君に届け 第27巻

著:椎名軽穂 先生

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「…店もトレーナーも…流された
わけじゃなくてやりたいこと
たどったら父ちゃんがいた。

こういうふうに育ったから
やりたいって思ったんだと思う。」

今までは、お互いに相手の話も聞かず
自分の考えばかり主張してきた2人。

でも、このままじゃいけないんだ
と父親の話を最後まで聞き、そこで
改めて自分の考えを聞いて貰おう。

そんなふうに考えて、
一生懸命思いを伝えた風早。

…すぐに返事をしてくれることは
なかったけれど、父親の方も初めて
息子の話を最後まで聞いてくれた。

すぐ返事が出てこなかったのも、
すぐには気持ちがまとまらなかった
だけなんじゃないかなと思う。

風早も父親も、よく似た頑固者だから、
似てるからこそこうやってちゃんと
向き合えたら答えは出ると思うんだ。

今まではきっと漠然としていた
自分の将来。ちゃんと自分の
意思で気持ちを固められたのは
ピンの言葉がきっかけだった。

ほんとピンは、普段あんなんだけど
よく生徒を見てるなってすごい思う。

そして、いろんな気持ちがが邪魔して
言えなかった言葉を伝えられたのは
爽子のおかげだと風早は言っていた。

やっと気付けた自分の思い。
やっと伝えられた言葉。

風早の思いがちゃんと
父親に伝わるといいな。

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「私が心配なのは、翔太
よりお父さんのほう。」

言いそびれましたが、風早母は
少し体調を崩して入院中です。

風早いわくよくあることらしい。
どこかが特別悪くてっていうこと
ではないのかな?だといいけど。

そんな妻の所へ見舞いに来た
父親は、息子と話したこと、
それで考えていたことを話す。

父親の方が、風早よりよっぽど
不器用なのかもしれないね。

息子が大切で仕方ないから、
心配して大事にしたくて。でも
それがから回ってしまうんだね。

…いい父ちゃんじゃないの。

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「勝つことじゃなく、人の上に立つこと
じゃなく、翔けることを望んだの。」

爽子を連れて風早が母親の見舞いに
行くと、母親は風早の名前をつけた
時の父親の話を聞かせてくれた。

他にも、風早がしてきたいろんな
ことで、ずっと喜んでいたんだって。

風早は父親がどうしたら喜ぶか
わからないと話したことがあった
けど、わかりにくいけどほんとは
ものすごく喜んでいたらしい。

母親に教えられてタンスの引き出しを
見ると、そこには風早が幼い頃から
父親にしてきたことが詰まっていた。

喜ばせたかったのかもしれない。
描いた絵や、手作りの肩たたき券、
今は捨てられてしまったらしいけど
そこには貰ったお菓子も大事に
入れておかれたみたいで、それを
捨てると言われて一緒に写真を
撮って残しておいたんだそうで、
そのアルバムが一緒に入っていた。

すごく…わかりにくいだけでほんとは
ものすごく大事に思われてたんだな。

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アルバムを見ていた風早の所に
やってきた父親が着ていたのは、
まさかの風早が修学旅行の土産に
買ってきたというアロハシャツ。

こういうのも、きっといろんな所に
大事に取ってあったんだろうなw

ああ…なんか風早父がすごく
温かい存在に思えてきたよ。
最初からインパクト強くて
おもしろい存在ではあったが。

そして風早の思いへの返答を
ようやく返してくれた父だった。

自立することを条件に、大学へ
行くことを許す…という内容で。

料理も出来ないし、いろいろと
心配だったのかもしれないね。
それでも立派に自立してほしくて、
それで家を追い出したがったのかもw

一先ず、ここから先まだまだ大変
なことは山積みだと思うけれど、
それでも第一歩、進めたみたいだ。

これからも、いろんなことがあって
ぶつかることが出てきたとしても、
またこんなふうに真っ正面から
向き合って話していけたらいいね。

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爽子のお誘いで、2人で
遊園地デートにやってきた。

受験で大変な時期だけど、
その前に幸せな思い出でも
作りたいと思ったのかな?

それとも、教育大にくための
覚悟を決めるためだったかな?

風早が1歩進んで、爽子もようやく
自分が本当に進みたい道を決めた。

大学が違えば離れてしまうことになる。
今のように学校に行けば会えるとか
そんな状況ではなくなってしまう。

寂しい、怖い。
いろんな思いがある。

それでも、本当に向かいたい道を
風早は応援したいと言ってくれた。
だから、爽子も覚悟できたんだろう。

先のことはわからない。
でも、精一杯頑張って欲しい。
そして、別々の場所へ向かうなら
尚更、今の時間を大事にしてほしい。

2人とも、頑張れ!!

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「あやねちゃんは…荒井先生が好き?」

最近どこか様子がおかしいあやねに
1番最初に気付いたのは爽子だった。

気持ちを自覚してからも、それを
隠してそのまま卒業しようと思って
爽子たちにすら話さなかったあやね。

でも、気付かれてしまった。

自覚して、言葉になった瞬間。
もう取り繕うこともできない程
気持ちが大きいことに気付く。

きっと初恋だから。初めて自分
から好きになった人だから…。

「(彼女欲しいとか言ってもさ、
そのうち彼女できたってさ
それ絶対あたしじゃないし。)

(それにこのひと…絶対生徒に
手ー出さない。絶対出さない。
あたしのこともそういう風
には絶対見ない。どうこう
するつもりもないけど――。)」

先生と生徒だし、ピンからしたら
自分は恋愛対象外だろうしって
無理なんだって思ってしまっても
それくらいで気持ちは消えてくれない。

あやねの初恋は、どうなるんだろう。

〜ひとこと〜

お久しぶりの君届でした。
推薦組の龍や健人は無事合格。

進路を決めかねていた爽子や
風早もしっかりと先を決めた。

 それ以外の受験組も少しずつ
模試判定を上げていってる。

これから先、どうなるんだろう。
嬉しいことも寂しいことも、
きっとたくさん待ってると思う。

でも残り少ない高校生活だもの。
受験とかいろいろ大変だけど悔い
の残らないように過ごせたらいい。

恋に勉強に友情に。
これから先どんなお話に
なるのか。待ちきれねーw