ホリミヤ 第16巻【完】

著者
原作:HERO 先生
作画:萩原ダイスケ 先生

卒業式までもう少し‥
生徒会室の荷物整理をする桜やレミ
だけどレミははどこか様子がおかしい。

最初は、見つけた旅雑誌に載っていた
動物園に行きたいとみんなを誘い始めた
だけだったけど、ちょっと遠い場所で
車が必要なんて話から免許を取る話題に
なると途端にレミは大人しくなってしまう。

問い詰められてもごまかそうとする
レミだったけど、桜も仙石もそんな
空気をそのままにしてはくれない。

「…もしかして『動物園に生きたい』
わけじゃないんじゃないですか?」

そんなあまりにも的確にポイントを
ついた柳くんのおかげもあり、レミは
しばらくすると本音を話してくれた。

高校生のうちにみんなでもっと遊びに
行きたいって思っただけだったって。
でも免許の話が出て、免許をとったら
どこか遠くに行っちゃうと思ったって。

‥免許をとってどこか遠くへ? 笑

その発言に疑問を持ったのはレミ以外の
全員だったと思うけど、きっとレミは
変わってってしまうのが怖かったんよね。

そんな可能性を考えてしまったからこそ、
そうなる前にもっと楽しいことを一緒に
したいって気持ちになったんだろうな。

すごく大好きで仲良しな友達だからこそ
こんなに名残惜しい気持ちになるんだと
思ったら、そう思える友人ができるのは
本当に幸せなことだよなって思った。

ずっと不安がるレミに、柳くんの一言は
全ての不安を払拭してくれるものだった。

変わっていくこともあるけど、その中で
変わらず続く関係だってあるんだよ。

ここで語られたのはもしもの話。

透と由紀がただのクラスメイトで特別
仲良くならなかったら、仙石とレミが
関わり合うことすらなかったら、桜に
とって透がただの知らない人だったら。

宮村が誰とも関わりたがらず秘密を
抱えたままずっと一人でい続けたら。

そんなもしもが成立してしまうなら
この物語は随分とジメッとしていて
つまらないものだったかもしれない。

学生の3年間はきっとすごく長くて
貴重な時間だろうなって感じる。

大人になってしまえばあっという間な
時間でも、学生の頃は違ったかもって。

あってもなくてもいいようななんて、
学生の頃にそんなふうに感じる日々を
過ごしてしまっていたらきっとその先も
変わらず日々つまらなく時間を浪費する
ような人になっていたかもしれない。

でもそれはあくまでもしもの話だった。

変わるきっかけをくれた人がいた。
そこで一歩踏み出す勇気を出した。

だから宮村には今があるんだよ。
もしもの話の中で、宮村は本当に
人に対して消極的な態度だった。

実際そんな感じだったんだよきっと‥
中学の時とかだって、進藤と関わりが
できる前まではきっとそれに近かった。

変わりたいと思ったのも変わろうと
勇気を出したのも全部宮村だった。
きっかけはあくまできっかけだし、
そこから前に進んでこられたから
今こんなに幸せそうなんだなって。

一人じゃなかったかもしれない。
堀の存在は本当に大きかった。

でも小さなきっかけで関わりが
できた関係を台無しにせず大切に
してきたから今があると思うし。

宮村‥本当に頑張ってきたね、
幸せを掴みとれてよかったね。

そう、こんなに変わったんだよ。
変わらなかったらこんなふうに
気持ちのいい空を眺めることも
なかったかもしれないね。

ずっとうつむくように
下の方ばかり見てたから。

ここまで変わってこられたから、
大切な存在がたくさんできたから
楽しい思い出がたくさんできたから、
これから先やりたいこともできたから。

もしかしたらここまで来てやっと
過去の自分を認められるように
なったのかもしれないね。

自分が嫌いな自分を認めるのは
きっと大人になっても勇気いる。

自分で変わってこられたから、
宮村はまっすぐに過去の自分を
見ることができるようになったし
認められるようになったんだろう。

現状に嫌気が差すことも、未来に
絶望することもきっと今はない。

不安はあっても楽しいことも
頼もしい仲間もたくさんいる。

もうこのまま下は向かないで前を
向いて、たまには空を見上げながら
ゆっくり日々を歩んでいって欲しい。

過去の宮村は最後に

「消えてあげる。卒業おめでとう。」

そう言ってほんの少し微笑んで
消えてしまった、ように見えた。

もちろん本当にそこにいたわけでは
ないだろうけど、宮村の中でいろいろ
気持ちが整理できたとかこれまでの
日々がすごく楽しかったってこととか
そういうのの現れなんじゃないかな。

悩みながらも、頑張って、勇気出して、
前に進んで、たまに間違えたりしながら
それでも前に進むことをやめなかった。

きっと宮村だけじゃなく、それぞれの子が
いろんな思いを抱えて悩みながら頑張って
過ごしてきたからこんなに楽しかった。

いいね、すごく素敵だね。

基子可愛いなあ‥からの
ほんとこれは笑った 笑

基子の中で兄は基本的に無口で
ローテンションな印象だった。

嫌われてないといいなと思う
くらいには大事なお兄ちゃんと
思っているけど、まさか学校で
あんなテンションとは思うまい。

井浦は井浦で、妹の前ではきっと
かっこつけていたかったんでしょ?

きっとそれでクールな兄でいようと
した結果のあのテンションなのでは?

ハイテンションでいた時に突然妹が
目の前に現れて焦ったんだと思うよ。
で、友人から遠ざかるに連れ少しずつ
テンションが落ち着いていき‥スンッ。

ほんっっと井浦おもしろすぎた。
もうどっちかにしようよ。
疲れるでしょ 笑

基子だってきっと今は驚いただけで
そのうちどんなでも理解してくれるよ。

逆にこの日まで井浦がこんな感じ
なのを基子に隠し通せてたのがすごい 笑

すごく兄として頼りがいがあって
かっこいい面もある井浦だけど、
やっぱりおもしろいやつっていう
印象のほうが強いのであった 笑

目の前にはいつも堀がいてくれたから
たくさんの自分を知って、たくさんの
人を知って、こんな素敵な世界を知った。

一人で抜け出せなかった日常からも
人と関わることを不安がる気持ちも
堀が連れ出して抜け出させてくれた。

宮村にとって堀はそれくらい大きな存在。

思っていたより強くて、でも儚くて
もろく壊れやすい‥そんな堀がいつも
笑顔で前を向いて歩き続けているのを
きっと宮村は1番そばで見続けてきた。

きっと宮村はそんな大きくて大切で
大好きな一人の女の子の笑顔のために
できることを探し続けるんだろう。
そうしてずっとそばにい続けるだろう。

そうしてまた彼女の笑顔や気の強い
表情、元気な顔を見ては勇気や幸せな
気持ちをたくさんもらうんだろうな。

そんな宮村の嬉しそうな顔を見た時に、
堀も嬉しくなってたらいいなと思うよ。

これは少し未来のお話。

創太とよく堀家に遊びに来てた
有菜ちゃんが高校生になってた。

創太が有菜ちゃんを名字で呼ぶ
ようになってたり、でもたまに
名前呼びに戻ることもあったり。

堀家には今でもたまにお邪魔してて
もしかしたら昔の堀と宮村のように
通うようになってたのかもしれない。

昔とは変わったこともあれば
変わらないままなこともある。

有菜ちゃんは創太を好きっぽいし
創太も有菜ちゃんを好きな感じが
するのに意識してる素振りはお互い
中々見せることがなさそうだった。

付き合いが長い分そういう態度を
出すにも躊躇いがあるんだろうか。

でもそんなある時、堀は学校から
創太が人を殴ったと連絡を受ける。
理由が、有菜ちゃんのことだった。

‥他の場面でもいっくんに似てきた
とか言われてたけど、ほんとすごく
宮村を思い出す行動だったよ 笑

ほら、宮村の頭突き‥懐かしいな。

結局この理由創太は最後まで有菜
ちゃんには話そうとしなかったし、
その会話が原因でちょっとケンカに
なりそうになってヒヤヒヤしたけど
そこで手が出ちゃうくらい創太に
とって有菜ちゃんは大事な子なんだ。

創太見てたら男の子ってかっこつけ
だよなーって思ったけど、対する
有菜ちゃんは意地っ張りで不器用で
きっと心配しただけだったのにそれを
上手く伝えられずケンカになるやつ。

お互いきっとそういうの知ってても
好きなんだろうなって、素敵よね。

2人のこれからのお話とか、機会が
あるなら読んでみたいなと思った。

こちらは昔話、堀父・京介と
堀母・百合子の学生時代の話。

多分2人の出会いから京介が恋に
落ちるまでのお話だったんかな?

穏やかそうな笑顔を見せる女性で
生徒会もやってて真面目なとこも
あるけどテキトーな所もあったり
‥いや、多分適度、適当なんだな。

無理に校則を守らせるってわけじゃ
なく自分が気づける範囲で騒ぎの
原因を減らしてくような対応をする。

ただ‥敵に回すとおっかない 笑

堀の親だって感じる部分もあったし
百合子さん特有だなって部分もあった。

京介とは学年が違ったけど結構
仲が良くて一緒にいることもあり
京介は女にモテたから女子から
ケンカを売られることもあった。

下駄箱に‥これ何つーの?足ドン?
されて京介から離れろとか言われて。

騒ぎに気づいてその女子に手を上げそう
になった京介を百合子さんが止めた。

‥とめて、自分で手を上げた 笑
あー、なるほどって感じだった。

百合子さんは堀とはまたちょっと違う
妙な魅力がある人だなって思った。

で、

「その時マジこいつしか
いねーと思ったね。」

多分前々から気になる人だったろうけど
この時京介は完璧に恋に落ちたんだろう。

触れなかったけど、一切血の繋がり
ないのに京介と宮村はちょっとだけ
似てるなって思う所があって、堀は
嫌がりそうだけど何だか嬉しかった。

~ひとこと~

ホリミヤ、最終巻でした。

本編ではアニメで観た内容がほとんど
でしたが、追加で描かれてる番外編
の方では未来の話や過去の話があり、
これまであまりスポットを当てられて
こなかったキャラクター達のお話を
読むことができて嬉しかったです。

番外編のキャラ達のお話をもっと
読みたかったなという気持ちもあり、
堀と宮村の話はもちろん透と由紀の
今後とか‥実はいろいろ気になるな
って所で終わってたりします 笑

どこまででも際限なく見守り続けて
いたいと思ってしまってた物語なので
個人的には寂しい気持ちもありますが
これまでの経験や感じてきたことを
上手くまとめて下さっているラストで
すごく良かったなと感じています。

友情も、恋愛も、家族愛も、
フィクションで描かれがちな
完璧なものではなくてズレて
たりちょっと悪い所だったり
も含めて人ってものだから、
そういう人らしさもありつつ
大事な所はとても大切に扱って
くれるこの作品は読んでいて
すごく心地よかったです。

ホリミヤは終わってしまうけど、
またどこかで彼らのお話に触れる
機会があれば嬉しいなと思います。