその場で話されたことは、
今の状況に至った事情と理由、
そして真一の過去にも、両親が
死んでしまって独りだった話。

一家心中だったらしい…そこで
真一だけが生き残ってしまった。

それだから、独りの寂しさは
重々承知しているんだろう。

そこまで話すと、父親は相談を持ち
かけるかのように話し出す。今まで
家のことは全て妻に任せていて、
子供たちに関しても安心していた。

でも長男が不慮の事故でなくなって
から精神のバランスを保てなくなった
妻は自宅療養では難しい状態で入院。

それで遥が独りになることは承知
していた…自分の中で出来る限りの
こと・家政婦をつけることもした。

家族もいるが大きな会社の社員も
抱えてる。結構な立場の人なんだろう。

とはいえ、たった1人の娘を差し
置いてまでというのはさすがに…

そんな状況に現れたのがサトミ。
元々来る予定になってたらしい。

…サトミがとんでもないことを
言い出してしまったんですが…。

これは恋のはなし2-4

少し何かを考えていた様子の森本
さんだったけど、遥を心配しての
沈黙ではなかった気がしてしまった。

まるで、そうしてくれるなら
ありがたいいろいろ都合がいいな…
なんて考えてるかのように思えた。
事実はわからないけれどもね。

そんな話に父親が納得するわけが
ないと主張していた真一の思いとは
裏腹に、森本さんから出た言葉は
サトミの案を肯定しようとしたもの。

森本さんの言葉を遮って彼に怒鳴り
散らした真一。それを止めたのは
学校から帰ってきた所の遥だった。

「お父さんを怒らないでくだ
さい。全部私が悪いんです。」

そして真一の背後に隠れたままの
状態で父親にあるお願いをした。

「お父さんにお願いがあります。
ここのみんなはいい人です。
みんな優しくて大好きです。私…
ここにいたいです…ダメですか…?」

うまい言葉も出てこず、娘の頭を
撫でることもできないまま、森本さん
はその場をあとにしてしまった。

これは恋のはなし2-5

仕事…真一の小説のためなら
どんなことでもしてみせると
いう大垣。それで遥や杉田を
ダシにしているのは事実だ。

そんな大垣に対し、初めは遥の
恋心を応援する素振りを見せて
いたサトミも、遥が本気になれば
なるほどそれを後悔し始めた。

「真一が遥ちゃんを受け入れ
てるのは同族意識からで、同情
でしかないわ。遥ちゃんにとって
これは叶わぬ恋なのよ…。」

過去にそんな辛さを経験している
というサトミは、そんな思いを遥
にまでさせたくないのだと話した。

大垣いわく真一のことだという。
サトミ…元々男だけど、ずっと
真一のことが好きだったみたい。

仕事のために人の心をダシにする
ような大垣のやりかたは正直納得
出来ていないが…それでも彼は
彼なりに思ってることはあるみたい。

「無理な話なんだよ。
止められないんだよ。」

恋心ってそういうもんだよな…。
でもやっぱり…つらいよね。

これは恋のはなし2-6

少し経ったある時、森本さん
は再び真一の家を訪れた。

「内海先生…少しお力をかしていただけ
ないでしょうか。勝手なお願いだという
ことは重々承知しております。しかし、
私に少々お時間をいただきたいんです。

私もあの子ともっと歩み寄る
努力をするつもりです。」

「内海先生、どうかお願い致します。」

そう言って、彼は真一に頭を下げた。
おそらく真一の中でも納得はまだ
いかないままだったのではないだろうか。

それでも、今はそうするしかない
のかもしれないって思ったのかな。

父親が真一の家に行っていることを
聞いていた遥は学校から大急ぎで
真一の家にやってきた。少し時間を
なんていっていた森本さんだけど、
彼なりに一生懸命娘と向き合おうと
覚悟を決め始めてるのかもしれない。

まだまだぎこちない親子だけど、
こうやって少しずつでも遥の家族
というものが出来上がってけばいい。

そんなふうに思いつつも、どこか
寂しそうに見えた真一の姿だった。

これは恋のはなし2-7

「親父さんに頼まれたからな。
まぁ仮の保護者みたいなもんだ。」

森本さんのお願いを受ける
ことにした様子の真一。

だからといって、家に上げることを
許可した程度でそれ以上は何もない。

そう、壁を作るように言った真一に
遥がこういって微笑んでみせた。

「早く大人になります。
大人になるまで我慢します。」

振り返った彼女の表情に、前にも
浮かんだイメージのようなもの。
事実ではないのだからイメージ
なんだろうけど、彼にはそんな
ふうに見えてしまったんだという。

…仮の保護者と子供。
それだけの関係なはずの2人。
でも遥の心は勿論だが、少しずつ
真一にも変化が出ている気がする。

~ひとこと~

2巻でした。さてさてどうだった
でしょう?いろいろとまだまだ
問題は山積みなんだと思います。

それでも、一応は少しずつでも
いい方に向かってる気がします。
そう、信じてみたいですね。