君に届け 番外編 ~運命の人~ 第1巻

(たまに思うの。
爽子ちゃんはもしかしてわたしの
運命のひとなんじゃないかって。)

大学に入ってから住む家も爽子と
近いくるみは、自分の家に帰っても
爽子の家に泊まる日も‥殆どの時間を
爽子と一緒に過ごようになっていった。

爽子のそばがくるみにとって安心
出来る時間で場所だったんだろう。

ある日、予定していた合コンに欠員が
出て爽子とくるみが声をかけられた。

「爽子ちゃんが行くなら行こーかな。」

「彼氏とか夢、いーなー
爽子ちゃんは風早がいて…。」

「私も出会いとかほしーなーひとり
じゃ心細いなー…いーなー爽子ちゃん。」

彼氏への憧れとかそういうのはあった。
でもあえて爽子を煽るような言い方を
してしまったのはくるみの悪い癖だね。

くるみのこんな態度に、爽子は断る
ことができなかった‥というよりも
くるみの気持ちを応援したくなった
っていう方が強かったかもしれない。

風早に連絡を入れ、めっちゃ焦ってた
けど最初で最後、きっちりサポートを
つとめてくるなんて爽子の意気込みを
聞いて風早もすっごい顔をしてたけど
大丈夫信じてるとしか言えなかった 笑

そう‥あくまでくるみのわがままで
本当は合コンとかどうでもよかった。
ただ少しだけ、いつも笑顔でそばに
いてくれる爽子を困らせたかった。

容姿が可愛くて昔からめっちゃモテた
くるみだけど、過去にしてきたことは
決して消えない‥きっと自分のことが
好きじゃないんだろう、自信がないゆえ
大好きな爽子の気持ちを確認したくなる。
きっとそういう感じなんじゃないかな。

大学に入ると随分とモテるようになった
爽子を守らなきゃ、そんなことを考える
くるみと共に、爽子は合コンへ行った。

合コンで爽子の目の前の席に座った
のは、どうも挙動や発言が不審な男。
どうやら爽子に目をつけたそいつは
占いとかくつけて爽子の手を触ろうと
する、それに気付いてくるみが阻止‥
すると今度はくるみの頬まで触ろうと
してきた‥完璧にセクハラだった。

くるみの態度の意味に気付いた
爽子もくるみを守ろうとするも‥
頬に伸びてきたその手は触れて
くることなく突然現れたえーじ
お兄ちゃんによって阻止された。

偶然にもすぐ近くの席にいた彼は
従妹の爽子が名乗ったのを聞いて、
やたらと声がでかいおかしな男の
態度や発言が気持ち悪いことにも
気付いて様子を窺ってたみたいだ。

さすがに危ないと思って背中側から
その男の襟元を掴んで止めてくれた。
そのまま、爽子だけでなくくるみの
ことも一緒に連れてその合コンから
抜け出させてくれたえーじだった。

(……爽子つあんの血筋かあ……。)

なんてこと思っていたくるみだけど、
帰り道話してみたらそれも疑わしく
感じる少々意地悪な雰囲気のする人。

くるみがいつものごとく梅と呼ばれる
ことを拒絶するのもおかまいなしだし、
なんだかすごくズカズカと‥初対面の
女の子に対する態度にしては意地悪 笑

くるみはそんなふうに思っていたけど、
初対面からくるみにとって彼の印象は
決して悪くはないように思えた‥私の
願望かも知れないけど、昔からモテて
きたくるみにとってこういう男の人は
随分と新鮮だったんじゃないだろうか。

爽子の招待で、えーじくんと3人で
爽子宅でご飯を食べたその日、前に
えーじくんが言ってたことだけど
くるみに男紹介するって話の流れで
どんなのが好みなのとか、これまで
好きになった人の話で過去くるみが
してきたことを大まかに話すことに。

爽子の彼氏(風早)を好きだったこと、
爽子にたくさん嫌がらせをしたこと、
自分がいかに性格悪いことしてたか、
それでも1度もて勝てる気しなかった
ってことも言ってた。今まで風早を
好きだったから彼氏いたこともない。

ずっと散々モテてきたのに、くるみは
ずっと一途に思い続けてたんだよね。

ご飯会を終え帰り道はえーじくんと
くるみの2人。なんの遠慮もなく彼は
くるみに「依存型?」と聞いてきた。

くるみもなんの躊躇いもなく答える。
爽子のことも風早のことも毎日見てて
ストーカーみたいで、合コンの時の
ストーカー男と何が違うんだろって。

風早を大好きだったくるみ、爽子に
依存するほど大好きになったくるみ。
昔も今も、本質的なところは変わって
ないのかもしれない‥寂しいんだね。
ずっと不安で、安心させてほしいんだ。

言葉にしていた部分と気持ちの部分が
くるみの中でごっちゃになり始めた時
えーじくんが何を思ったかわからない。

でも突然、こんなことを言った。

「つきあうか、梅。安心しろよ、
許してやるから。ためしてみ?」

その発言は軽くはなかったけど、重みも
あまり感じ取れなくて真意を掴めない。

好きとか、そういう告白ではなかった、
ただ付き合うか‥と。くるみは怒った。

「わたしのこと誰だと思ってるの
~~~~~くるみだよ!!くるみだって
ばっっ、あの!くるみだよっっ。」

胡桃沢梅として、『くるみ』としての
プライドが勝ってしまったようです 笑
あのくるみ、えーじくんにはわからん
部分だったろーな‥ほんと新鮮です。

後日、くるみは爽子に事の顛末を話した。
結果的に振った、というところまでをだ。
彼女の中のプライドと、それ以上にまだ
何も知らないというのが引っかかった。

すると爽子はワクワクした様子を見せて
出てくる限りのえーじくんの情報を
次から次へと話して聞かせてくれた。

あのご飯会の時から、爽子の目には
紹介なんて必要ないんじゃ‥えーじ
お兄ちゃんとくるみちゃんすごく気が
合いそうって感じに見えてたもの 笑

もう振ったんだから終わったんだと
爽子を止めようとするくるみは‥
どうやら自分の中にある感情には
いまいち気付いていないようだった。
気付かないふりしてたのかもしれない。

占いの本とか持ってるし、もう終わった
こととか言いながらすごいソワソワして
落ち着きのない様子を全く隠せていない。

そんな中突然の電話に焦って出られずに
いると、今度は爽子の方に電話が来て、
電話を変わられデートに誘われることに。

拒否権などないといった感じで話は
進められ‥結局くるみは約束の場所へ。
連絡無しでぶっちすることも出来た。
でもくるみはちゃんとそこに行った。

そこでのくるみ‥可愛すぎて困った 笑
(ご飯が)うめー、と言った言葉に対して
ずっと梅って呼んできてたものだから
名前を呼ばれたと勘違いし返事をした。

それが勘違いと気付いて、顔真っ赤。
あった瞬間からツンツンしてるのに
態度や表情はすごく落ち着きがなくて
なんかもういっぱいいっぱいだって
伝わってきてすごく可愛かったけど、

反応が可愛いって、きっとこれは全然
言われ慣れてなかったことだろうな。
これまでみんな顔を見て可愛いって
寄ってくる男ばかりだったんだろう。

くるみ自身可愛らしい『くるみ』として
ボロが出ないように取り繕ってきてたし
こんな素で、黒いところも知ってる人に
顔以外を可愛いって褒められることに‥
くるみは非常に動揺したことだろう 笑

そんな流れで、えーじって名前を呼ぶ
ように言われ‥ちょ、待って、可愛い。

くるみが可愛すぎてやばいデートです。
えーじくん嬉しそうにはしてたけど
照れる様子もなく、随分落ち着いてて
どうしてこんな可愛い子目の前にして
(もちろん顔だけじゃなく、態度とか
反応とか全体的に可愛すぎるんです)
平然としてられるんだろうと思った 笑

気付いたら惹かれてたんだろう。
でもえーじくんは付き合う?とか
言ってくるわりに自分のことを好き
とかそういうの態度に全然出さない。

きっと好きなわけじゃないんだろう、
それでも気がつけばどんどん惹かれて
しまう自分を止めたかったんだろうよ。

でも、素直じゃないくるみのペースに
合わせてゆっくり、でも少し強引に
距離を縮めようとしてくれる彼の態度に
意地悪と思ってたのに優しさを感じた。

でも優しい人が自分を好きになるわけ
ないって、ここでまた不安な気持ちが。

そう、不安なんだよ。自分に自信が
なさすぎるせいでずっと不安なんだ。
不安になるくらい惹かれちゃってた。

「どーして付き合おうなんて言ったの?」

きっと安心したかったんだと思う。
だから梅はこんな質問を投げかけた。

「梅、全然自分を守ってなかった
からだよ……………今までどんな
扱われ方してきたんだよ。」

えーじくんは、そう答えていた。
好きとか以前に、なんとかして
あげたいって気持ちだったのかも。

確かにそうだったよ、合コンの時も
その後もあのおかしな男は目の前に
現れていて、ストーカーと化してて
危ない時があった、危なくない時も
爽子を守ろうと自分が傷つく言葉を
平気で口にし続けたことがたくさん。

「呼べよ、守るから。」

自分でも気付かなかった自分のこと、
気付いたらそういう内面にまで彼は
気付いてて寄り添おうとしてくれてる。

これで惹かれるなって方が難しいわ。

GWの連休中、ずっと依存気味だった
爽子が帰省して、風早に会いに行って
くるみは邪魔したくなくて残ったのかな。
ちょっとしたわがままで爽子を困らせる
ことはしても、本当に大事な時とかは
邪魔するようなことしたくないんだって。

そうして1人になってしまったであろう
時間くるみはえーじくん過ごしていた。

他愛もない会話、なんてことない食事、
ただ一緒にいられる時間が居心地のいい
ものになっていってて別れがたく感じる。

発言と表情が全く噛み合ってません 笑
帰りたくない、まだ一緒にいたいって
心の中が丸わかりな表情をしている。

えーじくん、そゆとこよく見てるよね。
素直じゃないくるみをわかってるから、
自分のわがままという体でくるみの心を
優先させようとしてくれてる気がする。

えーじくんは少し意地悪だけどいい人だ。
すごく優しい人だなとも感じるし、さらに
くるみのことをすごく可愛い子と思ってる
ってのも見てればわかる、すごくわかる。

それがイコール好きなのかは、やっぱり
難しい部分かも知れない、わかんない。
でもくるみはどう見ても惹かれちゃってて
もう何もなかったようには出来ないだろう。

心の温度差が歯がゆいのかもしれないね‥
くるみにとってえーじくんが安心できる
場所になればいいなって心から思います。

そしてえーじくんにとってくるみが、
好きな子になればいいなって思った。

一見いい感じに見えていたくるみと
えーじくんのデートは、ちょっとした
発言をきっかけに微妙な感じで別れた。

安心したくて聞いた言葉、でも彼の
口から出たのは決して安心できる
言葉ではなくて‥別れ際までお互い
やらかしたなーって感じになってた。

一人になった帰り道、途中にある
コンビニの中にストーカー男が
いることに気付いたくるみは怖く
なってえーじくんに電話をかけた。

きっとすごく不安だったと思うけど
状況を伝えて、向かいのファミレスで
様子を見てから帰るから大丈夫だと、
爽子狙いのはずだし自分がターゲット
じゃないから大丈夫だと電話を切った。

でも・・

「今日は!パンパカパーン。
梅梅に会いに来ました~~~!!!」

見つかった、そして気づくと自分が
ターゲットにされてしまっていた。

ファミレスまで来られ、席の隣に勝手に
座られ、すごく気持ち悪かっただろうし
怖かっただろうと思う。さらにはえーじ
くんのことを悪く言われて半泣きになり
ながら怒鳴りつけるも、この残念で頭の
おかしい男には全く話が通じてくれない。

めっちゃ近くに来られて、くるみが
反応できずにいるうちに‥気づくと
この男は反対側の席に座らされてて
目の前には、ずっと心で助けを求めた
えーじくんが汗だくになって立ってた。

助けてって言えなかった、でも彼は
ちゃんと助けに来てくれたんだよ。

警察に通報してくれたようだったし
このストーカーに関してはこれで
もう大丈夫になるのかもしれない。

いろいろ済んで、ファミレスを出て
くるみはえーじくんに沢山謝った。

来てほしいって素直に言えなくて、
試したこと、すぐ人を試すような
ことをしてしまうこと、いつも不安
でいっぱいなこと‥でももう嘘を
つきたくないからと素直に伝えた。

でもそんなくるみの強がりなんて
心の声なんてえーじくんには全て
お見通しだったとでも言うように

「ためしたの?それでも全然いーけど
オレは呼ばれたと思って来たけどね。」

きっとくるみ本人は自分の焦りとか
いっぱいいっぱいで気付いてないと
思うし、私から見ててもちゃんとは
気づけなかった。でもえーじくんさ、
くるみが可愛くて可愛くて仕方ないの。

好きって言葉が必要だと言われたら
難しいかもしれないけど、この2人は
とっても相性がいい、そばにいたら
安心できるし互いに必要としてる。

きっと、運命の人なんだよね。
ああ‥もう、2人とも大好き。

~ひとこと~

アニメ化も実写映画化もされている
君に届けの番外編なので、タイトル
だけは知ってるって方も多いでしょう。

でも映像化されていない部分にも多くの
魅力があり個人的に本当に大好きな作品
に番外編が出来てて嬉しすぎました!!

それも今回はくるみが主人公なお話。
まだ1巻のみですが、久々に読みながら
泣いたしめっちゃときめきまくりました。
こんなにときめいたのいつぶりだろう‥

おかしな男(名前を覚える気すら起きない)
の気持ち悪さは酷いですが、そんなの気に
ならないくらいときめきが待ってました。

このお話1ページ1ページがすごく素敵で
全然好きなとこ紹介しきれてないので、
少しでも興味持ってくれる人がいたら
ぜひぜひ読んでみてほしいと思います。

君届好きだった人はぜひ読んでほしいし
君届を読んだことがない人はぜひ、これ
を機に『君に届け』読んでみてください。

くるみ‥もう梅ちゃん(梅)でいいかな。
えーじくんの呼び方つられるんだよ 笑

梅とえーじくんどうなっていくんだろう、
続きがとても楽しみな作品が増えました。