PとJK 第16巻【完】

著:三次マキ 先生

前巻の最後に触れていた、刃物を
持った男がおとお学園に侵入した。

カコがちい先生と話をした直後のこと
だ‥既に立ち去ったと思っていたちい
先生が肩を刺されしゃがみ込んでいる。

その前のにナイフを持ってちい
先生を見下ろす形で立っている男。

そのすぐ近にはカコ、そしてバザーを
見るために来た唯Pと一花もそこいた。

状況を把握し慌てて逃げた唯Pと
一花、でも一緒に逃げたと思って
いたカコがそこにはいなくて‥

「本谷さんが来てない!下で一緒にいた
の、でもいない!逃げてきてないの!!」

唯P達を心配して慌てて探しに来た大神
さんは、唯Pの言葉を聞いてカコを探しに
行こうとした‥でも直後、ここから園の
外まで逃げないと行けない状況なのに
ちい先生が刺されている現場を見て
しまっていた一花は震えて動けない。

‥そりゃ、すごく怖かっただろうよ。
まだ幼いのに、少し離れた場所まででも
逃げてこられただけでも奇跡だったかも。

そんな一花をもう一度立たせて外
まで唯Pと2人で逃げるなんてのは
少々危険が大きすぎる状況だった。

「来い、俺につかまってろ。一花
目つぶってろ。唯、走れるな?」

カコのことが心配な唯Pだったけど

「うるせえ!!俺はおめーら
を助けてえんだよ!!」

カコを探しに行きたい気持ちはきっと
強かった、でも大神さんはここで2人
を外に逃がすことを最優先に考えて。

外に出ると警察が到着していた。
功太くんもいて、大神さんはカコを
連れて出てこられなかったと謝る。

「謝るな!!おまえはやるべきことをした、
そのことを誇れ。カコは絶対に助ける。」

大事なものと大事なもの、どちらも守れない
ならどちらか選ばなければいけないなんて
できることならそんな選択したくないよね。

でもあの時大神さんは選んで守りきった。
時には、そういう選択が必要なことも
あるものなのかもしれない‥大神さんは
自分を責めたけど功太くんは彼を責める
なんてことせず、カコを探しに行った。

そうしてすぐそばで‥妹を無事に
連れ帰ってきてくれた大神さんに
涙を流してお礼を言うジロちゃん。

‥きっとそんな様子に、カコを見捨てる
みたいな形を選んでしまった自分を
許せずにいた大神さんは救われたろう。
カコもどうか、無事でいてほしい。

その頃カコは、園の子供たちと一緒に
どこかの部屋に隠れているようだった。
カコも怖かっただろうけど、何より子供
達を助けることを最優先に頑張ってた。

その存在に気づいてくれたのが犯人
ではなく功太くんだったのは不幸中
の幸いだったろう。手を震わせながら
功太くんへの第一声は子供達のこと。

「子供たちを…子供たちを早く…。」

カコはすごいよ、よく頑張ったね。
子供達とカコは遅れてかけつけた
山本さんが保護、功太くんは犯人
のもとへ向かおうとまた走り出し‥

「ちい先生が刺されたの!」

ここでそんな状況を知らされた。
複雑な表情を見せた功太くん‥
一体どんな気持ちだったんだろう。

犯人の元を目指し走っていく。
外へ出てからも暗い表情のカコ、無事
だったことに安心しつつもそんなカコを
心配して大神さんは声をかけてくれた。

大神さんの言葉に、カコは迷いの
ない顔をしてしないって答えた。

自分の言葉で、それに同意してくれる
大神さんの言葉にカコは大丈夫だって
待とうって思えたんじゃないかな。

うん、きっと大丈夫だよね。

いろいろあったのだけど一先ずは無事
被疑者の身柄を確保。そこでの詳細を
知らないまま、カコは功太くんが怪我
をしたって情報だけ聞いたんだろうか?

病院へ駆けつけた彼女に勝長さんは
その時何があったのか教えてくれた。

被疑者を確保‥その後ちい先生の足元
にはナイフ?包丁?が落ちてて、ちい先生
はそれを使い自殺しようとしたんだ。

ちい先生、犯人に対してもあえて
挑発するような態度をとっていて、
そんなに死んでしまいたかったのか。

そうなってしまうほど、自分のこと
追い詰めてしまっていたってことか。

でもそんなちい先生を見て功太くんが
何を思ったかわからないけど、結果的に
功太くんは命がけでちい先生を守った。

すごいよね、見捨てたくなってもおかしく
ないほど恨んでいた相手を命がけでって。
うまく言葉で表現できないけど‥ほんと
功太くんすごい人だなと思うのと同時に
心から頑張ったねって言いたくなった。

功太くんはちい先生の病室に行った。

「…残念そうだな、生き延びて。」

そんな言葉を向ける功太くんだけど、
それに対してちい先生は震えながら
深く、謝罪の言葉を伝えてくる。

「誰かを人殺しにしてまで人に裁かれ
ようとするな。自分の中にある罪は
自分でしか裁けない。おまえも…俺も。」

ちい先生の態度を見てか、功太くん
は覚悟を決めたように話しだした。

「…親父が死んだのは
俺にも責任がある。」

もちろん父親を殺したのはちい先生で
それに関して功太くんに罪はなかった。
でもあの時の自分の行動が一つ違えば
名前が『こうた』じゃなければ父親は
死なずに済んだ‥そう思ってしまう。

そんな、許せずにいた自分の罪を
ちい先生を憎むことで自分を保って
これまで生きてきたのが功太くんだ。

「…もう無理だ…知りたくなかったよ。
おまえが苦しんでることなんて。」

犯人確保前、犯人に銃を向けて
いた時犯人のナイフはちい先生
の喉元に向けられていた。

そんな状況でちい先生は功太
くんに撃ってくださいと言った。
あの時の罰をって‥罪を感じて
いなければ出なかった言葉だろう。

功太くんがちい先生を許すことは
一生ないかもしれない、それでも
やっと1歩前にすすめる気がするよ。

功太くんも、ちい先生もね。

功太くんとカコは一緒に帰る約束を
しててカコは1人ロビーで待ってた。
結構遅い時間になったため、面会時間
は終わりですのでって声をかけられて
しまったカコは功太くんを探しに院内を
歩きまわっている時ちい先生に会った。

これまでは、どうにも噛み合わなかった
2人の会話だけど、功太くんと話した後の
ちい先生の心は少しすっきりしていて‥

ほんの少しだけ彼の心の内側を見せて
くれたような気がした。死のうとした、
でももうちゃんと生きてく覚悟を決めた。

そしてもう会わないであろうカコに
最後だからと話してくれたことがある。

「君が佐賀野さんの名前を呼んだ時。」

多分、功太くんとちい先生が再会
してしまったあの時のことだろう。

ずっと自分の罪を背負って生きてきて
もしかしたら希望なんてなかったのかも
しれない、そんな中に願いを思い出させて
くれたのはカコだったのかもしれないね。

最後に、さようならと言ったちい先生
の表情は随分と柔らかいものに思えた。

ここでさよなら、それぞれが幸せだと
思える未来のために、頑張って生きて。

カコと功太くん、無事仲直り出来たん
だろうと思う。でもその後のやりとり
とかそういうことは描かれてなかった。

みんな元気に笑顔で高校卒業、そして
その1年後‥功太くんとカコはやっと
結婚式を挙げることになったようです。

大半が気づいてたけどジロちゃんは
ずーっと知らずにいたらしくって、

「点と点がつながったよね…。」

なんて言っていた。カコのことを
好きでいたはずの大神さんは‥

なんだかおじいちゃん化していたけど
心の整理はついているように思えた。

カコのウエディングドレスは可愛かったし
お巡りさんだからか、タキシードじゃなく
普段の制服をちょっと豪華にしたような
格好をした功太くん‥カコは喜びそう 笑

なんかいろいろ‥丸くおさまったよ。
いろいろあったけど、良かったよね。
諦めずに向き合い続けてきたからこそ
この幸せな時間に辿り着けたんだろう。

今更ではあるけど、2人の結婚を
心から祝福し幸せを願おうと思う。

結婚して、そこから何年後だろう‥
それぞれがそれぞれに幸せそうです。

佐賀野家には一人娘も出来ていて、
親子3人で墓参りに行った時のこと。

ほんの少し目を離したすきに娘が
転んで、痛いと泣いてしまった。

父親になって、守りたい子供という
存在が出来て初めて感じることがある。

その痛みを変わってあげたいと
思う気持ち‥その時に思い出した
のが自分の父親のことだった。

自分を庇う形で亡くなった父親、
大事な息子が刺されるくらいなら
自分がって‥庇ったんだろうよ。

そんな思いに今やっと気づいて、

「…父ちゃん、ありがとう。」

功太くんはまた一歩前に勧めたみたい。
こうして一歩一歩進んでいくうちに、
自分を許すことができる日が来るよね。

今はただ、大事な奥様と娘を大事に
一生懸命生きていけばいいと思う。
きっと功太くんが幸せに生きていく
ことこそが父親の願うことだから。

~ひとこと~

ついに最終巻‥いやー‥最初の頃の
印象から随分とお話が変わりました。
功太くんの、年上のかっこいい感じ
だけではなく彼自身抱えていた過去
のお話が出てきてから、ちい先生が
出てきてからは特に彼の弱い部分が
たくさん出てくるようになりました。

まだ高校生のカコにそんな彼を支えて
いくのなんてきっとすごく難しかった。
それでも彼女なりに精一杯を尽くして
向き合い続けたのはきっと彼女の強さ
だったんじゃないかなって思います。

そんなカコがいたからこそ、功太くんも
ちゃんとちい先生と向き合うことが出来た。
犯罪者にはきっとちい先生みたいな人も
いれば本当に極悪な人もいるんでしょう。

だから今回みたいに気持ちの整理を
つけられる場合のほうが少ないと思う
けど‥でも心から良かったなと思えた。

最終話には、登場人物達それぞれが
どんなふうに成長していってるのか
細かくではありませんが描かれていて
ちょっと心があたたかくなりました。

読んでいてしんどかった部分も多かった
けど最後まで読むことが出来てよかった。
私の中で、そう思える作品になりました。

長くなりましたが、ここまでお付き合い
頂いてどうもありがとうございました。