著:椎名軽穂 先生

「だってつきあうってあれ
じゃん!!ちゅっ…ちゅーとか
するんじゃん………………!!!」
複雑だな…なんかすごく。
ちづは今と関係が変わって
いつか龍と別れることになる
ことを何より恐れているみたい。
一緒にいたいから、付き合う
とかそういうのは考えれない。
恋愛感情ではないのかな。
家族みたいな大事ってのは
多分すごく大きくあるんだろう。
けど…どうするんだろこれから。

「さけてたでしょ、
オレのこと。」
別に怒ったふうでなく、
優しい目をして言うケント。
「なんであやねちゃんの
こと見てるかわかる?」
そう、また優しく
問いかけてくる。
あたしのこと好きなのかな?
ってなるよね、普通…きっと。
まぁどう見てもそうなんだ
ろうが。最初の頃に爽子に
構ってた頃(浮いてる子を
馴染ませよう的な態度の頃)
とはまるで違う目つきだよ。
ケントは優しい、物凄く。
さて、こちらもどうなるか。

くだらないことを
くだらないまま話せない。
そういう仲になってしまったのか。
ずっと変わらずいたかった。
変わらずいられると思ってた。
けど龍の気持ちを知って、
今までと同じようになんて
出来なくなってしまったと知る。
今までと同じようにしよう
としたって、きっと出来ない。
変わりたくなかったのに、
変わってしまった…か。
ちづと龍…どうすんだよ。
このまま終わりなんて、
絶対に嫌だよ…。

「そんなこと、ないよ。」
自分を低く評価して、
恋愛だって、自分が本気で
好きにならないから相手も
そうなんだと話すあやねに
たいしてケントはそう言う。
自分を低く低く評価する
彼女に、ケントは全然
違った評価をする。
・頭もいい
・空気も読める
・ぬかりなくい
そんないい子がなんでそんな
低評価なのか不思議だって。
ケントなら、あやねに
変わるきっかけくれるかな?
あやねを不器用だというケント。
ピンは器用だって言ってる。
あやねは、器用だけど、器用
であるが故に思うように出来ない
ことが多くなってる気がする。
いろいろ知ってるから諦めたり、
安全な所に逃げてしまったり
してしまう、そんな気がする。
…どう…なるか。

そんなふうに話すちづに
対して、風早はこう言った。
「嬉しいとは、思わな
かったの?ちょっとも?」
そんなふうなこと、考えも
つかなかったというちづ。
終わってしまったと悔やむ、
自分の大事にしてきたものは
最初からなかったと悲しむ。
そんな気持ちが大きすぎて、
龍の気持ちに対して嬉しい
とか思う余裕もなかったかも。
風早の言葉を受けて、何か
ちづの気持ちは変わるだろうか。
良い方に、変化があると良いな。

まだ幼い頃のちづと龍。
小学生の時に母親をなくして、
徹も家を出てしまって…。
龍が1人になってしまうって
思ったのかもしれないな。
「ちづね、あんたの姉弟になる
から。なるからね、ぜったい。」
そう言ったんだ、これが、
ちづが大事にしてきたものの
最初だったのかもしれないね。
この思いを、関係を終わらせ
たくない。その願いで、龍と
ちゃんと話さなきゃいけない
って決意をしたちづ…。
ちづは、どんな答えを出す
のか…龍に、思いは届くのか。

「龍に会うたび思うんだよ。
今まで考えたこともなかった
ことを、こいつ、あたしの
ことすきなのかって――」
「思えよ。」
今までの関係が終わることに
戸惑い涙するちづに対し、
龍はこんなふうに言った。
「やっと、始まるんだ。」
今までの関係を終わらせ
ないと、始められない。
ずっとそー思ってたのかな。
ちづ…無意識かもだけど
龍の気持ちを聞いてから
龍を意識するようになった。
だからこそ恥ずかしくて、
普通に出来なくなったんだ。
終わってしまったものは
もうきっと戻ることはない…
だからどんな形でも前に
進まなきゃいけないんだろう。
あとは…ちづ次第かな。
~ひとこと~
修学旅行の時、キスを
失敗してからというもの、
風早と爽子は普通に見えて
どこかぎこちなくなった。
けど、その話は後々…
15巻ではちづと龍、あやねと
ケントの話がメインでした。
これから、彼らの思いは、
どうなっていくんだろう。
人と人の繋がりなんてきっと
思うよりずっと呆気無いもの
だってずっと思っていた。
けど、そんなにヤワなもん
じゃないって、信じたい。
それがどんな感情にしろ、
同じように大事に思うなら
終わってしまうのはあまりに
悲しすぎると思うから…。