著:小畑友紀 先生

竹内くんだって分かってた。
矢野を助けられるのは、
きっとナナだけだって。
大切だった者、奈々さん、母親。
どちらも亡くしてしまった。
もう、ナナちゃんしかいないんだ。

もう会わないって言われたけど、
竹内くんから連絡が来た。
矢野のことを話しに来た。
諦めなきゃ、考えるの辞めなきゃ。
そんなふうに考えていたナナに。
昔からずっと仲良しだった。
恋人としても、友達としても。
矢野、ナナ、竹内いろいろ
あったけれど、今は恋人では
なくても大切な友達のまま。
だったら、友達としてでもいい。
矢野を支えてあげて欲しい。
ナナなら出来る。ナナにしか
きっと出来ないことだから…。

アキちゃんに言われた言葉。
きっと図星だったんだろうな。
図星過ぎて、今までいろいろ
理由つけて逃げてきたのに
ついに図星つかれちゃって。
そしてアキをつきはなした。
また逃げた、矢野はまだ
怯えているんだろうね。
大切な人に、また
裏切られることを。

アキの言葉を聞いて、山本さんの
お母さん(入院中)がそろそろ
やばいという連絡が来て…
矢野が向かった先はナナの家。
それでいいんだよ。
つらいことばかり背負い込む
必要なんて無いんだよ。
ナナちゃんは決していなく
なったりしない、裏切らない。
怖いかもしれない。
それでも、ナナちゃんだけは
信じて、諦めないでいて。
矢野は間違えてきたとか
言ってやがりますが…
きっとそれこそが本能。
そんな気がした。

山本母が無くなる寸前。
いつだって素直に気持ちを
伝えられなかった山本さん。
母親譲りの不器用さでね。
最後の最後になってしまったけど、
ちゃんと伝えられたんじゃないかな?
矢野は、ずっといろいろ遠回り
ばかりしてきたと思う…けど、
山本さんや奈々さんにとって、
大きな救いになっていたと思う。
いろいろあったけど、
そろそろ自分を見てあげなよ。
山本さん、きっともう大丈夫だ。
矢野は罪滅ぼしのため、山本さんは
矢野のその思いを利用して、
今までお互い利用しあって
一緒にいた。いいんだ、それは。
これでやっと、お互い開放された。
過去から、思いから。

山本さん、成長したよね。
ほんと、不器用すぎてずっと
から回っていたけれど、全てを
思い返してみれば、本当は矢野の
抱える思いを少しでも軽く
したかったのかもしれない。
奈々さんの死、過ち。
そこから生まれた罪悪感。
矢野への依存が、それを
余計ややこしくさせたけど、
不器用なりに、いろいろと
考えていたのかもしれない。
奈々さんも、バカだから、
やり方がほんと下手くそだけど
矢野はちゃんと愛されてた。
矢野のお母さんだって、最後は
依存が強すぎてだいぶおかしく
なってしまっていたけれど…
矢野のことをとても大切に
思っていただけだったんだ。
それもこれも、ちゃんと矢野が
向けてきた愛情がちゃんと
届いていた証拠なんだ。
「ありがとう」
誰も矢野を責めないよ。
矢野を1番責めてるのは、
矢野自身だったんだよ。
もう、大丈夫だよね。
矢野、真っ直ぐ前を見て。
もう、足枷は何もないよ。
~ひとこと~
あぁ、泣きました。
無駄に大泣きしました。
すすりすぎて鼻痛いっすw
前にも言ったかもしれないけれど、
矢野は、自分一人を犠牲にして、
みんなを幸せにしてきたなって。
奈々さんへの償い、ずっと
続いていたのかもしれないね。
もう、考えることは何もない。
いい加減、自分の本当の幸せを
求めてもいいと思うんだ。
ナナの元に、行きなよ。
次巻、最終巻です。