私たちには壁がある。 第7巻【完】

著:築島治 先生

気が付いたら真琴は、すっごく
怜太を好きになってしまってた。

少しのことで不安になったり、
簡単に舞い上がったり‥最近は
いろんなことに歯止めが効かない。

それだけ本気で好きになって
しまったっていう証拠だろう。

でもそんな自分をどうして
いいのか持て余していた。

そんな時に祐介が言ってくれたこと。

「何かあったら俺のこと思い出して
って、あれやっぱなしにして。」

怜太なら大丈夫だから、そんなに
不安になるなよって言ってくれた
気がした‥あくまで気がしただけど。

何を悩んでるかなんて話してない。
それでも何か察してくれたのかな‥

まだ全然真琴のこと好きかもなのに、
それでも怜太のことを認めてるから
そして真琴のことも大事だからこそ
こう言ってくれたのかもしれない。

祐介もきっといつかまた、本当に
大好きな子と幸せになれたらいい。

最近の真琴はほんと恋する乙女。
怜太のことが好きで好きで‥
まるで魔法にでもかかってるのか
っていうくらい怜太でいっぱい。

そんな自分が怖いと思った。
好きになりすぎて‥もし何か
あっても今更もう幼馴染には
戻れないかもしれないから。

そんな不安な気持ちを打ち明けた。
大好きすぎて幸せなのに怖いって、
悪いことを考えてしまって不安って。

怜太は怒ってくれた。大丈夫だって
今だけ甘い言葉をかけられるより、
もしかしたら余程説得力があった
かもしれないな‥たとえそれが
根拠のない確信だったとしても(笑)

こんなにまっすぐな怜太がそう
言うなら‥ほんとに大丈夫かもと
思えてくるから不思議だよね。

父親が出ていった理由を知った。
ずっと気になっていたこと‥怜太は
それが浮気じゃなかったと知ってて
真琴に教えたりしなかったみたい。

そして自分で父親から聞けるよう、
真琴と父親に会うように口実を
作ってくれたのも実は怜太だった。

浮気という誤解が解け、まだ母親を
好きでいると知って‥もしかしたら
母親もまだ父親を好きでいるから
再婚しようとしないんだろうとか‥

幼い頃からずっと誤解して、でも
今になってそれが違って良かったと
思う反面これまでずっと誤解してて
つらい思いもたくさんしてきて‥
怜太とのことだってやっぱり父親の
ことも原因になって悩んだみたいだし。

‥そういう今までのは何だったのと
自分の中で気持ちが全く整理できない
まま、それを言っても何も変わらない
からと一人で我慢していたみたい。

それを分かってて、でも無理に平気
そうに振る舞う真琴を、少し離れた
人気の少ない駅まで連れてって
思いを吐き出させてくれた怜太。

ちょっと嫌なことも言ってしまった
のに、全部聞いた上でこう言う。

「すっきりしたか?」

こんなふうにして、一生懸命自分の
中の解決できないモヤモヤを一緒に
抱えようとしてくれる人がいるって、
それが自分の大好きな人だって‥
すごくすごく幸せなことだと思う。

あったかいな‥すごく暖かい。

ずっとスッキリしなかった気持ちを、
言葉を吐き出した後ずっとそばに
いて手をつないでいてくれた怜太。

その手から‥きっと優しさとか安心
とか力強さとか‥あったかい思いが
たくさん伝わってくるように感じた
んだろうと思う。まだ離したくない。

「…今日ずっと怜太と一緒にいたい。」

母親との約束‥節度のある付き合い
は破ることになってしまったけど、
夜になってから窓から怜太の家へ。

やっぱり緊張はして、いろいろと
余計なことを口走っていた真琴(笑)

でも最終的には‥勇気出せてよかった。
幸せな気持ちでいっぱいだったろう。
頭の中怜太でいっぱいになったろう。

今はこの言葉しか出てこないけど、
ほんとは大好きじゃ足りないくらい
泣きそうなくらいあったかい気持ちで
いっぱいになれたんじゃないかな‥。

(ずっと変わるのが怖かった。
幼なじみ(このまま)でいいと思ってた。)

それでも怜太との変化があったから
気付けた‥時には変える勇気も必要。

週末の鍋の日、母親は父親の隣に
座っていた‥きっと好きだよね。
こういうこと少しずつでもやって
いったら、続けていったらいつか‥
また素敵な変化もあるかもしれない♡

鍋をした後、こんな話をした。
怜太がこれまで真琴のことでずっと
思っていたこと、考え続けてきたこと
‥そしてそこから至った今の気持ち。

この先の将来、お互いの進路のために
遠くはなれてしまう時もあるだろう。
それでも‥そういう時間があっても
怜太はこの先ずっと、一生真琴と
一緒にいる覚悟で今ここにいる。

何年か先のプロポーズに繋がる
約束をここにした。それから‥
一体何年経った頃だろうか。

怜太が帰ってきて‥

「真琴、いつかの返事決まったか?」

「はい」

今日からはこの人の一番近くに--

ほんと良かったなぁって‥(泣)
これから先一生かけて、2人で、
もしかしたら家族なんかも増えて
そんなみんなで幸せになってね♪

~ひとこと~

私たちには壁がある。最終巻、
如何だったでしょうか(*´ω`*)!?
私は良かったなぁってなってます。

自分の気持ちにも気付けず、でもとても
大切だから変わりたくないと幼なじみの
ままでいることをこだわり続けていた。

変化は怖い‥それでも変化することで
本当の幸せをつかめることもある。
怜太はバカだけど本当にいい男だった。

今回もまた素敵な作品に出会えた
なと思います。面白さ、素敵さを
少しでも多くの方にお伝え出来て
いたらと願います。それではまた、
別の作品でお会いしましょう。