僕が僕であるために。 第2巻

著:葉月抹茶 先生

「康平の前でも入れ替わってみて
気付かれるか試してみようよ。」

また無茶苦茶言ってくるわね(笑)
1巻のラストの内容は何だったか
わからないまま、これまで通りの
日常からスタートした2巻です。

またもや歩の強引さに押されて
入れ替わることになった駿だった。

昼休みの間だけ入れ替わって
あえて康平の元に絡みに行く
歩‥のフリをした駿だったが、
思わぬ本音を聞けることになる。

「昔からいいやつだったよ。
たまにいらっとくるけど。」

「少しでも一緒にいればわかると
思うけど、あいつ周りに気つかい
すぎなんだよ。だから見ててたまに
いらっとしたってだけ。もう少し思った
ことそのまま言っちゃえばいいのにな。」

昔からの駿のことをこんなふうに
話してくれた康平だった。そして、
変わってししまったとも‥いい方に
変化しようと頑張ってるはずなのに
実は悪い方に変わってしまってた?

7年ぶりに会ってみたら‥っていう
ことなんだろうけど、困ったね(笑)

そして最後にこうも言ってた。

「お前昔の駿にすごく似てるよ。」

「お前が歩じゃなくて駿ですって言った
ほうが俺にとってはしっくりくるわ。」

‥そう言って、康平は屈託なく笑った。

歩と康平が知り合ってから、彼らに
どれくらいの付き合いがあったのかは
わからないけど‥こんなふうに言った
のは歩のフリをした駿と話してみて
のことじゃないかなって気がした。

わかんないけど、歩のフリをしてる
時の駿は随分感情を素直に表現出来
てることが多いように感じたから。

 

いろいろと気になることがある。
紗奈や康平が言いたがらない
ような、そこに気を使ってしまい
自分では聞く勇気が持てずにいる。

何を話すにも、自分では何も
言えずに誤魔化してしまう。

「『俺』じゃなくて
『歩』だったら--」

歩の姿だったら勇気を出せるかも、
変われるかも知れないと思った駿。

勇気を振り絞って自分の悩みを
少しだけ歩むに話し、お願いした。
これからもたまに入れ替わりたいと。
駿の必死で真っ直ぐな思いだった。

それを歩は笑顔で受け入れた。
あまりいいこととは思えないけど、
内容にもよると思うけど‥いい方へ
流れていってくれることを願うよ。

ところで駿が立ち去った後の歩の
様子が気になった。私の勝手な
勘違いである可能性は高いけど。

「自分がどうしたってなる
ようにしかならないのに。」

思考の読めない表情でそんなことを
言ってたんだよね‥何も期待してない
から、そんな深い関心がないから誰に
でも優しく笑顔でいられる人なのか!?

なんて思って少し怖くなってしまった。
まあうん、あくまで私の勝手な想像だ。

歩のフリをした駿。ふと気を
抜いた瞬間に見える素の駿を
見るたびに、別人なんだって
思いつつも昔の駿を思い出して
ドキッとしてしまう紗奈だった。

もしかして紗奈、駿のことを
好きだったんじゃないかな?
昔がどうであれ、歩のフリを
する駿に惹かれてってるよね。

‥これは、きっついわ。
なんかいろいろきっつい。

偶然、駿と紗奈と歩が揃った
ところに昔からの友人の美雪と
千尋が会うことが機会あった。

ほんと偶然で、最初に2人に会った
歩のことを駿だと誤解した所から
のスタートだったわけだが(笑)

(注) 今ここにいるのは
歩のフリをした駿です

またみんなで遊びたいと思う
紗奈、でも1度断られてしまい
誘いにくくなっている様子を
見た駿が、自分に何かできる
ことはないかと思って行動した
結果がこれ‥2人のもとへ会いに
言って遊ぶ約束を取り付けてくる。

ほんと‥歩の姿なら明るく
素直な自分でいられるのね。
でも‥これは本当はただの
駿なのにな、歩っていう皮を
かぶり続けたら今度はそれが
自分を縛っちゃいそうで怖い。

ああ、これは確信ですね。
きっと昔からずっと紗奈は
駿のことを好きだったんだ。
でもここ最近の歩のフリを
した駿に惹かれてるんだろう。

それで‥気持ちに混乱してる。
可哀想に‥どちらも駿なのに。

駿の誕生日をお祝いするための
話し合いをするために集まった
紗奈・康平・美雪・千尋‥そして
歩のフリをした駿がそこにいた。

そこで再会した彼らの空気感‥
特に康平・千尋・美雪の間の
空気は妙にぎこちなく感じた。

7年あればいろいろあるだろう。
成長していろんな経験をして、
7年前にはまだ曖昧だったかも
しれない恋心もはっきりして‥
何も変わらないことはないんだ。

でもそれだけではなかった。

「それにタイムカプセルも
なくなっちまったしな。」

‥なんですと!!?

想定外な事実が出てきたわ。
何でもないように話してるけど
康平だっていろいろ思うところは
あったんじゃないかなって思う。

でも、きついこと言ったわね。
現実だとしてもさ‥紗奈の
考えが甘いのは事実だろう。

でも‥なんでこんなふうに
ギクシャクしてるんだろう。
何かまだ明かされていない、
こうなる原因があったりする?

康平の話を聞いて、辛くて
その場にいられなくなった
紗奈は、タイムセールで卵を
買うお使いを頼まれていたと
嘘をつきそこを離れてしまう。

そんな紗奈の嘘に気付いて同じ
理由の嘘をついて紗奈を追った
のは駿だった。誤魔化そうと
した紗奈だったけど全部駿に
見抜かれてしまったみたい。

でもこの時の言葉‥紗奈は
すごく嬉しかったんだろう。

「歩くんありがとう…。」

駿の背中で少しだけ泣いた。
歩だと思われてるのに、瞬は
とても優しい表情で笑ってた。

「じゃあスーパー行こっか!
卵持ってみんなのとこ帰ん
ないと怪しまれちゃうだろ?」

‥なるほど、昔から駿は
こんなふうにして紗奈を
支えてきたのかもしれない。

駿はどうして素を出せなく
なってしまったんだろうな。
きっとこれが駿の素だろうし、
本物の歩以上に魅力的と思う。

そんな彼に‥紗奈は恋をしてる
んだろうって思うから‥複雑。

~ひとこと~

結局、1巻のラストの話には
一切触れることないままに
2巻が終わってしまわれました。

あの描写一体何だったんだ。
でも想像はできるね、紗奈の
あの言葉からすれば大体は。

いい方に進んでいると見せかけて
実はすごく悪い方に進んでるよ。

素直になりたいから歩の皮を
被ってしまった駿、それを歩
だと信じたまま好きになって
しまいそうな紗奈‥不安だね。

どんどん困った方向に向かい
そうで正直言って怖いです。