5時から9時まで 第15巻

著:相原実貴 先生

潤子ちゃんの事で頭がいっぱいで
修行に全く身が入らない高嶺は、
天音が跡を継ぐ予定だった京都の
西燕寺で鍛え直してもらえと言われ
3日間、西燕寺で世話になることに。

そこで、天音が「(星川家の)寺を潰す」
なんて言っていたという話を聞いた。
でもそんな話を聞いても高嶺の頭の中
は潤子ちゃん潤子ちゃん潤子ちゃん 笑

「修行をしっかり勤め上げ戻って天音
と住職の座を競う資格を手に入れると、
婚約者に固く約束いたしましたので。」

寺のこと、天音とのことを話している
ようで考えてるのは潤子ちゃんのこと
ばかり。ご住職さすがに怒鳴りました。

「このあほんだら!!」

「弟の気持ちもよう思いやってやれんよぉな
奴が跡継ぎやら女やらよう守れるかいな。」

どれだけ修行を続けても全く余裕がない
ままの高嶺、でもほんとご住職の言う通り。
きちんと話しもせずお互いわかり合えてない
部分が多すぎるから余裕が無いんだろうね。

それは潤子ちゃんとはもちろん天音とも。
もうちょっと、潤子ちゃん潤子ちゃんに
なってないで周りを見て話をできるよう
努力してみるのも彼には必要なことかも。

大奥様が倒れたのはぎっくり腰だという
ことで、数日安静にしていれば大丈夫と
いう話だった。そして潤子ちゃんの方は
翌日産婦人科に行って妊娠6週目と判明。

住職様には大奥様の代わりに団参旅行へ
行くようお願いされるも、奥様からは
自分が団参旅行へ行くから、大奥様の
看病をお願いしたいと提案された。

つわりもかなりひどい状況で飛行機で
NYに無理して行っても、その先でも
きっと迷惑をかけてしまうと考えた
潤子ちゃんは出張を断り寺に残ることに。

妊娠については、一切伝えなかった。
はっきりしない理由で清宮さんはかなり
失望した態度を見せていたけれど、本心
ではそれ以上に高嶺に嫉妬していた様子。

寺でも必死に妊娠を隠そうとする潤子
ちゃんだったけど、大奥様の前でつわり
による吐き気が出てしまって‥バレた。

「あんさん…まさかおめでたなん?」

必死に隠し通そうとする潤子ちゃんに、
大奥様はあえてなのか妊婦には厳しい
ことばかりをさせようと注文してくる。

どうにも出来ず、妊娠を認めざるを得ない
状況になり頭を下げ謝罪しようとすると‥

「顔!上げよし!!そんな格好ずうっと
してたらお腹の子ぉに障るやないの!!」

‥? 妊娠したとバレてしまったら絶対に
悪い方向に、最悪ここを追い出される
ことになるかもと思っていた潤子ちゃん。
でも妊娠を知った大奥様は渋々といった
感じではあったものの責めるどころか
お腹の子を案じ潤子ちゃんを労った。

いや、相変わらずかなり厳しいけどきっと
これまでより余程優しいように思えた。

跡継ぎに、なんてことまで言い出すけど、
潤子ちゃんはこんなタイミングで妊娠して
しまって、跡継ぎ問題なんかも出てきて
それが高嶺の修行や将来の邪魔になって
しまうことを心配しているみたいだった。

誰より先に高嶺に話したいと思う反面、
もし残念がられたら、嫌に思われたらと
不安になって打ち明けることを躊躇した。

そうやって会うタイミングを少しでも
遅らせようと高嶺が戻ってくる日に
仕事(英会話レッスン)を入れるも‥
その生徒として現れたのは高嶺だった。

様子のおかしい潤子ちゃんの態度に、
考えたくはないがもしかして浮気‥?
なんて考え始めてしまった高嶺は、
全てを受け入れる覚悟を決め問うも‥

「………赤ちゃん、できちゃった。
……おかえりなさい。相談
しなくてごめんなさい。」

潤子ちゃんの口から出たのは彼には
あまりに想定外の内容だったらしい。
でも潤子ちゃんが不安に思っていた
ようなことは全く心配いらなかった。

「潤子さん、入籍しましょう今夜すぐ。」

そう言って、早速ご両親のもとへ結婚の
挨拶をしに向かおうとする高嶺だった。
高嶺の邪魔をしてはいけないって、
ずっと一人で頑張ってきたけど本当は
不安で不安で仕方がなかっただろう。

いろいろ急すぎるけど、それくらい素直に
妊娠を喜んでくれてるっていうこと、受け
入れてもらえたってことは今の潤子ちゃん
にとって何よりも幸せなことだったと思う。

桜庭家の方は簡単に結婚を許し婚姻届に
署名もしてもらえたけれど、星川家の方は
そう簡単にはいかない。大奥様がいるしね。

でもそれに対して、高嶺の突然の発言‥
これは潤子ちゃんも初耳なお話だった。

「彼方のご住職が私をお認めくださるかは
解りませんが、私は彼処で…いつかは潤子
さんと私の自分の寺として家族を作って
いく生き方もいいなと考えました。」

3日間の修行の中で彼なりに考えた
ことだったのかもしれないけれど、
ちょっと、先に相談しなさいよ ww

何も相談されずに突然そんなことを言い
出される潤子ちゃんの身にもなって。

幼い頃から寺第一、跡継ぎになるために
ひたむきに努力し続けている高嶺に強く
憧れていたという天音。そんな兄を一番
近くで支え助けられる存在になりたかった。

それでも事はそう上手くは運ばず、天音の
思いとは裏腹に高嶺と天音は離され、高嶺
には寺よりも大事なものが出来てしまった。

そんな昔から抱えていた想いを、かなり
こじらせてしまった今素直に伝える
ことももう出来ず、つい喧嘩を売る
ような態度ばかり取ってしまう天音。

そんな状態じゃあきっとどれだけ
頑張ったって通じ合えないだろうね。
互いに全く通じ合えぬまま挑発する
ような言い方ばかりしている様子を
見て、潤子ちゃんは天音に提案をした。

「あの王様みたいな人にはわかり
やすい貸しを作ってあげる、くらいの
感覚で甘えないと勝てないかも。」

もちろん、今になって高嶺に人泡吹かせる
ために潤子ちゃんが協力する気はないけど、
もしこの関係を何とかしたいならそれくらい
しないと変わらないよ、ということだろう。

潤子ちゃんの言葉に、天音は何か思い
当たることがあるような表情を見せた。
天音は高嶺が嫌いで引っ掻き回してる
わけじゃなかった‥それなら2人の関係
も少しでも良好なものになってほしい。

ちゃんと、伝わる日が来るといいよね。

結局ご住職や大奥様の方から婚姻届
に署名を貰うことは不可能だった。
そんな時、奥様がこんな提案をくれる。

「あなたさえ良かったら横浜の
お父さんに頼むのはどうかしら。」

寺を継ぐのは嫌だと出ていって
しまったらしい高嶺のお父さんだ。
詳細は描かれていなかったけれど、
2人で横浜まで言って挨拶をして署名
をもらい、無事入籍できたらしい。

星川潤子。これまでいろいろと揉めたし
潤子ちゃんも仕事や夢を諦められず
揺れていた時期もあったけど今度は
覚悟を決めて高嶺の奥さんになった。

それなのに高嶺はいつまでも不安がる。

「お数珠は無くしたくないから普段
は持ち歩けませんけど、私だって
気持ちは割と同じなんですから。」

いい加減不安がるのやめてくださいと
言うかのように、今の自分が高嶺の
何なのか、自分の思いもボソボソと
だけど口にする。潤子ちゃんにしては
随分と素直に言葉を伝えた方だろう 笑

きっとこれから先の問題は山程ある。
それでも、やっと結婚出来て大好きな
人との子供も授かった‥この幸せを
少しでも実感し味わえるといいね。

本当に、おめでとう。

大奥様は高嶺達を追い出す気満々で
檀家さんの法事の日に正式な跡継ぎ
のお披露目を予定していた‥のに
その当日、跡継ぎの天音が消えた。

少し前、天音は高嶺と話をしていた。
本当にこれでいいのかと‥でも高嶺は
相変わらず興味ないような態度をとる。

そんな兄に対し、天音も強硬手段
に出たということなんだと思うか。

跡継ぎ発表の日に跡継ぎが消えたなんて
檀家さんが集まってる中で言えるはずも
ない、この状況では跡継ぎを高嶺だと
発表、同時に2人の結婚の発表もしな
ければいけなくなるかも知れない。

でもそうすれば結果的に高嶺は、潤子
ちゃんも寺も諦めなくて良くなる。
天音に大きな借りを作るという形で。

さてねえ‥どうなるかねえ 笑

~ひとこと~

… ほんっと、いろいろ大変ですわ www

今回は、番外編にはゼクシィと蜂屋の話
描き下ろしには百絵とアーサー、寧々、
ユキ、音大もちらっと出てきたんです。

でもレビューはがっつり潤子ちゃんと
高嶺の話でまとめてしまいました 笑

次巻で潤子と星川編完結ということ
なので、次巻もこんな感じになるかも
しれないです。これはこれで大事な部分
だし幸せになってくれたらと思いますが、
個人的に百絵&アーサー、寧々&ユキの
お話がかなり気になってる所なので、
そっちの話もそろそろガッツリ来て
ほしいなと勝手ながら願っております。

次巻はだいぶ先になると思いますが
良かったらまたお付き合い下さい。