君に届け 第16巻

著:椎名軽穂 先生

君に届け16-1

クリスマス前、付き合ってる
2人なんだから2人でクリスマス
だって出来るんだ。そんな話を
あやねとちづとした爽子は、
2人でクリスマスやりたいな~
なんて考えていたのだけれど…

風早に『みんなで』と言われる。
みんなででもそれはそれで
とても楽しめるかもしれない。

大好きな友達もいるわけだし。

でも…んー…お互い、
本当にそれでいいのかな??

風早、変なとこ気を
使っちゃったのかな…。

君に届け16-2

あぁ…なるほどね。
風早的に理性との戦いな
わけか…そうなんですね。

爽パパに…なんだっけな。
真面目に(真剣に?)付き合う、
大事にする宣言をしていて、
でも修学旅行の時みたいに
理性が飛んじゃうようじゃ
ダメって…後悔してるのかな…。

今になれば納得ですわ。
修学旅行の時、風早爽子に
ごめんって言ったんだよね。

何のゴメンだろうって思った。
理性保てなくて、大事に出来な
くて…みたいのがあったのかな。

…伝わりにくいな、すごく。

君に届け16-3

………やぱ、これで
良かったんだ。

本当は2人でやりたかった
んだろうと思う…けど、
大事にしたい、真面目にって
気持ちが彼にそうさせた。

偶然会った爽パパの安心
した顔に、余計にこれで
良かったと思ったんだろう。

本人たちの本当の気持ちは、
まるで無視しちゃってるけど。

風早のどこかおかしい様子
に、爽子は心配してる。
不安になってる…けどその
ことに風早は気付く余裕が
ないのかもしれないな…。

本当にこれでいいのか…

君に届け16-4

ギクシャクしている理由。

風早としては避けているつもり
ないのかもしれないけど、でも
理性を保つために一杯一杯な
風早の態度は、避けている
ように感じられるほどのもの。

早く、それに気付いて欲しい。
風早がいろいろ考えて不安に
なっているのと同じように、
爽子も自信がなくて、離れて
しまうのが怖くて一杯一杯
なのは同じだと思うんだよね。

風早なりに、いろいろと考え
悩んだ結果がこうなってたんだ。
こんな風早にケントは言った。

「思ってんのと違ったかも。風早
と貞子ちゃんはさ…似てるよ。」

「…初めて言われた……。」

風早、なんか嬉しそうだったな。
今まで真逆って言われてたしね。
タイプが、全然違うってさ。

『貞子』のレッテルをはられた
爽子と『爽やか』のレッテルを
はられた風早…だってさ。

爽子は風早に対して最初の
印象は確かに爽やかだったけど、
今は全く違うイメージがついて
いる気がするし、風早は最初から
貞子とは関係なく爽子を見ていた。

作られたレッテルに1番縛られてる
のは本人達なのかもしれないね。

君に届け16-5

まちがえた まちがえてた
私―――――――――――

距離をあけてたのは 私じゃなく
風早くんのほうだったんだ。

風早が何か悩んでいる
ふうだったのを心配して、
何かできることはないかと
話を聞こうとしたことがあった。

「…悩みがあるの?」

手を握ってそう尋ねた
爽子に対し、風早は手を
振りほどいてこう言った。

「…ないよ。」

この時のことや、クリスマス
2人でする気がないという父
から聞いた話で、爽子はこう
勘違いをしてしまった…。

君に届け16-6

なんでもできる あやね
ちゃんが――『あたしも
わからない』って…

今あやねは、ケントの優しさ
とか自分に対する臆病さとか、
どこまでも真っ直ぐな爽子や
ちづへの憧れだったりとか…

そういうのでいろいろなことが
わからなくなってしまってる。
自分のことでさえ、全然
わからなくなってしまってる。

みんながみんなそうではない
かもしれない、けどちゃんと
大好きになってくれる人がいる。
あやねが大好きになれる人も。

それを端から諦めてしまってる
彼女に、そう信じてもらいたい。
諦めてしまってほしくない。

爽子の言葉もケントの言葉も、
今はまだ届かないかもしれない。
けど、いつかでいいから、いつか
信じられるようになればいいな。

それまでは、友達でもいい。
ちづや爽子を大好きな気持ち。
ちづや爽子があやねを大好きな
気持ち。今はそれだけでも
忘れずにいてくれたらと思った。

~ひとこと~

なんだか、スレ違い
ばかり起こってる気がする。

同じ大好きの気持ち。
大切にしたいって気持ち。

同じ思いを持ってるのに
どうにも上手くいかないものね。

16巻は、なんだかみんな
つらそうな感じでしたね。
悩んでたり我慢してたり、
不安だったり心配だったり。

本当に幸せそうな笑顔とか、
楽しそうな表情とか…そういう
子達が極めて少ない巻でした。

まぁね、ごたついてますしね。

早くまた前みたいに本気で
笑えるようになってほしい。