のぼさんとカノジョ? 第8巻【完】

著:モリコロス 先生

榊さんに連れられて、しえりさんの
体がある病院に面会に来た野保さん。

「生きてる~…。」

そう言って野保さんは泣き崩れた。

そこにいた女性は、どんな顔なのか
描いてはくれなかったけど野保さん
いわく可愛くて仕方なかったらしい。

職場からの電話で席を外す榊さん、
カノジョに頼まれたからと写メを
撮るために野保さんは部屋に残った。

電話を終え、はっとする榊さん。
そう、病室には大事な娘とその
恋人を2人きりにしてしまったのだ。

でもその時見た光景に、今度は
榊さんまでもが涙してしまった。

榊さんがしえりさんをとても大切に
思っているように、野保さんだって
カノジョを心から大切に思っている。

これから先、きっとまだまだ大変な
ことはあるかもしれないけど、今は
カノジョが生きていたという幸せを
噛み締めていてもいいと思った。

しえりさんの体の無事を確認して、
早速父親に協力を願う電話をする。

「えっウソ…ワシ…生き霊は初めて…。」

そう言いつつも一先ず野保宅に来て
くれたけど、やっぱりお手上げ状態。
生き霊と死霊では全く勝手が違った。

結構な荒療治しか思い浮かばない父、
そんな中野保さんが思いついたのは‥

「キミ自身が強く『元の体に
戻りたい』って念じるのは?」

少しの間をあけてやってみると
答えたカノジョだったけど、どう
しても不安な気持ちが消えない。

その日は、自分に出来ることはないと
野保父は帰っていったけど、その後野保
さんはカノジョに不安がる理由を尋ねた。

「私が元の体にもどっても、今以上に
迷惑をかけるだけじゃないかなって。
のぼくんの迷惑になるのがこわい。」

父を見送る際、野保さんはカノジョとの
今後をどう考えているかという話をした。
そこで、反射的に答えた内容は、この先も
ずっと一緒にいる‥結婚するという未来。

言葉にして初めて、気持ちを自覚した
ようにも見える状態だったけど‥そう、
それくらいカノジョを大切に思ってる。

きっとどんな大変な未来だって、辛い
ことがあったりしたって野保さんは
全力でカノジョを支えようとするだろう。

カノジョに対して結婚ということを
伝えるのはまだしていないけど、今の
野保さんの気持ちを聞いてカノジョは
覚悟を決めてくれたようだった。

「もどりたいって強く念じてみる!」

野保さんの気持ちを聞いて体に
戻りたいとどれだけ念じ続けても、
結果野保さんの体をカーテンで
締め上げてしまうくらいで全く
成果は見られないままだった。

その後、宮本たちも部屋に呼んで
思いつく限りのことをしてみた。
でも体に戻る以前に、カノジョが
部屋から出ることも出来ずにいた。

途中から金城さんも合流して、
お昼を食べそびれていたと気付く。

足りないものの買い出しに出る
男性陣、部屋に残されたのは
カノジョと金城さんの2人。

買い出しから戻ってくると、
そこには金城さんが倒れていた。

そしてそこにカノジョの気配はなく
‥少しすると金城さんが口を開く。

「のぼくん…私…金城さん
の体に入っちゃった…。」

– – – – – – – – – – – – – – – –

「金城さんにのぼくんのそばにいてほしい
と思ってる。私が元の体に戻っても。私
はのぼくんといっしょにいられない。」

しえりさんは野保さんの幸せを願うから
こそ彼の元を離れようとする、金城さんは
野保さんの幸せを願うからこそしえりさん
のお願いを受け入れることが出来なかった。

2人の、何より野保さんの幸せを思う
気持ちが同調してしまったんだろう。

金城さんの体に金城さんの意識は
入ったまま、しえりちゃんの意識
も入り込んでまるで二重人格の人
みたいになっていてちょっと奇妙 笑

さて‥どうしたことか。

ここに至るまではほんといろいろ
あったんだけど‥野保父の考えで
魂を口移しでしえりさんの体に戻す
ことに成功した。誰が誰にってのは
ちょっと悲しいから割愛します 笑

無事‥魂は戻って意識を取り戻した。
なのに‥それなのにしえりさんの
記憶の中から野保さんに関すること、
彼に出会ってからの記憶が消えた!?

全然そんな不安これまで描かれては
こなかったから、このお話ではきっと
そういう心配はないんだと思ってた。

それなのに、ここまで来てこんな
悲しいことって‥ないよほんと。

「…こんなのあんまりです。」

こんな現状に涙して苦しんだ
のは金城さん‥でも彼女は突然
何かを思いついて立ち上がった。

近藤と一緒に病室に入るとしえり
さんに対して強く、こう訴えた。

「しえりさん…まだ私がのぼさんのこと
…好きだと思ってるんですか?私はこれ
から樹さんとお付き合いします!!」

樹さん = オシャクソな近藤である ww

もちろん本気ではない。でも金城さんは
しえりさんの心に迷いがあったことを
思い出して、そのせいで忘れたふりを
しているかもしれないと思ったんだろう。

事実‥忘れていなかった。これまでの
こと、全部覚えている上で‥8年もの間
眠っていて思うように動けない体、声
を出すのもやっと‥普通の会話も大変。

そんな状態で、野保さんに負担をかける
ことをしたくないと思ってしまったんだ。

でもそんな時、野保さんがやってくる。
これまでの思い出の映像や写真、会話
に使い続けてきたホワイトボード。

‥思い出せないなら仕方がない。
それでも野保さんがしえりさんを
大好きな気持ちは変わらなかった。

1から自己紹介をして、しえりさん
のことを大好きな気持ちを伝えた。

「これ全部…お貸しします。目が覚めて
…本当によかったです。気が向いたら
…見てください。待ってます。」

しえりさんは‥

好きな気持ちさえ抑えて、忘れた
ふりを通す気だったのかもしれない。

でももう、しえりさんはそんなこと
出来なかった。ちゃんと覚えている、
嘘をついてごめんなさいと涙した。

その後一悶着あったんだけど‥
もう、二人なら大丈夫だよね?

またぶつかるかもしれないし
喧嘩もするかもしれないけど、
きっとこの2人なら大丈夫だよ。

ガチ喧嘩して、仲直りをして
これまでは触れられなかった
距離を縮めるように野保さんも
ベッドに乗り隣に横になった。

抱きしめて存在を感じて‥

なんて、ここは病室なわけで、
少しの間放って置いてくれた
友人達だけどそこに父親ズが
戻ってきてしまって‥大変 www

でもここはね、やっぱり野保さん
だなって温かい気持ちになった。

いろいろすっとばしで親への挨拶
みたいになっててびっくりだけど、
条件付きで‥榊さんは許可をくれた。

『退院後、野保さんが大学を
卒業するまでしえりちゃんは
榊さんと一緒に暮らすこと』

お見舞いもリハビリも連絡を取り合う
ことも自由‥野保さんにとっては、
そんなに緩くていいのかと思うような
条件だったけど‥おめでとう ♡♡

8年間眠り続けていたのに、その後の
経過は良好で1年と少しで何の後遺症
もなくしえりさんは元気に回復した。

そして退院するその日‥退院祝いで
初デートを野保さん宅でやることに。

「のぼくんと初めて会った
場所だから退院して初めて
行くのもあの部屋がいい。」

しえりさん可愛すぎるつらい‥♡ w
野保さん宅までの階段を登るのは
まだちょっとしんどかった彼女を
おぶって階段を登る野保さん。

ここでの会話が暖かすぎて‥
優しすぎて涙がこぼれた。

~ひとこと~

最終巻は、ほんとびっくりするくらい
いろんなことああって、でも最終的に
元気になったしえりさんがいて‥
退院祝いの野保さん宅にはみんなの
笑顔が溢れていて‥ほんと良かった。

最後の最後までどんなエンディングを
迎えるかわからない状況だったから‥
すごく不安だったしたくさん泣いた。

最後までしえりちゃんの可愛い顔が
描かれることはなかったけれど‥
きっとびっくりするくらい可愛い。

野保さんと2人で、そして父親や大切な
友人達に囲まれて、幸せになってね。

こんなに素敵なお話に出会えて、
私は本当に幸せだと思います。

拙いレビューでしたが、興味を
持って頂けてたら嬉しいです。