著:野々村朔 先生

気まずい感じのまま真琴とあきらは
離れてしまって、真琴がロスから
帰ってくるのは少し先になるらしい。
デートの予定も決めていたのに、
その日には帰ってくると言って
くれていたのに‥あの日の態度で
それもなしにしてしまったみたい。
いろんなことに怯えていつまでも
気持ちの答えが出せないあきら。
そんな時、偶然後輩と再会して‥
ある子にはあの日のことを謝罪
されたが、またある子には一緒に
来ていたサヤカ(真琴)のことを
突っ込まれてしまうことになる。
「あの連れの人、絶対コーチに
ヤキモチ妬いてた。コーチと先輩
仲良いって教えたら威嚇されたし。」
更には
「だって先輩この間あの人に
バレンタインチョコあげてたじゃ
ないですかあっ、友チョコすら誰
にもあげたことないって言ってた
のにぃぃ、特別な人なんですか!?」
あきらの真琴に対する気持ちはまだ
恋とかそういう前をつけるには曖昧。
前にオガに聞かれた時は答えられな
かったけど、『特別』だってことは
きっと揺らがない事実なんだろう。
いつか、ちゃんと本人に伝える
ことができますように‥真琴
早く帰ってきてくれないかな 笑

「久慈、真琴の代わりに相手
してよ。どっか行かない?」
あまり乗り気には見えなかったあきら
だけど、もしかしたら真琴が自分達の
ことを何か話したに違いない、とか
考えて誘いに乗ってみることにした。
(これはきっと世に言う『友達の
好きな相手がどんなやつか確かめ
たい』というあれか……!?)
そんなことを考えているあきら。
ちょっと違う気がしている 笑
会って軽くご飯を食べながら雑談。
前にされて答えられなかった質問を
もう一度されるあきら。答えはもう
出ていたんだけど、今度はあえて
伝えずに、あきらは秘密と言った。
前におしゃれした時も、真琴のために
したおしゃれだったのにそれを最初に
見たのは偶然にもオガで、ヤキモチ
妬いてたしこの気持ちはちゃんと真琴に
伝えよって思ったのかもしれないね。

オガと話してた時、途中から合流
してきたトモが言っていたこと。
普段恋バナとか、自分のことは全然
話さない真琴が1度だけそういう話を
していたことがあって、その内容は
当時の元カノのことだったらしい。
短期間で別れてしまったらしいけど、
あきらは真琴に付き合ってる子が
いたってことすら知らないでいた。
何も話してくれなかったってことに
モヤついてるのか、嫉妬してるのか。
自分の気持ちの理由にはっきりと
気づけないままモヤついていた時、
偶然芙実と再会することになった。
気まずい状態で、仲直りしたい
ってお互い思っていただろうから
仲直りのいい機会だっただろう。
ちゃんと仲直りして、世間話がてら
芙実が話題に出した真琴とのことに
先程までのモヤつきを思い出す 笑
元カノがいたっていう話に対して
芙実は真顔で勘違いでしょなんて
言っていたけど真実はやっぱり謎。
でもそれ以上に、真琴があきらに
何も話してくれなかったことに
モヤついているって言ったことに
芙実は納得がいかない様子だった。
問いただしてみれば、あきらの心の
中にははっきり答えが出てて‥あきら
こんな顔するようになったんだね。
これまでは違うって否定したり
はっきりした答えが出せなくて
考え込むことはあったろうけど、
こんなふうにあからさまに態度や
顔に出すことはなかったと思う。
あきら、可愛くんなったなあ。
こんなふうにいろいろ考えて
顔真っ赤にしてるの、真琴に
早く見せてあげたくなった。

(「あきらのため」を装ってたけど、俺自身
がコンプレックスから逃げるためだった。
そしてそれがあきらをずっと縛ってた。)
真琴の女装は、始めたきっかけも続けて
きた理由のもあきらのためになるからと
思ってやってきたことだったのに、今に
なって全部自分のためだったと自己嫌悪。
連絡を取りたいと思っても、待つって
決めたのにこちらから連絡することも
出来ずずっと連絡を取らないままで
時間だけが経っていったある日のこと。
父親の職場の見学にやってきたあきら。
そこで、昔は母のアシスタントとして
働いていたという篠原さんに会った。
「真琴くんね、めちゃめちゃ
似合うんだわ--女装が。」
社内案内をしてくれていた小林さんの
一言で女装させられてしまった真琴。
大絶賛してもらえたのだけれど、
「……これのせいでうまくいかな
かったことも多いんだけど。」
ついそうこぼした真琴に、篠原さんは
あるヘアメイクアーティストの昔話、
自分の昔の話をしてくれて、その頃の
彼女の想いは自分に重なるものがあった。
彼女の話を聞いて、化粧して、女装して
きたことに救われたことや救えたこと。
ちゃんとプラスになっていたことも
確かにあったと思い出させてくれた。

春です‥真琴はまだロスから帰って
きてなくて不参加だけど、不思議な
メンバーで集まってお花見をした。
不思議なメンバーの詳細は割愛 笑
追加の飲み物を買いにきた芙実とあきら。
「今の二宮くんは”ただの
幼なじみ”じゃないんでしょ?」
確認するようにそう聞いてくる芙実に
答えは出たっぽかったのにはっきり
しない態度をとってしまうあきら。
「もう『ただの幼なじみ』だとは思って
ないし……と、特別な存在だと思う……けど
真琴が求めてる答えって、そういうこと
じゃなくて、真琴を『男として』好きか
どうかってことなんだろうし…。」
またごちゃごちゃと考えちゃってた 笑
そんなあきらに、芙実は言ってくれた。
「あきらちゃん言葉に囚われすぎ
じゃない?『男として』も『特別な
存在』も今のあきらちゃん見てたら
言い方が違うだけって感じ。」
気持ちを言葉で表すのは難しいよね。
この先のことに怯えていたらなおさら
言葉にしてしまうのは怖かったかも。
でももう、彼女の態度見てたら言葉以上
に気持ちを表しているようで、芙実から
したらじれったくて仕方がなかった 笑
自分以外の誰かにこうやって言われて
みて、考えて‥そこでやっと自分の
心に気づけるってこともきっとある。
もう、答えは出てるんじゃないかな。

お花見からの帰り道事故が起きた。
知らせを聞いて大慌てで病院まで
かけつけてきたあきらのお母さん。
「横になってなくて大丈夫なの!?
歩道橋から落ちて頭が大変なことに
なってるって言ってたのに。」
‥いろいろ勘違いである 笑
歩道橋から落ちて聞いた少年を受け
止めようとした時あきらはバランスを
崩して数段落ちたあきらは尻もちを、
少年は擦り傷や打撲で済んだらしい。
心配だから念の為と少年の親御さん
に言われ病院に来たみたいだった。
そして頭が大変なことになってるのは
少年が持ってた野菜ジュースをもろに
被ってしまったことで頭と服が大変。
「あ、レントゲン呼ばれたから切るね。」
娘から電話で、今からレントゲンとか
言ってたらそりゃお母さん焦るわな。
みんな大事無くて本当に良かったよね。
そしてこのこともきっかけになって
自分の気持ちはっきりしたみたいだ。
家についた頃、沙耶香さん(真琴姉)の
スマホに慌てた様子の電話がくる。
沙耶香さん、真琴に『あきらが病院に
運ばれた』って連絡入れてたっぽい 笑
その後の報告忘れてたって言うし、
きっとすごく心配したんだろうよ。
電話にはあきらが出て、全然平気
だってことを確認して‥安心してた。
そのまま、はっきりした気持ちを
伝えようとしていたんだけど‥
電話で伝えるのはやめてしまった。
「--ごめん、また
今度ちゃんと話すね。」
そう言って電話を切った後、あきらは
沙耶香さんに協力してほしいと頼んだ。
「私真琴と会って顔を見て話しなきゃ。」

あきらの行動力ってすごいよね。
直接伝えるって決意して、真琴はその後
改めて連絡もらえると思って、鳴らない
スマホとずっとにらめっこしていたけど‥
あの電話から5日後、父親に日本から
大事なものが届くから家にいてって
頼まれた真琴が家でごろごろしてると‥
日本から来たのはあきらだった 笑
状況を説明する代わりに、あきらは
真琴の父親から預かったメモを渡す。
(大事なもの届いたかな?
夜には帰ります。 父より)
沙耶香さんと、真琴のお父さんにも
いろいろ助けてもらってあきらは
真琴のいるロスに来てしまったのだ。
随分と‥可愛らしい格好をしてた。
服は沙耶香さんが選んでくれて、
メイクは自分ではどうしても宝塚に
なってしまうからと父親の会社の
お姉さん(小林さん)にしてもらった。
久々の再会、可愛いあきら。
あきらも気持ちを意識したら
いつも通りにできなくなって‥
このまま父親が帰るまで家で2人
とか心臓がもたなそうだったので ←
2人で観光にでかけることにした。
まだあきらの気持ちは伝えてない。
真琴きっとすごく気になってたろう。
「俺、勝手に余裕なくしてこんなとこまで
逃げて来たのがかっこ悪くてさ。だから
せめて今は余裕なふりしてお前が話す
気になるのを待とうって思ってんの。」
そう言ってくれた‥そんな真琴の気持ち、
あきらはきっとすごく嬉しかったろうな。
ちゃんと伝えようとして‥コケた 笑
砂の上、履き慣れないブーツだった
こともあったろうけど‥顔面ダイブ。
ブーツの中に入った砂を出すために
片足立ちになるあきらを支えてくれた
真琴を見て‥急に抱きつくあきら。
真琴はそれはそれは大混乱だよ 笑
でも、あきらにとってはきっと何より
安心できる場所でもあるんだろうな‥
すごく穏やかな顔して伝えると最後に
「真琴のこと、幼なじみ
以上に男の人として好き。」
やっと伝えられた。
そしてやっと想いが繋がった。
良かったね‥ほんと良かった。
私嬉しくて泣きそうだよ 笑
ほんとにほんとに、おめでとう!!
めっちゃお幸せになりやがれ !!! ←
~ひとこと~
うわーーーーーんおめでとーーー!!
嬉しすぎて最後ちょっと口悪く
なりましたどうもすみません 笑
私のレビューでは説明へったくそで
感情入りにくいかもしれないですが、
野々村先生のイラストや物語の進行、
過去のことや2人それぞれの気持ちが
すごく丁寧に描かれていて、だから
こそ最後に紹介したシーンは嬉しくて
嬉しくて仕方がなかったんです。
ぜひぜひ、興味持っていただけたら
まるっと読んでみてほしいです。
ここからのお話はどう進むんでしょう。
でも気になるよね、ずーっと幼なじみで
それ以上にはなり得なかった2人が恋人
という関係になってからの物語‥
また続きが読めるの楽しみですね ♪