僕が僕であるために。 第4巻

著:葉月抹茶 先生

あ、鍵はみんなそれぞれが
持ってる感じだったわけな(笑)

誕生日パーティーの少し前、
みんなで集まって相談をする
には大変かもとそれぞれの
都合がつく時に会って話を
していた時があったらしい。

その時、タイムカプセルの鍵を
まだ持っているか駿を含めた
皆に確認をしていた紗奈‥

優にこの話をふった時の反応、
もしかして1つなくなったって
話のこと、何があったかとか
知ってるんじゃないかな優。

わかんないけど、なんだか
少しそんな気がしてしまった。

‥優、きっといいやつなんだな。
そして駿がいいやつなの知ってる
から駿のこと信用してくれてる。

だから今回の話は、駿を信じて
誰にも言わずにいてくれるみたい。

良かったけど‥なんだろうね。
この歩への態度の豹変‥(笑)
余計に気になってきたわ。

誕生日パーティーからの帰り道。
優にバレてからは入れ替わるのを
やめてもとに戻ったけれど、随分
楽しい時間だったせいもあってか
今日の駿はよく喋る‥まるで
歩のフリをしてる駿のように。

そしてすごく優しい笑顔を見せる。
この笑顔は‥多分歩には出来ない。
これまでこんな表情を見せて来た
のは全部駿だった‥少し前なら、
この表情を見た紗奈は幼い頃の
駿を思い出していたんだろう。

でも今は‥変わってしまった。

(やっぱり駿くん…歩くん
に似てきてる気がする…。)

どっちも駿なんだけどな(苦笑)
なんかもう、不安しかない。

歩がつけているネクタイピン。
なにかすごく大事なものかな?

詳細はわからないけど‥この話
勧めば進むほど歩の謎が増える。
増えれば増えるほど信用してて
大丈夫なのか心配になってくる‥

まあ、何か悪さをするような
人ではないとは思うんだけど。
それに‥歩がどんな人だって
結局今してる入れ替わり事態
紗奈を傷つけることだしね。

学校帰り、偶然公園で美雪と優が
会って、そこからの帰り道のこと。

美雪は女子としてより男子的に
カッコイイという印象が強い。
逆に優は男子なのに背が低く
顔も可愛らしいのでどうしても
男扱いをしてもらえないのかも。

お互い似たようなコンプレックスを
抱えているみたいなんだけれど‥

「美雪は女らしくないとは思わない
けど。めちゃくちゃ美人じゃん。」

「やることスマートでかっこいい
とは思うけど、普通に美人だし
身長高いのもモデルみたいで…」

並んで歩きながらそんなふう
に美雪のことを話す優から、
目をそらしてしまった美雪。

顔が真っ赤だったみたいです(笑)
普通に女の子なんだよね、美雪。
康平には一切女扱いされないし、
学校(女子校)では王子扱いされる。

こんなふうに言われることに全然
免疫がなかったのかも知れない。

美雪、めちゃくちゃ可愛いな。
凸凹だけども、美雪と康平より
美雪と優のが合ってそうなのに‥

まあ、恋心ってそんな器用に
コントロール出来ないから困る。

テスト前、紗奈達は放課後‥かな?
集まって勉強会をするようになった。
そこで、歩が紗奈・駿・康平の勉強を
見る形になっていたんだけれど、康平
はやってみればほとんど正解出来てて

「この調子だったらいい成績も
取れると思うんだけどなー。」

歩にそう言われた時、康平は複雑
そうな表情を見せこんなことを言う。

「成績とかどうでもいいよ。
どんなに頑張ったって結局、
無駄になる時はなっちまうんだし。」

康平のそんな言葉の理由‥全てでは
ないけど紗奈が知ってて話してくれた。

部であったことってのは紗奈は何も
知らなくて‥でも美雪はそれを
知ってると思うと紗奈は言ってた。

それからのこと、一件普通そうに
してても何に対しても無気力気味に
なってしまったような気がするって。

今からはどうにも出来ない過去だ。
康平は知られたくなかったようだし‥
半端にしか知らない駿はこれまで
通りでいるのが何よりの救いだろう。

でも、美雪は何を知ってるのか‥

千尋が駿と普通に話せる練習台を
するために会っていた千尋と歩。

千尋の態度は彼女自身いっぱい
いっぱい過ぎて謎が多いけれど、
おそらく恋愛的に好きなんだろう。

「いいなあ。」

そういう気持ちを‥歩は羨ましく
感じているようだった。自分には
ないであろうものだからって‥
こんなに暗い表情初めて見た。

歩は‥一体何を抱えてるの?
本当に謎だらけだよ君は。

でももしかしたら‥康平の
ように隠していたい何かが
過去にあるのかも知れないな。

~ひとこと~

‥ほんと続きが気になるところで
終わってくれますわねこのお話は(笑)

私これまで、紗奈は昔から駿のことを
好きなものだとばかり思っていました。
でも恋愛感情とは少し違うかもしれない、
というか、実際恋愛感情かどうかは
別として本人にその自覚がなかった。

でも今、歩(中身は駿)を好きになってる
のはさすがに自覚が芽生えてきてて、
それでも大事な友達だから変わらずに
痛いって気持ちもあるみたいで‥その
狭間で一人戦っているようだった。

この相手が歩むではなく駿だったと
したら‥もしかしたら紗奈は余計に
困ってしまったりするんだろうか。

‥どう頑張っても明るい未来が
見えてこないんだけれど‥不安。