PとJK 第11巻

著:三次マキ 先生

「あいつは俺の妹だ。離れてた妹と
高校で再会した。でも面倒くせーから
お互いノータッチでいこうって決めた。」

話す覚悟をした様子の大神さんだが、
話してくれた内容はこれだけだった。

それ以上のこと‥今の現状、警察沙汰
っぽくなっているこれはなんなのか。
カコにはもう、わからないことだらけ。

聞いても答えたがらない大神さん
の態度に爆発しそうになるカコ‥

重い空気を中断させたのはジロちゃん。
一先ず話の続きはジロのところのお風呂
で暖まってからということになった。

でもそこに行くと三門が来ていて、
‥出てくるよね、こういう孤独感?
疎外感?それがもし自分に迷惑を
かけたくないとか、そういう理由が
あってのことだとしても、仙道に
言われた言葉のせいもあってきっと
悪い意味でしか受け取れなかったろう。

まあ、こやって深刻になっちゃう子
だから余計言いにくいのはあるだろう。

何はともあれ‥カコのネガティブ
大暴走少し落ち着かないとやな。
今は誰を信じていいのかわからない
みたいになってそうな気がする。

男湯と女湯、声ダダ漏れ(笑)
普通に会話してやがるwww

こんな会話で少しだけ場が和み、
本題に‥入るわけなのだけど。

「ヤバいヤツに狙われてんだよっ!」

だから保護‥警察署なら安全だと
思っての行動だったようだ。
それが誰なのかは、大神さんは
断固として話そうとしなかった。

カコがずっと気になっていたこと、
カコへの信用が無いから言えない
のか何か理由があって言えないのか
それだけでも‥と聞こうとするが、
こんなタイミングで大神さんは
風呂にのぼせて溺れかけるし(笑)

前者ってことは絶対なんだろう。
でも‥カコは不安で仕方なかった。
面倒な子だって思うけどこういう子。

この迷走一度断ち切ってあげないと
ここから前に進めない気がしている。

のぼせた所から救出された大神さんは
その後眠りについてしまった。最近は
学校と仙道の家の往復、その上バイト
もしててずっと寝不足だったらしい。

「ハハッ☆どしたんカコ?うぜーよ?」

お風呂から出てからも酷く大迷走を続ける
カコをぶった切ったのはジロちゃんだった。

「俺は平ちゃんじゃねえし、唯(仙道)
ちゃんだって平ちゃんじゃねえのよ?」

仙道に何を言われたからと言って、
イコール大神さんの言葉じゃない。
それが大神さんの本音ってわけじゃ
ないのに、そんな迷走することない。

今まで見て知ってきた大神さんを
信じれるって思うならそのまま
信じてればいいだけのことかもな。

大神さんは優しくて優しくて優しすぎて
自分が損をしてでも人に優しい人だった。

「あいつは優しすぎて
言えないから、俺が言うよ。」

仙道が、他の人には知られたくない
ことだから誰にも言えなかったんだ。
ジロちゃんは仙道が過呼吸になってる
所に偶然遭遇して助けてくれたから、
そこでちょっと事情を話したらしい。

‥大神さんは一体、何を背負ってるの?

ここで少し昔の回想が入る。
大神さんがまだ小学校高学年
くらいだった頃‥かな多分。
母親は‥もう何度目かの再婚
相手の元へ息子を連れて行く。
そこにいたのが仙道だった。

仙道父、一件優しそうに見えた。
でも‥どうなんだろ、わかんない。
仙道は表向きとても大人しくて
びっくりするくらい聞き分けが
いい、そんな子だったんだよね。

口が悪い大神さんに最初はビクビク
怯えている風な所もあったけど、
今と変わらず世話焼きな彼に対し
少しずつ心を開いてってた気がする。

引っ越したその日、母親と再婚相手は
二人で食事をしに出かけていった。
子供たちは2人で大神さんの作った
食事を食べたんだけど‥その後酷く
苦しみだした仙道‥病院に運ばれると

「胃が空っぽのところに急に一気に
食べたから胃痛を起こしたみたいだね。」

ずっと‥まともにご飯与え
られてなかったんだろうか。

出所してきた父親って‥この時
出てきた父親なんだろうか。

この後‥父親が本性を出す。
父親を嫌う仙道‥手をあげようと
した所を大神さんが庇ったんだ。

後日‥チンピラみたいな奴らに
大神さんが襲われ‥傷だらけ。

「平ちゃん…ごめんなさい。唯が
パパの言うこと聞かなかったから
平ちゃんが唯の代わりになった。」

これまでは‥仙道がこんな目にあってた?
そんなの想像もしたくない事実だった。

「一緒に逃げるか…
兄ちゃんと一緒に来るか?」

そう言って、仙道を連れてまだ残って
いるかも危うい祖母の家を目指す2人。

そんな途中‥母親が迎えに来た。
そこで‥母親を振り切れない彼に
仙道の方が諦めてしまったんだ。

そして最後にこう言われる。

「…卑怯者だね、お兄ちゃん。」

優しすぎて守れなかった妹、か。

ジロちゃんからの話で‥ぼんやり
だけど状況を理解したカコ達。

父親に狙われている娘、変な話。
でも‥絶対に父親のもとに返しちゃ
ダメだろう、いろいろ危険過ぎる。

いろいろ聞いて、それを人のせい
みたいにして首を突っ込み続ける
カコだったけど‥そういう言い方を
するのはまあ、カコの弱さだろう。

でもその上で‥これはちゃんと
自分で出した答えだったんだ。

「わたし!首つっこむのやめないから!!」

言い訳ばかりのカコに明らかに
苛ついてたジロちゃん‥カコの
この宣言を聞いて安心したみたい。

大神さんには避けたかったことかも
しれないけど、カコがそう決めた
から仕方ないよね‥貫き通せ!!

この後、それでも危ないからとみんなを
止めようとした大神さんにジロが言った。

「あいつらに話したのは俺だよ。んで
その話を聞いて協力するって決めたのは
あいつらだ。分け合えばいいんだよ。
責任なんて。分け合っていいんだ。

おまえは俺らの保護者じゃなくて
友達なんだから、ひとりでなんでも
背負いこむのはもうやめろ。」

‥こういうジロちゃんの言葉ほんと響く(泣)

「もうカコん家にかくまえばよくね?
もれなく功太も付いてくるし。」

手段は無茶苦茶だったけど、最終的に
お兄ちゃんパワーで(詳細は割愛)成功。
カコの家にしばらくいることになった。

相変わらず、ちょっとした物音にも
怯えている様子を見せていた仙道。

実際性格がいいかはわからないけど、
そういうことかもなって思った。
結局、仙道も優しいんだよね。

都合のいい考えかもしれない。
でも‥なんかそう思えてきた。

優しい、そして心を開いても
また離れていかれるのが怖い。
傷つくなら最初から寄せ付けない
っていう考えもあるかもしれない。

わかんないけど‥守りたい。
今度こそ本当に守りきって仙道
が安心して生活できるように。

~ひとこと~

11巻ラストに仙道父がマンションを
見上げている光景が描かれていた。
それはどこのマンションなのだろう。
もう居場所がバレてたりするのか!?

カコの住むとこって可能性はある。
早すぎるけど‥父親、改心してる
可能性がゼロではないけれどでも‥
やっぱりもう再会させたくないな。

不安はいっぱいある、でももう
仲間内で揉めることはなにもない。

頑張れみんな、負けるなみんな。
カコと仙道、仲良くなれるといいな。
明らかに犬猿の仲って感じだけど(笑)
喧嘩しつつも仲良くやれる気もする。

この先への不安はまだ多いけど、
10巻よりはかなりスッキリ出来て
少しだけ安心した11巻でした。