著:カナエサト 先生

ここ数ヶ月ホストクラブが繁忙期で
蓮次は忙しすぎて十和子とは全く
会えない日々が続いていたらしい。
会えない間の十和子は、ホストの仕事に
対して理解しているつもりでもやっぱり
モヤモヤしてしまう気持ちは消せない。
そんな話に「早いとこヤッちゃえば」
なんてことを言い出すモエだったけど、
いつまでも受け入れてもらえないことで
蓮次の方が不安になっちゃうと言われて
初めてその可能性を考えた十和子だった。
別にモエに言われたからってわけでは
ないだろうけど、十和子だって蓮次を
不安な気持ちにはさせたくないだろうし
そういう覚悟だってもうできていた。
ただどう切り出したらいいかとか
タイミングはどうしたらとかいろいろ
余計なこと考えてたのかもしれない 笑
忙しい蓮次だけど、十和子の誕生日には
当日ではないけれど会う約束をしていた。
その日に‥と十和子は考えたみたい。
十和子の言葉を聞いた蓮次は止まりが
どういう意味かわかってる?と確認する
けど、十和子もわかってると答えた。
ちゃんと覚悟決めた。
怖いとか不安とかあるかもしれない
けど、蓮次を安心させたい気持ちは
きっと何より大きかったと思う。
素敵な誕生日になりますように。

誕生日のお家デートは、小さな花束を
もらったり2人で豪華な料理を作ったり。
和やかで楽しそうに時間は過ぎていく。
食事の後、蓮次は小さな箱を出した。
中身は指輪‥綺麗な婚約指輪だった。
受け取るかどうかはすぐに決めなくて
いいと言いながら、蓮次は前々から
考えていたであろう決心を伝えた。
「私ホストを辞めることにしたの。」
自分のためにそこまでしてもらうのは
さすがに申し訳ないという十和子だった
けど、ホストをしていることで十和子を
不安にさせてしまうのが嫌だったんだ。
新人教育とか、まだやり残したことが
あるみたいだからすぐに辞めるって話
ではなさそうだけど、きっと遠くない
未来蓮次はホストを辞めるんだろう。
「私が今一番大切にしたいのは十和子
ちゃんなの。だから少しでも十和子
ちゃんが安心できるようにしたいの。」
指輪と十和子の手を握る蓮次の手は
震えていて、十和子だけでなく蓮次も
緊張していたんだと知ることになる。
十和子、すごく嬉しかっただろうね。
十和子は目を潤ませながら、震える蓮次の
手を握り返しその婚約指輪を受け取った。
嬉しそうに左手の薬指に指輪を
はめた十和子と、蓮次はその日
初めて体を重ねることになった。

次の日‥先に目を覚ましたのは十和子。
すぐそばに眠る蓮次の顔を見て昨晩の
ことを思い出してしまい1人真っ赤に
なっていると、ボーッとした様子で
蓮次が自分を見ていることに気づく。
動揺しつつも挨拶する十和子‥でも
蓮次は相変わらずぽわーんとしてて
疑問に思っていたら抱きしめられて
「…まだおきない。
ゆめならさめたくない。」
あ‥蓮次完璧に寝ぼけてらっしゃる。
十和子も慌てて現実ですって伝えると、
蓮次は気がついたように目を見開くと
十和子以上に顔を真っ赤に染めていた。
一体私は今何を見せつけられているん
だろうって気分になるシーンでした 笑
何だ、勘弁してくれ、可愛いぞ!! 笑
蓮次熱がある時はこういうのあった
けど、元気でも寝起きはこーなのか。
尊いとはこういうのだよなーって
十和子に激しく同意してしまった。
いやー‥
尊いっっっ‥!! 笑

夜のこともあったから泊まりで、
と予定を開けておいてもらった
十和子だけど2日目は特に何かする
予定は決めていなかったみたい。
「あ…でも歩くのしんどいわよね。」
外は雨、どこか屋内でと水族館を
提案した蓮次が十和子を気遣って
口にした言葉だったと思うけど、
十和子は真っ赤になりながらも
大丈夫なのだと熱弁していた。
きっと最初は十和子も。大丈夫だと
伝えたかっただけなんだと思う。
でもなんと言いますが‥十和子よ、
煽ってるだけやぞ、気づいてる?笑
蓮次の冗談交じりの言葉に対して、
惜しむように続けられた言葉に
「私は…そうしたいな…なんて。」
さすがの蓮次も‥プツンと
我慢の糸が切れる音がした。
もう、この子いつからこんなに
煽り上手な子になっちゃったの、
可愛いけど、可愛すぎるからね!! 笑

あーあ、言われちゃったよ。
沖縄旅行が終わってすぐのこと、
息吹はまたかおりの家の花屋で
働きたいって言い出したらしい。
ホストクラブが繁忙期でバタついてる
間も息吹はこっちでバイトを続けてる。
息吹は自分で自分の気持ちが、かおりの
ことをどう思ってるかとかどうしたいか
ってのが全然わかってない様子だった。
それでもかおりに男が近づこうと
すれば威嚇したりして守ろうと
するような素振りを見せていた。
かおりの好意に応えるわけでもない
のにそういう態度を取られ続けたら
きっと期待しそうになるし、そんな
態度に振り回されるのはしんどい。
ここ最近のかおりはきっと幸せで、
その分すごく苦しかっただろうな。
困ったような笑顔を見せしんどいと
伝えた直後、いつもの笑顔を見せると
なんてね!と言って誤魔化してたけど
きっとかおりの本音だったろうね。
しんどい思いさせてるのは息吹、
彼自身だ‥そばにいたら自分の
気持ちに気づけると思ったのか、
はたまた本能的にそばにいたいと
思ったからそばにいただけなのか。
いい加減自分の気持ちとちゃんと
向き合わないとかおりを傷つけるよ。

「オレ、次恋するならかおり
さんとがいいって思ってる。」
ものすごいぐだぐだっぷりだ 笑
かおりが今の現状をしんどいと
感じてしまって、父親を安心させる
ために婚活も考えてるなんて聞いて
きっと焦っちゃったんだと思う。
かおりを必死に繋ぎ止めようとした。
それが今はまだ恋心と言えるものでは
ないとしても、曖昧なまま付き合おう
とか言っちゃうよりずっと誠実だった。
きっとこれは今の息吹の
精一杯の気持ちだったろう。
もちろんこんな自分の言葉でこれ以上
かおりを振り回したいわけじゃないし
待っててなんて言えない息吹だけど、
「…息吹くんがいつかはかおりの
こと好きになるかもしれないの…?」
もうそんな可能性1%もないと思ってた
からこそしんどくなってしまってた。
期待したってダメなんだって自分に
言い聞かせる日々だから苦しかった。
そんなかおりにとって、息吹の言葉は
何よりも大きな希望だったのかもね。
すごく‥嬉しそうな顔をしていた。
「まってる…かおり…
いつまででも待ってます!」
その後かおりからある提案があった。
息吹にとっては気持ちの確認、かおり
にとってはご褒美になることだって。
「バイトの日の1日の終わりに息吹
くんの気持ちをハグで確かめるの。」
これまたすごいことを言いだしたな 笑
でも息吹は、そんな提案を了承した。
毎日、息吹がかおりを抱きしめる。
今はまだかおりが嬉しいだけだろう。
でもそのうち‥変わってくといいね。
息吹が好きな子を思って真っ赤になる
顔を見られる日が来るかもしれない。

マキに2人のことを伝えようと
蓮次はマキと合わせて休みを
とる日を増やしていたけれど、
どうにもマキの方は毎度予定を
入れていて話をしに行けない。
あまりに毎回そんな感じが続く上、
蓮次に対して探りを入れるような
態度や発言があったと言ってたし
十和子は十和子で墓穴というか‥
勘付かれるような態度をとって
しまってたというし、意図的に
かわされている可能性が出てきた。
相変わらず前に進めずにいる現状に
モエが手を貸してくれることになり
休日にマキが家にいる所に2人が来る
状況を作ってくれることになった。
でもそんな予定の日、当日
マキがいなくなった!???
ああ‥絶対バレてるやつじゃん。
気づいてないふりしながらずっと
向き合うことから逃げてたのか?
そういうとこ昔の十和子そっくり。
大事な妹が覚悟決めたんだからさ、
マキもいい加減覚悟決めてくれよ。
きっとマキ以上に、十和子と
蓮次の方が怖いんだからさ。
続きは次巻か‥ええ、気になる。
本当に逃げたってだけなら、ちゃんと
向き合いに戻ってきてほしいと思う。
でももしもし何かあったのなら、
それで急にマキが消えたんだとしたら
‥そういうのじゃないと願いたいよ。
~ひとこと~
はい~表紙の蓮次さん綺麗だな
この青っぽい感じすごく好き‥
あ、独り言です失礼しました 笑
13巻いかがだったでしょうか?
マキに関してはずっと1人で
抱え込んでしまってる気がするし
ラストも不安しかないんですけど、
それ以外は良かったなって感じです。
レビューでは触れていませんが里央
に彼女が出来たって話題もちらっと
出てきて、今後は2人の話も見れたり
するかもと楽しみが増えました。
息吹とかおりのことも、大きな
変化ではなくとも大事な変化が
あって今後ゆーっくり見守れたら
と思える素敵な展開でした。
十和子と蓮次も2人の中で、主に
十和子が覚悟を決めきれなかった
部分で覚悟を決め前に勧めたのは
2人にとって大きな変化でした。
あとはマキへの報告なんですけど‥
早く次巻出ませんかね、待てない 笑
とか言ってられないので、決して
悪い展開ではないことだけを願って
次巻まで待っていようと思います。
よかったらまたお付き合い下さい。