死神坊ちゃんと黒メイド 第1巻

フィリップという人物がやってくる
らしい。彼は幼い頃からの知り合い。

坊ちゃんに呪いがかけられてしまって
からも何ら変わる様子がなかった唯一
の人物だったため、彼の突然の来訪に
坊ちゃんは密かに期待してしまった。

自分の呪いで誰かの命を奪うことを
恐れ、自ら人や生き物を避けてしまう
そんな坊ちゃんにも、理解してくれる
友人がいたらきっと心強いだろうな。

恐ろしい呪いで家族からも見捨てられて
しまった坊ちゃんだけど、たくさん辛い
思いをしたと思うのに決してやさぐれる
こともなく、少々ネガティブな思考に
なったがとても優しく穏やかな人物だ。

そんな坊ちゃんに、幸せが
訪れてくれることを願いたい。

「俺に近寄るな…!!
この化け物…!!」

そう叫びながら、怯えた様子で
ステッキを坊ちゃんに突きつけた。

フィリップに対して、期待をして
しまっていたせいで彼の反応には
結構傷ついただろう。明らかに
警戒しているような態度を取る。

やってきた理由も、坊ちゃんの
母親に様子を見てくるようにと
頼まれてきっと嫌々やってきた
部分も大きかったのかもしれない。

そしてそこでメイドとして働く
アリスを連れて行こうとして‥

「このまま俺たちと街へ来ないか?」

心配しての親切心だったかもしれない。
でも坊ちゃんを慕いここから離れる気
など微塵もないアリスには迷惑な話だ。

彼女の気も知らずにこの場を離れるよう
説得しようとするフィリップに、彼女を
困らせるなと近づいていった坊ちゃん。

そんな彼に浴びせられたのが上の暴言。
‥態度だけでもあからさまに怯えていた
けど、言葉にされるとやはり傷付くな。

哀れ‥これも確かに本音だったんだろう。
でもだからといって関わって助けようと
するほどの気持ちはなかったということ。

これが坊ちゃんに向けられた周りの目、
中でも随分優しい方なんじゃないかな。

恐ろしさで死神呼ばわりしてくるような
やつらは、きっと哀れとすら思ってない。

仮に自分の身近に坊ちゃんのような
呪いを受けた人がいるとして、きっと
私なら可哀想とは思えても関わろう
なんてきっと思えないだろう。だから
こそ、アリスは本当にすごいと思う。

彼女の逆セクハラなど坊ちゃんを
惑わす態度の理由は、彼女が何を
思ってしているかはわからないけど
‥彼女の行動はきっと孤独の中にいる
坊ちゃんにとって大きな救いだろう。

自分に自信がない坊ちゃんは
1人になると、何から何まで
どんどん悪い方に考え出す。

「僕は君に恋をする資格すらない
気がする。僕は君に触れられない
し、人の体温や涙の温かみも知ら
ない。プレゼントしたくても花
だってすぐ枯れてしまうし。」

でもそんな彼の心を、思いを簡単に
軽く明るく出来るのがアリスの存在。

坊ちゃんが『悪』と感じるものさえ
アリスは『善』にしてしまえるんだ。

結果的に何も変わらないとしても
坊ちゃんは前に進もうと思える
きっかけをもらえている気がする。

この呪い‥解く方法はあるのかな?
もしあるのなら‥今はなくたって
何としてでも解いてほしいと思う。

2人で幸せになってほしいと願う。

「アリス…一つ聞いてもいい…?
僕のこと、どう思ってる…?」

主として、嫌われてはいないと思う。
でもそれ以上に‥自分に対して異性と
して好意を持ってくれてるかは別の話。

それを改めて聞いてみたんだけど‥
アリスはいつもの調子のままで、
いろんな言葉で好意を口にした。

これでは‥正直どこまでが本当なのか
わからないなと感じてしまうけど‥ 笑
気持ちが本当だとして、坊ちゃんが
照れて焦る様子を見るためにあえて
こんな態度をとっているのかもだし。

でも坊ちゃんはこれでも嬉しそう。
そしてアリスも‥きっと本当に彼を
好きなんじゃないかなって思える。

そういう人相手じゃなければ、
触れたら死んでしまうというのに
こんな必要以上に距離を詰めて
煽るような真似はしないと思う。

触れられそうで、でも決して
触れてはいけない2人の距離感。
いつかはもっと近づけるように
変わっていけるんだろうか‥?

坊ちゃんは、昔からピアノが上手。
いつ切られてしまうかわからない
家族との縁、その後も生きるため
音楽で生計を立てようとしている。

楽譜を書き街で売ったりもしている
らしい。そんなピアノを今日も弾く。

そしてこの曲は、アリスへ向けた
思いを乗せたメロディだったみたい。

いろいろ不器用だし初な彼だけど、
アリスへの気持ちをいろんなことで
伝えてくる‥嬉しかったんだろうな。

真っ赤になりながらも自分に向けて
思いを形にしてくもらえるってのは、
本当に幸せなことだろうと思った。

そして、第三者の目線で2人を見て
いると微笑ましてくて仕方ない 笑

「近頃、運動不足ですので
ピクニックに行きましょう。」

アリスのそんな提案から、坊ちゃん
とアリスは2人で屋敷の外へ出てきた。

でも屋敷の外は深い森に囲まれていて‥
2人は道に迷ったようでどれだけ歩いても
屋敷に帰れなくなってしまっていた。

落ち込み始める坊ちゃん、冷静な
アリス。でもこんな状態で坊ちゃん
が吐く弱音は、アリス中心のこと‥
アリスは、坊ちゃんのこういう所が
好きなのかもしれないなーと思った。

この後アリスは、坊ちゃんを簡単に
屋敷のある場所まで案内してみせた。
実は方位磁石を持っていたようで、
あえて道に迷い運動不足の解消に
努めようとしていたのかもしれない。

アリスなりの善意での行動だったの
かもしれないけど、きっとその中に
いつものイタズラ心もあった気がする。
こんなにまっすぐな坊ちゃんに対して
少し悪いなと感じたのかもしれない。

不器用でまっすぐで純粋な坊ちゃん。

そんな彼だからこそ、アリスは
そばにいたいと思ったんだろうね。

10年に一度の大流星群を見に湖に
やってきた坊ちゃんとアリス。
そして坊ちゃんにはある目的が‥

普段さらっと言ってしまっていた
『かわいい』『すき』『きれい』。

さらっと言えてしまうならそれは
それでいいことだと私は思うけど←
坊ちゃんはそれを改めてちゃんと
伝えたかったんだそうだ。その場
に大流星群が見られる湖を選んだ。

のに‥少々失敗してしまった 笑
小舟からは落ちるし2人とも水浸し。

そして結局、またさらっと口を
滑らせてしまったようだけど、
そんな坊ちゃんの態度や言葉に
アリスは頬を赤らめ随分嬉しそう。

こういう表情を見るとやっぱり、
大好きなんだなーって気付く。

決して坊ちゃん本人の目の前
では見せない表情、それでも
彼女の中にある大切な思い。

アリスの方こそ、普段の態度
ではなく坊ちゃんを想う乙女な
一面を彼に見せる日は来るのか‥

もし来るなら、その時は坊ちゃん
の呪いは解けていてほしいと願う。

~ひとこと~

死神坊ちゃんと黒メイド1巻、
いかがでしたでしょうか。

ずっとこのお話が好きで原作を
追ってきたんですが7月からは
アニメが始まるということで
このタイミングでレビューを
投稿させて頂くことにしました。

恐ろしい呪いをかけられた彼と
可愛らしくも少し変わった彼女。
そんな2人の可愛らしくも切ない
距離感に大きな魅力を感じます。

ついつい応援したくなるんです。

この先苦しい思いをすることもある
かもしれない‥それでも2人にとって
明るい未来があると願いたいです。

1巻で既にロブも登場しているん
ですが、それも結構おもしろい
ポジションなんですが、アリスと
坊ちゃんのことを紹介したい所が
多すぎてロブは端折りました 笑
今後また紹介できたらと思います。