著:一井かずみ 先生

あ、今 私
向坂さんに拒否された…
1巻最後のシーンからの続き。
ひどい靴ズレをした足を手当て
してくれて、いろんな思いが
溢れ泣いてしまったなほにキス。
『ちゃんと好きになったり
告ったりする前にフラれちゃった
さっきのキスは
してくれた…のかな』
『向坂さんとは キスが
2回と ハグをもう少し
大丈夫だ
だってまだ告ってもない
きっとまだ そんなには
好きじゃない』
そんなふうに言い聞かせる
なほだったけど、そんなふうに
思うってことはもうきっと
好きになっちゃってると思う。
あそこで止まった向坂さんも
なほを好きなんじゃないかな。
ただきっと抱えている何かが
大きくて、ダメだって怯えてる
…なんかそんな感じな気がする。

「今のおまえ 確実に
ソロ・デザインで
“お荷物”だろ?」
偶然会った粕谷さんという人。
なほの元上司で、多分一応
恋人のような関係だった人。
きっと一方的に裏切られ
たんだろうなって…思う。
そんな彼に仕事に誘われて、
そこで言われたのがこの言葉。
ずっとその言葉が引っかかって、
そうなんだとしたらこのままじゃ
…なんて思ってしまったんだろう。
仕事でもミスばかり繰り返す。
そんな時に向坂さんとデザイナーの
余さんが話すのを聞いてしまう。
「これ以上人増やす
余裕ないんだよなー」
きっと自分のせいでって、そう
思っちゃったんだろうなぁ…
実際向坂さんはそんなふうに
微塵も思っていないのに…。

不安とか、苦しいとか、
いろんな思いの中で我慢して
1人で頑張って…そんな時に
向坂さんは優しくしてくる。
「一人で抱えるなよ?
辛かったら頼れ。
俺だって、あんたの
ことはかわいい。」
そういって優しく抱き
しめてくれた向坂さん。
ダメだって思えば思うほど、
そういう気持ちは大きくなる。
もう、取り返しなんて付かない
くらい向坂さんのことが
好きになってしまっていた。
好きだから、とても優しい人
だから、迷惑を掛けたくない。
そんなふうに考えてしまった。
粕屋さんに乗せられた
ってことにも気が付かずに。
なほはソロ・デザインに
辞表を出した。
仕事に誘われていて、
今より高待遇で、自分の
夢にも近い仕事ができる
…なんて理由をつけて。

でも実際はこっちも
断っていて、なほは
粕屋さんのことも全く
悪く思ってないようだし。
ほんといい子にも程が有る。
何度危ない人に噛みつかれても
信じることをやめないんだ。
ほんと、危なっかしくて
みてらんないよこの子…。
なほの辞表を受け取るも、
どこか芝居臭いと感じていた
向坂さんのもとに粕屋さんから
連絡がありこの事実を知る。

「私許されるなら
どうしてもここで
働いていたいです」
ソロ・デザインのみんなに
なほの嘘がバレ、本当のことを
話さなければいけなくなった。
本当のこと、本当の気持ち。
素直に話したらやっぱり
ここにいたいってこになって。
ソロ・デザインのみんながなほを
どれだけ必要としているかも
ちゃんと伝わって、なほはまた
ソロ・デザインに戻ることに。
「あんたに辞められ
なくて助かった」
そう言ってくれる向坂さんに
対する思いだけどんどん大きく
なっていくようだけど、それ
でもこの距離を保つと決めた。
気持ちに嘘をつくって、
すごく苦しいものだと思う。
なほは、いつまでこのまま
我慢を続けられるんだろう。

馨さんが帰ってきた。
元デザイナーのカメラマン。
元々ソロ・デザインは、馨さんと
向坂さんでつくったものらしい。
『ちはるさん』
この名前を聞いて、向坂さんは
拒絶したような反応をした。
向坂さんの抱えるものに
関係あるのかもしれない。

ある時、唐突に告げられた思い。
余さん、ずっとなほを見ていた。
ほんとに好きになったんだろう。
なほの気持ちも、自分のことも
分かった上で思いだけ告げて
その場を離れていった余さん。
きっとすごくいい人なんだよ。
優しくて暖かくてね。
そういう人と一緒にいたら
幸せになれるんだろうなって
いっつも思うけど…少女漫画って
いやもしかしたら現実の女の子
だって向坂さんみたいに影のある
人を救いたいって思ってしまう
所があるのかもしれないなって。
そんなふうに思ったら
とても切ない気持ちになった。
~ひとこと~
なほは、知れば知るほど
いい子で、すごく可愛くて。
ソロ・デザインのみんなもすごく
いい人達で、でも向坂さんは
そんな温かい空気の中で、1人
大きな闇をまとっているようで…
ちはるさんって誰だろう。
一体向坂さんの過去に
何があったんだろう。
まだわからないことだらけ。
余さんはフラれちゃうのかな?
なほは自分の気持ちを騙して他
の人と付き合うなんて器用なこと
出来るタイプには見えないしね。
…苦しいな。