著:イノウエ 先生

「吊り橋効果って言って、
人は恐怖や不安のドキドキを
恋と錯覚するらしいよ。」
そんなヴィオラの言葉を聞いて、
ちょっと間違った解釈をしていた
坊ちゃんだけど、彼なりに一生懸命
にアリスを驚かそうと行動に出た。
ドアをノックして死角に隠れたり
人魚姫のお話をホラーっぽく改変
して話してみたり‥自分が怖いと
感じることをいろいろ口にする。
怖い絵画を見せようとしてなぜか
裸婦画ばかり出てきてしまったり 笑
吊り橋効果とは遠そうだけど、
対するアリスの行動に坊ちゃんの
対応が寛大すぎて癒やされた ♡
吊り橋効果は失敗したけど‥
アリスはやっぱり可愛い !!!
もうこの天使‥いや小悪魔 !!
基本的に2人がいちゃついてる
お話という印象がついてきた 笑

ほんの2年ほど前の話。アリスが
別邸にやってきたのはその頃らしい。
たまに超絶ネガティブに陥る坊ちゃん
だけど、毎日楽しそうにしている印象
が強い今と比べ、その頃の坊ちゃんは
完璧に心を閉ざしているようだった。
部屋に閉じこもり、人を寄せ付ける
ことを完璧に拒んでいるようだった。
そんな所に突然やってきたアリスに
明らかに拒絶の姿勢を見せた彼だった。
幼い頃のことは、魔女の呪いにより
嫌な思い出が多すぎて思い出さない
ようにしていたみたいで、アリスとの
記憶もすっぽり抜けているようだった。
でもそんな坊ちゃんの態度にもアリスは
一切めげず、献身的に尽くす態度を示す。
アリスを追い出そうとしていたけど‥
「あの娘といるとなぜか懐かしい。
子供の頃を思い出しそうになる。」
自分を嫌いになって出ていってもらおうと
片付けるのに1週間はかかるであろう荒れた
部屋を3日で掃除するように命じてみるも、
凍える寒さの冬に夜通し、手を傷だらけに
しながら彼女は掃除をし、たった一晩で
部屋をキレイにしてしまったようだった。
坊ちゃんは自分の呪いで誰かの命を
奪ってしまうことを何より恐れてる。
自分が怖いから人を遠ざけようとしてる。
それなのにこんなふうに言ってくれる
彼女の存在‥不思議で仕方なかったろう。
そして本当は嬉しかったんだろうと思う。
アリスって本当に‥女神様だよね !! 泣

どんな手を打ってもアリスが出ていって
くれないことで、今度は坊ちゃんが家出。
とは言え、そう経たずに帰ってくるつもり
で家を出たんだろうけど外は酷い吹雪。
帰るに帰れず、このまま死ぬんだなと
吹雪の中倒れ込んだ時‥坊ちゃんは
幼い頃会ったアリスのことを思い出す。
「僕、あの子にもう一度
会いたいと、思ってたんだ。」
そんなことを思い浮かべていると、
倒れ込んだ坊ちゃんの上に必死な
表情をしたアリスが顔を見せた。
心配して探しに来たんだろうな‥
それでもなお、死を選ぼうとする
彼にアリスは必死に思いを告げる。
坊ちゃんの存在に救われたから大人に
なって彼に尽くしたいとわざわざ彼の
もとにメイドとしてやってきたのかも。
ここに来る前いた叔母の家での生活も
かなり酷い扱いを受けていたようだし‥
彼を支えにこれまで生きてきたんだ。
「生きましょう。一緒に。」
こんなふうに、死神と呼ばれた
自分を想ってくれる存在はきっと
坊ちゃんには大きすぎるものだった。
ずっと暗い思いを抱えていた彼だけど、
このことをきっかけに少し前を向ける
ようになると‥急にある変化が起きた。
「僕アリスのこと、好きかも…。」
これまでそんな思考にならなかった
みたいだけど、アリスは可愛い上に
すごく健気で素敵な女性だものね。
好きになってしまうよそりゃあ‥ ♡
こんな始まりから今の2人があると
思うと、ちょっと泣きそうになった。

坊ちゃんの弟が現れました。
次男坊、名前はウォルター。
一見華やかで優しく気遣いできる、
素敵な跡取り候補に思えたけど‥
坊ちゃんという兄がいることで、
次男であることでいろいろつらい
思いもしてきた存在なのかな ??
坊ちゃんに随分酷い敵意を示した。
更にいうと、次男コンプレックスと
言われていて、完璧超人なのに次男で
あることを異常に気にしているため
だいぶ変わった‥変人な部分がある 笑
ウォルターは呪いをかけた魔女を
見つけようとしているようだけど、
彼女はもう死んだという話だった。
勝負にすらならない勝負を企てて、
一体これからどうするつもりなのか‥

眠りが浅くてろくに寝れていない
坊ちゃんがぐっすり眠るためだと
言って添い寝をしてくれたアリス。
まあ、逆にどきどきしてしまって
眠れなくなったようだったけど 笑
少しして、今の状況はだめだと言い
出した坊ちゃん‥それもこれから先の
二人のことを想っての発言のようだ。
母親のこと、そして坊ちゃんが思う
2人の将来のこと‥きっと呪いがある
ままでは何一つ実現は難しいことだ。
それでもまっすぐにそんな将来を思う、
坊ちゃん本当にいい方に変われたよね。
そして心からアリスを愛してるんだろう。
その真っ直ぐすぎる思いに、アリスから
ストップをかけられてしまうことになる。
自分のために何かを犠牲にするような
ことはしてほしくなかったのかもしれない。
これまで呪いのせいで多くを失った彼に、
これ以上そんな思いをさせたくないという
気持ちもあったんじゃないかな‥きっと。
このあと、添い寝はやめて自室に戻ろうと
坊ちゃんの部屋から出ていったアリスは、
1人になってから少し困ったように‥でも
なんだか照れたような表情を見せていた。
だめだとは思っても、やっぱり坊ちゃんの
言葉が、気持ちが嬉しかったのかなって。

クリスマスイヴ、ロブのために選んだ
プレゼントを渡すために別邸に向かう
ヴィオラが乗る馬車‥の御者のふりを
してウォルターは一緒に別邸に向かった。
ヴィオラが坊ちゃんを気に入って
彼に会いに行ってると勘違いしてた。
その日別邸にはカフやザインも来ていて
クリスマスパーティをしようとしていた。
いろいろあったけど結局バレ、兄に
宣戦布告をしたウォルターだったけど‥
これは本当に勝負になるんだろうか。
ウォルターは強すぎる兄への敵対心で
本当に大事なところは何も見えてない。
負けたくないとか、今度は勝つとか。
坊ちゃんは今呪いで多くのものに
忌み嫌われ恐れられている状況でも、
いつかは呪いを解き‥できるのなら
家長を継ぐとまで考えているんだ。
こんなふうにまっすぐ前を向いている
坊ちゃんに、ウォルターが敵う気が
しなくて‥これでは勝負にならない
んじゃないかと思ってしまった。
それに‥きっと坊ちゃんにだって家長の
素質は十分すぎるほどあると思うんだ。
ウォルターは‥認めたくないんだろう
けどそれに気付いてるからこそずっと
敵対心、対抗心を抱き続けるのかな ??
彼らの問題解決にはしばらく‥
結構な時間がかかってきそうだね。

2年ほど前の、雪の日に死にかけて
からのアリスと坊ちゃんの話の続き。
アリスを好きかもと言った後のことだ。
彼女は一筋の涙を流す。驚いてしまって
と言っていたけど、きっとそれだけでは
なくいろんな想いがあったかもしれない。
きっと互いに辛い思いをした時期があった。
それを乗り越えられたのはお互いの存在が
あったからで、これからも一緒にだったら
生きていける、頑張れるって思えたのかも。
呪いは相変わらず解けぬまま変わらない。
お互い大切で大好きでも触れられないまま。
そんな状況でも‥彼となら、彼女となら
生きたいって思える存在、大きいな。
そんな存在に出会えて、思い合えるって
ことがどれだけ幸せなことか‥素敵だね。
だからこそ、いつかは呪いから開放されて
触れ合える2人になれたらと願ってしまう。
~ひとこと~
4巻でした。坊ちゃんとアリス、
心から応援したくなる2人です。
最初は真っ暗だった気がする坊ちゃんの
周辺が気がつくとどんどん明るくなって
賑やかになっていく様子も、見ていて
随分嬉しいものだなと感じています。
この物語の結末がどんなものになるか
まだ全然想像出来ていませんが、どうか
2人が幸せな結末を迎えられますように。