死神坊ちゃんと黒メイド 第3巻

著:イノウエ 先生

アリスが母親からもらった大事な
ピアスを雪の中に落としてしまった。
好きな子の大事な物だからと凍傷に
なりかけながら探し続けた坊ちゃん
だったけど、結局見つけられない
まま疲労からか倒れ寝てしまった。

そこに偶然現れた見知らぬ女の子
(少し怪しい)が話しかけてきて‥

「アリスの喜ぶ顔が見たかっ…。」

会話の途中にもかかわらず
倒れてしまった坊ちゃん。
でもそんな彼に対して、

「中々見どころあるじゃないか。」

そう言うと彼女は、一体の雪を
溶かし見事に捜し物を見つけた。

「私の名は『カフ』。魔女だ。」

‥彼女は、そう名乗った。坊ちゃん
に呪いをかけたのと同じ魔女だが、
わざわざ寒い中手伝ってくれたんだ、
悪い人ではないんだと思うけど‥

無くしものを見つけてくれた上
下手したら死んでしまっていた
かもしれなかった坊ちゃんを
助けてくれたお礼ということで、
坊ちゃんはカフを屋敷に招いた。

温かいお風呂、美味しいご飯、
最初は何も話す気がない彼女
だったけど、美味しいデザート
につられて少しずつ魔女のこと、
自分のことを話してくれた。

結局、坊ちゃんの呪いに関してなど
詳しいことはわからなかったけど、
カフの話を聞いてアリスの脳裏には
祭りで声をかけてきた人が浮かんだ。

あれも確か、カフと同じように白い
ローブをかぶっていた。あれらは
魔女だったんだろうか‥そうなら、
アリスの母親は魔女と関わりが
あるということになるんだろう。

母親が魔女‥という可能性も
少なからずあるのかもしれない。

また、カフは人間の父と魔女の母
の間に生まれたハーフだと言った。

それを踏まえたら‥アリスが
魔女、または魔法使いの娘だ
という可能性もあるかもしれない。

あくまで、勝手な想像だけど 笑
アリスに関してはほとんど情報が
ないので、妙な想像をしてしまう。

偶然か必然か‥坊ちゃんとアリスは
またカフと再会することになった。
そこには、初めてカフと会った時
はぐれてしまったという幼馴染の
ザインもいて、4人でスケートを
して楽しい時間を過ごしたんだけど‥

別れ際、突然の魔女の集会への誘い。
カフなりに、坊ちゃんの呪いを解く
手伝いをしてくれているんだと思う。

随分義理堅い‥人にも優しい魔女だ。
魔女、魔法使いばかりが集まる会に
参加するなんて、正直恐ろしすぎる
けど‥きっとこれはチャンスだろう。

そしてカフに会った時から気に
なっていた祭りにいたあの人物。
アリスもその関連で確認したい
ことがあるからと同席を望んだ。

不安は多いけど‥少なからず
何か明かされることになるかも。

ある晩‥随分遅い時間に突然
ヴィオラが遊びに来て、アリス
の部屋で一緒に休むことになる。
女子会みたいだなんていいながら
恋バナを始めるヴィオラだったが‥

「気づいてないと思うけど、あたし
ロブのことが好きなんだよね。

「知らなかった…です。」

アリスは、精一杯の演技を見せた 笑
見てれば知らなくても気付いてろう、
そんなレベルに気持ちはダダ漏れだ。
自分のことを話すと、今度はアリス
に同じ話をふってみせるヴィオラ。

アリスにとって‥坊ちゃんは王子様。
そんなふうに思ってるんだね‥素敵。

幼い頃に手を差し伸べてくれてた頃
とかを思い出すと、そういう印象も
少し納得、昔のことだけではなくて、
いざとなったらきっと今だって彼は
身を挺してアリスを守るだろう。

女子だけで恋バナをして、疲れたら
お姉ちゃんと妹のように仲良く眠る。

小生意気な部分が目立つヴィオラだけど
知ってみれば結構可愛らしい面も多い。
本当はきっとすごくいい子なんだろう。

集会当日‥人間の匂いが消える
ようにとローブを借りて参加。

言った先には見慣れない、随分と
奇妙な世界が広がってはいたが、
集会そのものは学校の集まりに似た
随分と礼儀正しい集まりに感じた。

そのボスである‥ダレス。アリスが
あの日街で会ったのは彼女だった。

自分の母親と魔女の関係性を問うも、
詳しくない‥と答えられ話は逸れる。

坊ちゃんに呪いをかけた魔女に
ついてだ。でもその事実はあまり
明るい情報ではなかったみたい。

魔法の天才だった彼女は、
それが災いして亡くなった。
ダレスはそう教えてくれた。

「この呪いは生半可な魔女が
かけたものとは違うのよ。貴方に
この呪いを解くことは出来ない。」

その後‥ローブを燃やされたことで
人間であることがバレてしまって、
大慌てで4人は集会から逃げ帰った。

人間と魔女のハーフという
ことで以前から批判される
ことは多かったというカフ。

今回は集会参加者を騙して2人の
人間を連れてきた、裏切り者の
ような扱いを受け攻撃された。

魔女という立場では本当なら避けたい
状況だろうに、こんなリスクを負って
までどうして自分を助けてくれたのか‥

坊ちゃんは素直な疑問を口にした。

それに答えた内容は‥坊ちゃんには
嬉しくて仕方ないものだったろう。
欲しかった友達がやっと出来た。
それも、こんなふうに坊ちゃんを
大切に思ってくれる友人だもの、
2人が立ち去った後、坊ちゃんは
アリスに嬉しい気持ちを叫んだ 笑

「大丈夫。必ず真実に辿り
着いて呪いを解くさ。」

呪いをかけた魔女はもう亡くなってて
集会のボスであるダレスにも解き方は
わからないような強力な呪いだと知り
つい不安に弱音を吐いてしまうアリス。

そんな彼女に対し、坊ちゃんは随分
前向きに立ち向かおうとしていた。

少しではあるが魔女のことを知り
呪いを解く日もそう遠くはない、
そうすれば家族も自分を快く
受け入れてくれるはずだと話す。

そんな坊ちゃんに対して、態度
には出さないものの心の中では‥

「一瞬だけ、この暮らしが終わって
しまうかも、と物悲しく感じて
しまいました。きっと私は身分の
差で近づくことすら叶わなくなる。」

そんな不安な気持ちを抱いていた。
そんな気持ちを‥いとも簡単に
ぬぐってくれた坊ちゃんの言葉。

アリスの不安になどきっと気付いて
いないだろう。それでも彼の言葉、
思いでアリスは幸せを感じられる。

この先に不安なんてたくさんあるけど、
2人が幸せな未来があることを願いたい。

~ひとこと~

これまでも、アリスはいろいろと
考えて坊ちゃんの呪いを解こうと
頑張ってきてはいたけれどどれも
上手くいくことはなかった現状。

カフが現れたことで、そして彼女が
協力してくれたことで‥絶望的では
あるものの状況は大きく1歩進んだ。

坊ちゃんが魔法をかけられた理由も
どうしたら解けるのかも‥あの魔女
いないとなれば答えは簡単には出ない。

もしかしたら一生わからない可能性
だって、十分有り得ることだろう。

それでも、坊ちゃんは前向きに気持ち
を切り替え解決すると信じ進んでいる。

正直、こんな絶望的な状況から何を
どうすれば解決の糸口が見つかるのか
全く検討もつかない状況な気がする。

それでも当人が諦めないのなら、
大丈夫だと信じて見守っていたい。

‥坊ちゃんにもアリスにも、
幸せになってほしいと願う。