君に届け 第14巻

著:椎名軽穂 先生

君に届け14-1

修学旅行中、龍が
告白されたらしい。

けど、断ったんだ。
好きな子がいるって。

そこまではいいとして…
その告った子がちづの
所まで来たんだよね…。
それに対してちづがキレた。

言い方キツイし怖いけどw
ちづ、正論だと思うんだよ。
龍の恋愛感情の有無に関わらず
今までずっと一緒にいたんだ。

家族みたいなもんなんだ…それを
フラれた女子からこんなふうに
言われる筋合いなんて無いと思う。

ちづも、恋愛感情ではなくたって
龍を大切に思ってるからこそ、
こんなふうに怒鳴ったんだろうな。
それくらい、ほんと大事なんだよ。

君に届け14-2

龍はただ気にしてほしいから
こんな聞き方をしただけだった
かもしれないけれど…ちづは龍の
ことなら何でも知っているつもり
でいた、知っていたかったから
告白されたのを教えて貰えず、
寂しかったのもあるんだろうな。

その上この話を龍にしたら

「千鶴には関係ないだろ。」

なんて言われちゃってさ、
あんな巻き込まれ方したから
余計にちづはヒートアップ…。

関係ないなんて言われたから、
なんか売り言葉に買い言葉
みたいな感じにも聞こえたけど…

龍からしたら、自分が好きなのは
ずっとちづだけで、他に告られ
たとしても断るんだからそれは
千鶴には関係ないってなるのかも
しれんけど、何も知らないちづ。
まーこんな反応にもなるよね。

中々、かみ合わないな…。

君に届け14-3

初めてのキス…
にならなかった。

タイミング悪かったわ。
とてつもなく悪かった…

風早も爽子もきっとかなり
勇気を出したのだと思うので
少し可哀想ではあったよ…。

けど、問題はこの後2人が
ぎこちなくなってしまう不安。
恥ずかしさとか、動揺とか。
ちゃんと元通りになれれば
全然いいのだけれども…。

君に届け14-4

爽子とあやねが部屋に戻ると、
ちづは真っ暗な部屋にいた。
風早が戻った部屋には龍が…。

2人とも、動揺し過ぎだよ。
普段飲まないようなもん
2人して飲んで、似てるなw

ちづは男とか女とかそう
いうの関係なく龍とはこの先
ずっと一緒だって思ってた。
龍は、彼女にしたいって
ずっと思ってるだろうが…

お互い一緒にいたいのは同じ
なのに…ぎこちなくなってる。
どうしたら、いいんだろうか。

君に届け14-5

「…うれしかったんだよ。
千鶴がちょっとでも俺の
好きなやつを気にしてんの
が……うれしかったんだよ。」

前にも、さらっと「好きだよ」
なんて言ってた時があったけど、
ちづはこういう意味の好きだとは
受け取ってなかったんだろうな。

そういう好きだなんて、きっと
思いもしなかったんだろうな。
始めて龍の本当の気持ちを知る。

自分はそんなふうに龍を見た
ことなんて1度もなかったのに、
龍はちづのそんな気持ちも
分かった上で自分の気持ちを
言ってきたんだろうな…。

あとは…ちづ次第…かな。
どうなるんだろうね。
どう…なっちゃうんだろ。

君に届け14-6

「あたしはない、自分
からすきになったことない。
『すきだから』つき
あったことなんてない。」

茂木くんは、あやねに対して
いろいろ期待していたけど、
期待とは違っていたんだって。

そんなふうに話していた所を
聞いてしまったあやね…さすがに
そこで別れてきてしまった。

何も感じていないように振る舞う
あやねだったけど、その時は
我慢していただけだったのかもね。

そんなふうに言われたことより、
爽子やちづに対して羨ましいとか
そういう恋に憧れがあったから…

茂木くんは別に自分をそんな
好きじゃなかったんだろうな。
あたしも好きじゃなかったから、
仕方なかったんだよな…なんて
そんな思いだったのかもな。

そんなふうに諦めたように
考えるけど、本当はすごく
傷ついている自分に、きっと
あやねよりもケントが気付いた。

あやねは自分を責めちゃうから…

こんなふうに話したあやね
を、ケントは何も言わずに
抱きしめてくれていた。

ケントは、ほんと人の心の
痛みを優しく包んでくれる。
この子を守ってあげたいって…
そんなふうに思ったのかもな。

~ひとこと~

誰かを思う気持ち。
誰かを思いたい気持ち。

難しいね…すごく。

けど一先ず…あやねのこの
どこか諦めているような所。
見た目が派手だから、変に
期待した男が寄ってくる
ことなんて今までたくさん
あったんだろうと思う…

そういう相手に本気になれない
自分と、本気になってくれない
相手に諦めることに対して
慣れを覚えてしまったあやね。

今までは、それで良かったのかも
しれない…けどちづや爽子達を
見てそういう恋に憧れてしまった。

でも今のままのあやねじゃきっと
自分も相手も傷ついてしまう。
あやねのそういう気持ち、考え。
表面上の言葉と、本当の思い。

そういうのに気付いて、彼女が
変わるきっかけを与えて欲しい。