大上さん、だだ漏れです。 第7巻【完】

著:吉田丸悠 先生

2年生になりました。新入生も入ってきて
そんな中にやたらと柳沼くんになつく
1年生男子仁和 理人(にわ りひと)くん。

どうやら過去に柳沼くんに助け
られたことがあるらしかった。

「弟子にしてください、柳沼センパイ!!」

いきなりの弟子入り希望発言、きっと
それ自体が嫌だったわけではないと
思うけど、何せ彼距離感が近すぎる。
触れられそうになりとっさにきつめの
拒絶を示してしまった柳沼くんだった。

「やはり僕は人間として何かが
欠如してるのかもしれない。」

自分の態度に嫌悪を感じてしまったのか、
柳沼くんは大上さんにそんなことを言った。
そしてその翌日柳沼くんは学校を無断欠席。

でも仁和くんは翌日、2年生の教室まで
謝罪に来た。彼はちょっと勢い余った
行動をとりがちだけれど、柳沼くんの
いい所とか魅力とか、ちゃんと知って
いて彼に憧れているんだとわかった。

「わかる!」

学校からの帰り道だったのかな?

大上さんと意気投合していると‥そこ
に現れたのは無断欠席の柳沼くん 笑
彼の無断欠席の理由は、柳沼くんなりに
仁和くんに応えようとした結果だった。

自分の考えていること、感じたことを
ノートにまとめ‥推敲に推敲を重ねて
いたら朝になっていてそのまま寝落ち 笑

「昨日はすまなかった。
よければもらってくれ。」

面白いくらいずれてるなって思うけど
それでもこれが彼なりの精一杯の誠意。
ほんと真っ直ぐすぎる心の持ち主よね。

仁和くんがそのノートをもらって
その場から去ったと思われたあと、
懐かしのハプニングが発生していた。

あの、初めて触れてしまった時と全く
同じ発言をしている所を、用事を
思い出し帰ってきた仁和くんが目撃。

「センパイは…センパイたちは…
おつきあいされてたんですね!?」

うん、着目する点はそこなのね 笑笑
でもまあ、随分と濃い子みたいだけど
いい子だし、良かったんじゃないかな。

最終巻らしいのに新キャラですね‥
どんなふうに影響してくるのか。
一先ず‥仁和くんはこの2人に対し
ストーカー的な懐き方をします 笑

柳沼くんと大上さん、付き合って
9ヶ月ほど経った頃‥そろそろ
その先の進展を望む大上さん。

「柳沼くんは私としたい…ですか?」

柳沼くんはしたいと答えた。でも大上
さん何を言ってしまうかわからない。
彼女は何を言っても平気と言うけど、
言われた側がどうなってしまうか‥

これまで人から性的な本音を聞いて
嫌だと感じることもあったようで、
それを大上さんに向けるのも怖い。
彼の中にはいろいろ葛藤があった。

そして本当の所を言えば大上さんも
初めてのことだしいろいろ不安はある。
子供が出来てしまわないか、病気に
なってしまわないか‥最中変なことを
口走ってしまわないかなどいろいろ。

お互いの不安な気持ち、それでも
お互いにしたいって気持ちはあって
‥ちゃんとそれを打ち明け合えた。
ゆっくりかもしれないけど‥きっと
そのうち自然とそういう日は来る。

って、信じてみたいものだね。
少しずつ、2人のペースでね。

「夏休みが終わるまでに
次の段階に進もうか。」

口約束ではあるけど‥
おめでとう大上さん ♡ 笑

偶然、ほんと偶然の出来事だった。
柳沼くんの体質を知ってしまった
根津さんと松隈くん‥松隈くんは
大丈夫だと受け入れようとするけど、
根津さんはいろいろ悩んでしまう。

柳沼くんは誤魔化したりせずに、
黙っていたことを謝罪してくれた。

彼が体質のせいでいろいろ苦労して
きたであろうことも、それを知った上
で付き合っている大上さんのことも
理解した上で‥それでも自分が彼に
触れることで酷いことを言ってしまう
ことを恐れる部分も大きかったみたい。

そんなタイミングで2人の前に現れた、
実はちょっと松隈くんとだけは少し
話したことがあった仁和くんが現れる。

「僕は日課のパトロールしてました!
いつでも困った人を助けられるように!」

そんな彼に根津さんは質問してみる。
今の現状からどう動いたらいいのか‥

彼女の中でまとまらなかった内容を、
ぼかして彼ならどうするか尋ねた。

ここで仁和くんが言ってくれた
答えは、根津さん的にも納得の
いくものだったのかもしれない。

すぐには難しいかもしれない。
でも少しずつでも戻れたらいい。

体質を知ってしまったその日の夜かな?
夏のデートらしく花火を見に行きたい
大上さんだけど人混みは柳沼くんが
無理なので、大上さんの住む団地の
屋上で花火を見ることになっていた。

それを知ってかけつけた根津さんと
松隈くん‥突然焼きそば焼き出すし、
なんかめっちゃ美味しいらしいし 笑

出店とかのある所には行けなくとも
気分だけでもってのがあったのかな?

松隈くんはほんと今まで通りだった。
そして根津さんも‥きっと向き合おう
受け入れようと心を決めたんだろう。

大上さんと少しお話してると思ったら
その直後‥柳沼くんに飛びついた 笑

もしかしたら、いやきっとまだ怖いって
気持ちも結構あったんだろうと思う。

これから先を思ったら不安もある、
なにか起きてしまうかもしれない。

それでも‥彼らはきっともう大丈夫。
互いに考えて思い合って解決してける。

そんなふうに思った。

「やっぱり僕はアメリカに行く。」

実は少し前に、柳沼くんのお父さんから
アメリカへ留学しないかという話があった。
その時は即答で断った柳沼くんだったけど、
花火を見た日の夜、アメリカには薫さんも
行くという話を聞くことになる。その時は
ただ行ってらっしゃいと背中を押しただけ。

でもそれから少しして、柳沼くんは
アメリカに行く決断をしてしまった。
大上さんへの相談は一切なかった。

自分一人で決めてしまったこと。
それも7月末には日本を経つという。
そして9月から1年間の語学留学。

その後、大学をどうするかなんて
話はまたその先に考えることで、
もし留学先でそのまま大学に進む
となったら柳沼くんと会えないのは
一体どれだけ長い期間になることか‥

夏休みが終わるまでになんて話を
していたものも、この調子では
なかったことになってしまうかも。

不安なまま、でも大上さんはそれを
受け入れるしかできない状況だった。
言いたいことも思ったこともきっと
たくさんあったのに、あれでは何も
言えなかっただろうしね‥不安だ。

「行っちゃダメ。」

ちょっとそういう雰囲気になった
その時、触れた瞬間大上さんの口
から出た言葉は皮肉にもそれだった。

ずっと抑え込もうと必死だったろう。
もちろん離れたくない、それでも彼の
進む道を応援したい気持ちもあった。

単純な気持ちじゃなかったのに、
口から出てしまったのはそれだけ。

「だ、だってその後どうすりゃいいの!?
ひとりでガマンしろってか!?柳沼くん
もムッツリだし本性はエロエロのエロ
かもよ!?そしたらあっちでもっといい人
見つけて私もいい人見つけるかもだし!

じゃあアレじゃん!?結局やらないで
離れたふおが平和じゃん!?…1年も離れて
たら私も柳沼くんも変わっちゃうよ…。」

もちろん、柳沼くんを遠ざけるような
この物言いは彼女の本音ではなかった。
離れるために、送り出すために無理に
ぶつけた、彼女の思い出はない言葉。

そんな言葉をぶつけて逃げてしまって、
そこからの2人はずっと気まずい状態。
気がつくともう柳沼くんが旅立つ日だ。

柳沼くんは、大上さんが幸せならいい
って彼女には合わずに帰ってしまうし‥

柳沼くんのことはもう終わったのだ
とまるで言い聞かせるように小説を
書くことに没頭し小説大賞に応募して
いたらしいんだけど、そこから連絡
が来たのがちょうどその日のこと‥
一次審査を通過したという連絡だった。

すごく嬉しかったろう、でもきっと
柳沼くんがいなければ書けなかった。
ありがとうと伝えたい、その一心で
柳沼くんの元へまっすぐに向かった。

ようやく辿り着いた、見つけたのは空港。
言葉よりも先に、とにかくキスをした。

(唇同士を触れ合わせると、
相手の心が見えるらしい。)

前に初めてキスしてしまった時(事故)
そんな発見をしていたね、だからこそ
彼女にしかできない伝え方をしたんだ。

今度こそ、ちゃんと伝わったみたいね。

「大上さん、好きだよ。待ってて。」

そう言い残して、柳沼くんは留学した。
ほんと‥ギリギリだったけど良かった。
寂しいこともあるかもしれないけれど、
きっと2人なら別の場所にいても一緒に
頑張っていけるんじゃないかなと思った。

1年の留学を終え帰ってきてからの
大上さんと柳沼くんは仲良く関係を
続けていたらしい、そうして2年ほど
経った頃、2人で旅行に来ていた。

旅行先の二人とは別に、大学生になった
根津さん達の会話からわかったことだけど
柳沼くん大学はアメリカの方に戻るらしく
そこでは既に体質のことカミングアウト
してるらしい。それと、気がつくと映画
作ってたあの連中全員体質のこと知ってた。

どこかのタイミングで話したのかもね。

この旅行が終わったら今度は4年もの間
アメリカに行ってしまうという柳沼くん。
年に1回は帰ってくる予定みたいだけど。

寂しさはあれど、また笑顔で彼を
見送りたい意思を伝える大上さん。

小説の、今後の成長のためにも
実体験が必要なんていう会話から‥

「ならぜひ協力させてくれ。」

そうしてきっと2人は致したのでしょう。
でも最後手と手が触れたであろうその時
大上さんから出た言葉は、初めて触れて
しまったときに出たあの言葉だった 笑

大上さんってほんとブレないよね 笑
でもきっとこの2人はこれでいいよね。
どんな大変なことからも、これから
先一緒に乗り越え進んでいくだろう。

頑張れ2人とも、そしてお幸せに。

~ひとこと~

というわけでね、無事完結いたしました。
ちょいちょい笑ってしまうおもしろい子
たちばかりのお話だったけど、そんな
中にも必死に生きる若者たちが描かれてて
‥って私言い方がおっさんくさいですね。

おっさんじゃないです、
しいて言うならお姉さん ←

すみません、とにかくね、いろいろと
難しい体質とかあっても大切な友人や
恋人と共に青春してるなーと思いまして。

自分の、自分たちの将来に向かって
一生懸命生きてる人はホント尊敬します。

あと、完璧触れそびれたんですけど、
だいぶ前に松隈くんを好きっぽい子が
いたんですけどお話触れましたっけ?

根津さんのお友達 太賀 未亜(たいが みあ)
さんて子なんですけど‥気がついたら
松隈くんとお付き合い始めてました 笑

そういうのにまだまだ不慣れそうな
松隈くんは彼女の想いに中々応えられず
喧嘩することもあったようだけど‥
なんやかんや仲良くやってるようです。

そちらも、お幸せにですね !!
一応青年誌のお話なんですけど普通に
おもしろいしいいお話だし個人的には
好きだったのでレビューさせて頂き
ました。どうだったでしょうか?

いいなって、思ってくれた方が
少しでもいてくれたら嬉しいです。