君に届け 第25巻

著:椎名軽穂 先生

君に届け25-1

北北海道大会
準決勝当日

龍たち野球部を全校で
応援に行った…ちづは、
相変わらず応援したいのに
応援できなくて龍がつらそう
なのに頑張ってるのを見て
いられずその場を離れていた。

そんな時に風早が、教えて
くれたこと。ちづの声。

「しってる?吉田の声って
グラウンドにいっつも
超聞こえんの。そういう
時龍、打つ記憶しかない。」

そんなこと言われて、本当は
すごく応援したいのに離れる
のが怖くて応援できないって
気持ち、どうしたらいいのか
風早に問いたかったのかもな。

離れても応援できるのかって。
風早は前すっと決めてたと
言ってた。応援するって。

ちづはどんな答えを出すか。

君に届け25-2

「龍打てーー!!がんばれ!
龍!がんばれーーー!!」

中学の時、龍たちは負けて…
終わってしまったと言う
龍にまだ高校があるって、
龍の野球は終わってないって
そう言ったのはちづだった。

応援したいから、勝ち進んで
全校応援に行かせてって。

それが今だって。そう
気付いて応援しなきゃ
って応援したいって、
決心ついたのかな。

この応援で龍はヒットを打つ。
龍のヒットで同点まで追いついた。

最終的には3対4。おしくも
負けてしまったけど…ちづの
応援はちゃんと届いてた。

君に届け25-3

高校最後の大会が終わり、
龍は引退。終わった。

「終わったよ…終わった。」

そういう龍に対してちづは、

「終わってない!!…続き
が…ある…大学がある」

見送ることを、龍を応援し
続けることを決めたちづに、
龍もこう、答えてくれた。

「必ず戻るから、その
時は家族になろうな。
店、一緒にやろうな。」

頑張れ。頑張れ2人とも。

君に届け25-4

「不思議だよね。あんなに
離れるの嫌がってて―…
でも…龍の帰る場所になろう
って思ったらさ、なんか
すっきりしちゃって。」

ちづが出した答え。
もしあのまま応援できない
ままでいたら、きっと龍が
勝って大学へ行っても、
負けて一緒にいられても、
きっと後悔することに
なってたろうって思う。

ちづがこんなふうに思えて、
ちゃんと応援できて、
ほんと良かったなって思う。

爽子と風早も、2人のように
ちゃんと自分に、お互いに
向き合ってかないとですね。

君に届け25-5

「全校応援の時!『離れても
心から爽子のこと応援でき
んの』って聞いたら、風早
『なめんなよ』だってー!!」

ちづが勝手に口走ったことで
爽子に風早の言葉が伝わる。

これがきっかけとなって、
爽子は本当に教育大が自分
にとって必要かどうか、
ちゃんと考えてみると
そう決意したのだけれど…

風早は爽子は教育大に行くべき
だって信じ込んでいて、もう
決まったことのように話して、
爽子はまだ決められていない
って改めてちゃんと考えて
決めると言っているのに
聞いてももらえない状況。

…初めてのケンカだね。
今まできっとぶつかることも
なかったかもしれないけれど、
この2人はこうやってぶつかる
ことも少しは必要かもしれない。
そうしないと、きっとお互い
わからないことだらけのまま。

結局このケンカは、偶然
居合わせたピンに止められて
最後まで、結論は出なかった。

けどその場を離れてからの2人。

「か……風早くんのばか!
…ちっちがうの。今のはっ…
まちがえたの、まちがえた!!」

「なんだよ…黒沼のばか。
……ち、ちがくてっ…!!
今のは…!!」

…似た者同士めw

ケンカも必要だ。
喧嘩して、ちゃんと本音で
話して、ぶつかればいい。

それで、お互いを理解
出来るようになるなら必要。

ちゃんと、話さないとだね。

君に届け25-6

「相手のこと考えてるよーで
自分ばっかなの風早は!」

言われて初めて気付いた。
そんな顔をしているね。

確かに結果的に風早は、健人が
あやねにしてたことと似たような
ことを爽子にしてしまっていた。

それに対して、爽子は本音で
ぶつかってきてくれたのに、
風早は最後まで建前を通した。
これじゃケンカも決着なんて
つきやしないよね…。風早、
昔は本音で爽子に接してた。
けどいつの間にか、爽子のため
って思って自分の中の建前を
押し付けるようになっていた。

風早が爽子と本音で向き合う
ことが出来れば、きっと爽子も
ちゃんと答えを出せる気がする。

風早、怖いかもしれないけど
ちゃんと本音でぶつかって。
頑張れ、2人とも。

~ひとこと~

25巻、最新刊でした。
今回はちづがすごく頑張った。
爽子と風早は、ケンカをする
はめになってしまったけれど、
きっとこれからの2人には
必要なことだったろうと思う。

26巻、少し先になるでしょうが
2人のケンカに決着はつくかな?
お互い本音でぶつかれますように。

これまで25巻、長々とお付き合い
いただきありがとうございました。

これからもよろしくお願いします。