著:椎名軽穂 先生

今までは、友達という存在が
ほとんど居なかった爽子にとって
こんなふうに一緒に過ごせる
彼女らの存在はとてもとても
大きくて、大切なものだったろう。
表面上だけの友達なんて集まりは
きっとそこら中に溢れてるけど、
ちづ・あやねとの関係はそんなの
より余程親密だったと思う…。
ただ『友達』って存在に慣れない
爽子からしたらこの人達と友達に
なれたらいいなって、そういう存在。
まだ友達になれたと思えていない。
ほんと、謙虚すぎるのも問題だw
でも、こんなに素敵な関係になれた
のは紛れも無い爽子だったから。
彼女の真っ直ぐさや努力、優しさ。
そんな彼女の魅力を知ったからこそ
一緒にいたいと思ってもらえて今
この状況があるんだよね。憧れだ。

「…『私と喋らないで』……
ってやっぱり言えません~~
やっぱり思ってもいないことは
言えないよ~~~~~~。」
そう言って泣き出してしまった爽子。
校内での噂を聞いて、自分と関わると
その人の株を下げてしまうと思った
爽子は風早やちづやあやねと極力
関わらないよう努力し続けていた…
そんな時のお話です。
ほんとはそんなことしたくないけど、
みんなに迷惑を掛けたくない…爽子は
ほんとその一心だったんだろうな…。
そんな気持ちを知ってか知らずか、
風早は若干無理矢理入り込んでくw
俺はこんなの嫌だっ!!って気持ちで。
けど多分これぐらいで良かったんだ。
爽子は今まで誰かに迷惑をかけて
しまうとなれば自分を犠牲にしてでも
一歩退くのが癖になっていたろうし、
そんな状態で、爽子を大好きなちづや
あやねは事実を知るのが怖くて途中で
逃げたくなる気持ちも分かるし…。
そんな中ここまで踏み込んではっきり
聞いてくれた風早がいたから、爽子は
やっとみんなの気持ちに気付けた。
勇気を出して進むのは爽子自身だけど
その勇気をくれるのはいつも風早だ。

ピンは、結構碌でもないけど
それでもやっぱり大人だなと
感じることはちょいちょいある。
碌でもないのに言われて、ツッコミ
入れたくなる時も地味ぃにあるけど、
ピンの言うことは正論で、その度に
自分がまだまだ子供であることに
気付かされるのかもしれないね。
まだ高校生だもの。いろんな人と
関わって、いろんなこと学んで、
そうやって少しずつ成長してけば
いいんだと思うんだよね。だから
今はいくらでも間違えばいい。
たくさん間違えてたくさん失敗して
そうやって生き方を覚えていく。
まぁ、その結果として正しい道に
進めているかどうかってのはやっぱ
人それぞれ違ってくるものだけど、
こういう成長過程にピンみたいに
言ってくれる人の存在があるのは
かなり幸せなことだと思ったよ。

「なにも…しらないから…。
…私がどれだけ、矢野さんと
吉田さんを…すきよりもっと
………だいすきか………。」
風早に背中を押され、ちゃんと
ちづとあやねと話そうと決意した日。
偶然にも噂をしている人達に遭遇し、
必死に誤解をとこうとする爽子。
騒ぎになってしまってそこにちづと
あやねが辿り着いた時、やっと爽子の
聞きたかった気持ちを聞けた2人。
ちづやあやねは自分達の噂なんて
全然気にしていなくて、ただそれを
流しているのが爽子って噂と、爽子の
変な態度に不安になっていただけで…
ちゃんとわかりあえてよかった。
1番とかなきゃいけなかった誤解は、
本当は噂の方ではなくてちづと
あやねの方だったんだよね…w

今まではそうやって諦めてしまって
いたことも、ちづとあやねに関しては
諦めることが出来なかった。それほど
爽子の中で大切な存在になっていた。
そんなふうに思える存在に出会えた
ことはどれだけ幸せなことか。
そこまで思える存在、中々出逢える
もんじゃないと思うんだよね…。
羨ましい、なんて思ってしまうけど、
それもこれも爽子の人間性あっての
ものであることは言うまでもない。
爽子ってわかりにくいけれど、
知ってしまえばほんと最高に
魅力のある女の子だよねw
そんな彼女に出逢えて、こんな
ふうに思ってもらえたちづやあやね
も本当に幸せものだなって思う。

ここは個人的に凄く大きな
名シーンだと思ってます!!
そうなんだよね、友達ってさ。
なりたいと思ったらなれるもの
ではないけれど、逆に関わってく
うちに気付いたらなっているもの。
爽子は気付かなかったけど、
ちづもあやねも爽子とはもう
友達になっていたんだよね。
中でも、こんなふうにまで強く
思える存在って特別だと思う。
けど、知れば知るほどみんな
爽子を好きになるだろうとは
心から思っていますよ。
私も爽子が大好きだ!!
そして、ちづとあやねも見た目は
ギャルとヤンキーみたいだけど、
中身はとってもいい子達なんだ。
それだってきっと、爽子と関わり
始める前は知らないけれど、
関わることでより良い子達に
なったんだろうと感じている。
爽子って、すごいな。
~ひとこと~
2巻は噂のお話が大半でした。
いや、全体的にそうだったかw
噂が原因でいろんな人が不安に
なったり傷付いたりしたけれど、
それがきっかけとなって3人の絆は
今まで以上に強いものになった。
『君に届け』は、恋のお話でも
あるけれど、何よりも人間として、
人と人との関わりの強さや温かさ、
人の気持ちってものをすごく丁寧に
表現してくれてる漫画だと思います。
今は昔、学生時代でもこんなに
真っ直ぐな気持ちで生きては
来れなかったんじゃないだろうか…
心が洗われる思いですねw
これから先の恋や友情、そういうの
ひっくるめて、爽子はもちろん、
周りの変化もとても楽しみです。