水神の生贄 第4巻

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著:藤間麗 先生

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水神は食事も摂らなければ
睡眠も必要としないらしい。
そう言って、夜はひたすら
眠りにつく有紗陽を眺める。

それを恥ずかしいなんて
考えていた有紗陽はふと思う。

終わらない1日をずーっと1人で
繰り返しきっと人の何十倍もの
長い年月を生き続けている水神。

彼の背中に、少しの寂しさに
似た何かを感じたのだろうか。

もし私がそうだったら…そんな
ふうに考えたら寂しくて仕方ない。
水神は、人のように感情豊かでは
ないから、そこまではっきりと
寂しいなんて思わないかもしれない。

それでも、ひたすら時間を退屈だと
言いながら生きてきた彼の退屈の
中には、もしかしたら寂しいって
気持ちも会ったのかもなんて思った。

そんな気持ちを、なんとかして
あげられないかな…なんて。まあ
ほんとの所は何考えてるのか
謎でしかないのだけれども。

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「…これは大事なものなん
です。…もう二度と勝手に
持ち出さないで下さい。」

月彦の部屋で偶然見つけてつい
持ち出してしまったスマホ。
これは亡くなってしまった、
有紗陽と同じ境遇の女性の物。

それを返した時、月彦は
ひどく怒ったようだった。

月彦はどんな思いを
抱えているんだろう。
月彦と例の彼女の間に、
昔何かあったんだろうか?
そうでないなら、実は月彦も
似た境遇で…?考えても決して
答えは出そうにないですね。

でも、怒っているはずの彼の
後ろ姿はとても寂しそうだった。

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祭祀の3日間。水神がムラにいる
ことも知っている翠葉流からしたら
とんだ無駄儀式だった。ただでさえ
その間有紗陽と水神がずっと一緒
ということだけでも心配なのに。

そんなことを考えていたら、突然
目の前に水神と有紗陽が現れて、
遊びに行こうと連れ出された。

水神の力で、いろんな所を回る。
そんな先のあるムラの山で、
山火事が起きた。贄が必要だと
言い出す人々。自分が生贄になる
と言って山へ向かう有紗陽に対し、
水神が言ったのは水神が助けること
を宛てにしているのか、自らの命を
犠牲にしようなどという者を私は
助けない、と言い捨てただけだった。

決して止めてくれることはなかった。
もう、勝手にしろ的な態度だった。

最初の頃に比べたらきっと随分
心を持つようになったと思う。
それでも、中々分かり合えない。
それくらい、何も知らないんだな。
人の気持ちなどわからないんだ。
理解しろってのが無理かもしれない。
それでも、理解したいって思って
頑張ることくらいきっと出来る。

有紗陽も、少しずつそうやって
いろいろ試してみてる所だろう。

山火事を消すため、一生懸命に
涙を流そうとする有紗陽…とても
つらい言葉を口にしながら。

翠葉流には聞かせちゃいけない。
そう思って翠葉流の耳を塞ぐけど、
翠葉流には聞こえてたし、有紗陽の
帰りたいって気持ちも気付いてた。

翠葉流は、いつか有紗陽が帰って
しまうかもしれないって思いながら
それでも1番に彼女の幸せを願って
守っていこうって一緒にいるのかな。

ほんと、翠葉流優しすぎてつらいよ。

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山火事の時、水神はきっと力を
使ってくれたんだろう、有紗陽が
生贄になることを止めるために。

でもおそらくそのせいでバレた。
そのムラの巫女に気付かれた。
人に化けてはいるが、水をまとって
いる水神がただの人ではないことを。

そしてそんな存在を連れた有紗陽
に不信感を抱いたその巫女は…

「大王(おおきみ)…大王に
知らせなくては…!」

これ、絶対まずいやつ。

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「(恐ろしいのでも痛いのでも、
自分が可哀想なのでも悲しいの
でもなくて。なんだろう。
不思議な気持ちで人は泣くのね。)」

3日間の祭祀(という名目の遠出)
からムラに帰ってくると、多くの
人が体調を崩して伏せっていた。

巫女の有紗陽が無事帰ってきた
ことで安心し巫女に祈りを捧げる
ようお願いしてくる人々だったが、
そんなことでは元気にならない
ということは水神と一緒にいる
有紗陽にはわかりきっていた。

祈りを捧げることを途中でやめ、
一生懸命看病をすることにした。
ただひたすら、一生懸命に。
有紗陽自身かなりの体力を
消耗して頑張ったんだろう。

その結果、人々はどんどん
元気を取り戻していった。
ムラの活気も戻り始めた。

そこで初めて、今までには
感じたことのなかった不思議な
思い出有紗陽は涙を流した。

嬉しい、安心。
そんな感じかもしれない。

巫女と崇められても結局は
何の力も持たない自分を、
すごく辛く感じていたから、
ちゃんと役に立てたんだと
嬉しかったんじゃないかな。

患者の中には、翠葉流の妹の
紫衣那もいた。最初は触れる
ことすら嫌がっていた彼女
だったけれど、そのうち…

「(触んないでよ。人ではない
ような瞳が揺れてる。不安そう
に心配そうに、綺麗に。)」

ずっと気味悪がっていた有紗陽に
対する印象が、今回のことで大分
変わってきたのかもしれない。
元気になった紫衣那は、翠葉流の
影に隠れながら有紗陽の前に
姿を表した。まるでお礼でも
言いに来たかのように思えた。

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祭祀の日の巫女の話を聞き、
有紗陽を我主中に収めようと
ナガの都の大王が有紗陽を招く。

ムラの人々の様子から、また
水神の力を求めての戦争が
起こってしまうのかと恐れる
有紗陽…だが言った先にいた
大王はまだ幼い少年だった。

その場に共に赴いたのは月彦と
翠葉流。一応そこに水神の姿も
あったが、人に化けずにいたので
普通の人には見えないようだった。

大王は、長期戦になってでも
水の巫女の力(水神の力)を
手に入れようとしているようで、
いい返事が聞けるまではとナガ
から出す気はない様子だった。

それでも、有紗陽自身には
水神の力というほどの力は
何もない。助けを求められても
何も出来ない…本当にそうなのだ。

そんな力はないと話しても、
中々信じてもらえないのだった。
そんな夜、大王が体調を崩した、
助けて欲しいと呼び出された。

力などない。でも偶然知って
いた知識で出来ることをしたら、
大王の体調は落ち着いたようだ。
喘息とかだったのかもしれない。

次の日、昨日のは水神の力だろう
とはしゃぐ大王に全否定ww
そりゃそうだ。そんな力なんて
何一つ使っていないのだから。

中々話を信じてもらえないまま
時間が経っていったけど、突然
水神のマネをし最後にこう言った。

「失礼しました王様。けれど水神
ならばこう言っていたはずです。」

そして、取り繕うこともなく
一生懸命伝えたい一心で思い
を言葉にして伝えた有紗陽。

それを聞いた大王は、有紗陽達を
ムラに帰すことにした。それに
納得行かないナガの巫女だったが…

「私は一国の王だぞ!ああ言われて
帰せないなどと言えるものか。」

心に、ちゃんと届いたようでした。
ナガも、きっと素敵なムラになる。
それが少し楽しみになりました。

何より、有紗陽が無事帰ってくる
事ができて、本当に良かったよ。

~ひとこと~

有紗陽と水神の間に何か大きな
出来事が会ったわけではない。
2人がいる所で、いろいろと大変
な思いはしていたと思うけど。

でもそんな中で、2人の距離感、
特に水神の有紗陽への思いが
随分優しくて温かいものへと
変化してきている気がしてます。

まだまだこれから、そして
翠葉流も、これからどうなるか。

そして月彦に関して、まだ明かされて
いない何かがある気がしております。
それもそのうち明らかになるかな?

ともあれ、5巻は少し先になります。
ではまたそのうち。