著:中原アヤ 先生

春子さんという人に対して
いろいろ問い質したかったが、
こんなふうに言われてしまって
それ以上何も言えなくなった。
『昔からってことは主任もこの
お店にお客としていたわけで、
何かあってもおかしくは
ないね。何かあっても……』
そんなふうに考えすぎるミチコ。
わかるけどね、気持ちはさ。
寝ぼけて名前呼びながら
キスするような相手だもの。
きっとすっごいモヤモヤ
してるんだろうな~ミチコ。
…私もモヤモヤしてます←

私ね、このお互いがお互いに
遠慮のない感じが、すっごい
好きだなって思ったんですよ。
その上、なんか主任おかん
みたいだし…保護者だものな。
あくまで、相手が主任だから
ミチコもこんな態度なんだろうと
思うのだけれど…将来とか考えて
いつまでもずっと一緒にいられる
存在っていうのは、やっぱりこう
遠慮がない、素でいられる感じの
2人なんだろうってすごい思った。
…ちなみに、ミチコはこのあと
勝負下着を買いに行き…紐パン入手。
これ見よがしにベランダに干した。
それを見つけた主任からは…
「パンツがんばったな。」
一応褒められたようですが複雑w

ある日…元同僚の結婚式から
お店に帰ってくると、店内は
たくさんの植物でいっぱいに。
それを見る主任の態度で、
ミチコは気が付きたくもなかった
主任の思いに気が付いてしまう。
『あ、私自分が女だって
自覚することあんまないけど、
今女の勘が働いた。主任、
春子さんのこと好きだ。』
気付きたくなんかなかったよな…
でも、どう見てもそうなんだよね。

会社の営業で、偶然にも
結婚式でも会った2人。
彼の名は最上大地。
そんな彼に突然デートに
誘われたミチコ…かなり
疑心暗鬼になったけれど、
何度か話したり、他の同僚の
話で真面目な人そうだと知り、
最終的にデートに行くことに。
ほんと、見た感じすごく
素直でまっすぐで頑張りや…
そんなふうな印象を受けた。
最上くんと知り合ってから、
デートに行ったりしてると
決まって主任には嫌な顔をされる。
「バカがバカの準備運動始めた」
なんて言われてしまってね。
けど、最上くんはそんなん
ではないんだろいなと思う。
今の所、怪しい所が何もない。
あの大学生みたいに、ミチコに
金使わせたりしないし、ちゃんと
ミチコに好意があるって伝わるし。
可愛い顔してるし、甘え上手
っぽい表情をすることもあるけど…
そういう時は決まってミチコに
何かしてあげようとしている
時だったりする、いい男だよ。

そんなこんなで、最上くんに
映画に誘われてたある日…
こんな告白をされてしまった。
初デートの日、帰り際に偶然
主人に会ってしまい、いつもの
調子で文句の言い合いになった。
その時の様子を見てだろう。
「あの人のこと、好き
とかじゃないですか?」
最上くんのそんな問いかけに、
多分少し自嘲気味になっていた
気もするけど、ただの保護者。
そう答えたら、最上くんは安心
したようにこんな告白をくれた。
―返事はまだいいけれど、
本気なので頭のすみに置い
といてもらえたらうれしいです―
ほんと、いい子なんだろうな。
なんか、すっごい真っ直ぐだ。
「バカお前それ結婚詐欺だって。」
なんて主任には言われたけど、
ないでしょ、そんなんじゃ。
最上くんの思いを受け止めたい。
幸せになるんだ…と早く店を
出て1人暮らしをすると決意。

決意をした…それでも、
主任のことを好きだと思う
気持ちが消えたわけではない。
小さなことで、気持ちは
簡単に揺れそうになる。
そんなある日、仕事の
大事な資料をダメに
してしまい…そんな時。
「大丈夫です!俺が
なんとかします!」
焦るミチコを必死になだめ、
優しい言葉を掛けてくれた。
『フラフラしないで
ちゃんとしよう。もう、
決めたんだから。』
そうして、しばらく保留に
させてもらっていた告白の
返事をしたミチコ…に対して
最上くんのこの態度、これが
詐欺だというなら超プロ級だ。
こんな、どっからどう見ても
悪いこと出来なそうだものw
こんな真っ直ぐそうな、その上
すごく頑張りやな最上くんを、、
ミチコは好きになれるんだろうか。
~ひとこと~
突然の急展開なミチコ。
29年間碌に彼氏もいない
人生を歩んできたわけで、
初ちゅーすら寝ぼけた主任に
春子さんと間違えて奪われた
ような可哀想な子なわけで…
どうなりますでしょうか。
個人的には、そんな簡単に
主任を諦めてほしくはない
のですけど…でも人生の選択と
しては今最善の選択をしたん
じゃないかとも思った。
正しいも間違いもないけど、
いや~…ねぇww←