僕等がいた 第12巻

著:小畑友紀 先生

僕等がいた12-1

矢野が、東京にいた。
実父の苗字に変えて、長倉元晴。

ナナが今の職場にいることも、
竹内くんと付き合ってることも、
全部知った上で会いに来なかった。

いや、会いにこれなかったのかな。

あの日、母親を失って、大切な物
全てを捨ててきた矢野は、なぜか
山本さんと一緒に暮らしていた。

なぜ?あの日また、こんな女に
逃げてしまったのだろうか。

わからない…分からないけれど、
気持ちの面では分からないけど、
結果的には、本当にナナを
手放し、裏切ってしまった。

ほんと、タイミング
なんて合ったことないよね。

タイミング良ければ、竹内くんが
結婚を申し込もうとしてる
前日なんかに矢野がいることを
知ったりなんてしないでしょ…。
それとも、それ自体が彼らの
タイミングだったんだろうか。

こんな人生になってたって、
矢野とナナは出会うべくして
出会うことになるんだろうか…

どーなるんかな。

でも一先ず、矢野が生きてて、
生活しててよかった。

僕等がいた12-2

夜のの身に起きた様々な不幸。

どうしようもなかったことも
そりゃあっただろう…けど、
ただでさえいっぱいいっぱいに
なりながら頑張ってた彼を、
悪い方へ悪い方へ引きずり
落としたのは…多分山本さんだ。

変わってしまった?何を
他人事のように言ってんだ…。

矢野の幸せを何よりも願え
なかった自己中行動で傷付け
続けたのはあなた自身だろうに…。

あぁ~、山本さん見てると嫌い
すぎて私とっても嫌な女
っすねww悪口ばっかww

気分害してたらすんません。

僕等がいた12-3

所は変わって山本さんと、
この綺麗な子は山本さんの
バイト先の宮下さんって子。

バイト仲間で合コンに行ったの
だけど…あぁ、いい子だわ。
本心なんてわかんないけど、これが
本心ならきっとすごいいい子だわ。

山本さん、暗くて卑屈で、
こんな子と仲良くしてる
だけでもすげぇと思うけど、
なんか、いい子だわ。

昔から知り合ってたら、
山本さんもこんなんに
ならずに済んだのかな…
なんて、今更だけどね。

山本さんには、彼女のあんな
態度を見た上で一緒にいてくれる
子がいなかったんだよね。

僕等がいた12-4

本気で現実を受け入れる気が
無いのかもしれないね、この女は。
矢野はそう言っている。間違い。
後悔でしか無いって言ってたよね。

それなのに、忘れたい過去なのかも?
って、過去を今更掘り返して
あの時は…なんてアホか。
よくしてくれる友達に対しても、
こんなことさせるようなやつだ。
宮下さんは人が良すぎるよな…。

山本さんは、ほんと根っこ
から終わってるみたい。

僕等がいた12-5

最初は、ただそれだけで、
けど不器用で、自身がなくて
気付いたらこんな馬鹿になって。

周りに愛情を求めるくせに
受け入れる気もないような子に。

母親もね、ちょっとおかしい。
けど娘も大概だわ…。

一体…どこで間違えたのか。
最初っから間違えてたかもね。

バカでも、下手でもいいんだよ。
けど、山本さんはきっと
矢野を愛してなんかいない。
大嫌いだった奈々さんのように、
自分のことも愛して欲しかった。
そんなような気持ちじゃない?

何を間違ってもいい。
好意を寄せる相手を
陥れようなんて考える
バカにだけはなりたくないね。

僕等がいた12-6

「…だから頼む、オレに
助けを求めるな」

矢野…病んでるね…。
ほんと、これ以上矢野に
負担かけないでよ…。

生きてるので手一杯みたい
じゃないの…。これ以上、
矢野を不幸になせないで。

~ひとこと~

矢野が…矢野の今に至るまでの話。

山本さん、ほんとどうして…。
アキちゃんはほんと優しくて
強い子だよね。みんな幸せに
なれたら、なんて、自分だって
矢野のこと好きだったのに、
今は他の人との幸せを願ってる。

矢野も、ナナも、竹内くんも、
みんな前に進んでいるようで、
実際は何も変われてない。

ただ少し、気持ちを隠すことが
上手になっただけなんだと思う。

矢野を本当の意味で救えるのも、
ナナを本当の意味で幸せに出来る
のも、この2人でないとダメな
気がしてしまうんだよな…。

では、また次巻!!