著:椎名軽穂 先生

修学旅行中、龍が
告白されたらしい。
けど、断ったんだ。
好きな子がいるって。
そこまではいいとして…
その告った子がちづの
所まで来たんだよね…。
それに対してちづがキレた。
言い方キツイし怖いけどw
ちづ、正論だと思うんだよ。
龍の恋愛感情の有無に関わらず
今までずっと一緒にいたんだ。
家族みたいなもんなんだ…それを
フラれた女子からこんなふうに
言われる筋合いなんて無いと思う。
ちづも、恋愛感情ではなくたって
龍を大切に思ってるからこそ、
こんなふうに怒鳴ったんだろうな。
それくらい、ほんと大事なんだよ。

龍はただ気にしてほしいから
こんな聞き方をしただけだった
かもしれないけれど…ちづは龍の
ことなら何でも知っているつもり
でいた、知っていたかったから
告白されたのを教えて貰えず、
寂しかったのもあるんだろうな。
その上この話を龍にしたら
「千鶴には関係ないだろ。」
なんて言われちゃってさ、
あんな巻き込まれ方したから
余計にちづはヒートアップ…。
関係ないなんて言われたから、
なんか売り言葉に買い言葉
みたいな感じにも聞こえたけど…
龍からしたら、自分が好きなのは
ずっとちづだけで、他に告られ
たとしても断るんだからそれは
千鶴には関係ないってなるのかも
しれんけど、何も知らないちづ。
まーこんな反応にもなるよね。
中々、かみ合わないな…。

初めてのキス…
にならなかった。
タイミング悪かったわ。
とてつもなく悪かった…
風早も爽子もきっとかなり
勇気を出したのだと思うので
少し可哀想ではあったよ…。
けど、問題はこの後2人が
ぎこちなくなってしまう不安。
恥ずかしさとか、動揺とか。
ちゃんと元通りになれれば
全然いいのだけれども…。

爽子とあやねが部屋に戻ると、
ちづは真っ暗な部屋にいた。
風早が戻った部屋には龍が…。
2人とも、動揺し過ぎだよ。
普段飲まないようなもん
2人して飲んで、似てるなw
ちづは男とか女とかそう
いうの関係なく龍とはこの先
ずっと一緒だって思ってた。
龍は、彼女にしたいって
ずっと思ってるだろうが…
お互い一緒にいたいのは同じ
なのに…ぎこちなくなってる。
どうしたら、いいんだろうか。

「…うれしかったんだよ。
千鶴がちょっとでも俺の
好きなやつを気にしてんの
が……うれしかったんだよ。」
前にも、さらっと「好きだよ」
なんて言ってた時があったけど、
ちづはこういう意味の好きだとは
受け取ってなかったんだろうな。
そういう好きだなんて、きっと
思いもしなかったんだろうな。
始めて龍の本当の気持ちを知る。
自分はそんなふうに龍を見た
ことなんて1度もなかったのに、
龍はちづのそんな気持ちも
分かった上で自分の気持ちを
言ってきたんだろうな…。
あとは…ちづ次第…かな。
どうなるんだろうね。
どう…なっちゃうんだろ。

「あたしはない、自分
からすきになったことない。
『すきだから』つき
あったことなんてない。」
茂木くんは、あやねに対して
いろいろ期待していたけど、
期待とは違っていたんだって。
そんなふうに話していた所を
聞いてしまったあやね…さすがに
そこで別れてきてしまった。
何も感じていないように振る舞う
あやねだったけど、その時は
我慢していただけだったのかもね。
そんなふうに言われたことより、
爽子やちづに対して羨ましいとか
そういう恋に憧れがあったから…
茂木くんは別に自分をそんな
好きじゃなかったんだろうな。
あたしも好きじゃなかったから、
仕方なかったんだよな…なんて
そんな思いだったのかもな。
そんなふうに諦めたように
考えるけど、本当はすごく
傷ついている自分に、きっと
あやねよりもケントが気付いた。
あやねは自分を責めちゃうから…
こんなふうに話したあやね
を、ケントは何も言わずに
抱きしめてくれていた。
ケントは、ほんと人の心の
痛みを優しく包んでくれる。
この子を守ってあげたいって…
そんなふうに思ったのかもな。
~ひとこと~
誰かを思う気持ち。
誰かを思いたい気持ち。
難しいね…すごく。
けど一先ず…あやねのこの
どこか諦めているような所。
見た目が派手だから、変に
期待した男が寄ってくる
ことなんて今までたくさん
あったんだろうと思う…
そういう相手に本気になれない
自分と、本気になってくれない
相手に諦めることに対して
慣れを覚えてしまったあやね。
今までは、それで良かったのかも
しれない…けどちづや爽子達を
見てそういう恋に憧れてしまった。
でも今のままのあやねじゃきっと
自分も相手も傷ついてしまう。
あやねのそういう気持ち、考え。
表面上の言葉と、本当の思い。
そういうのに気付いて、彼女が
変わるきっかけを与えて欲しい。