のぼさんとカノジョ? 第7巻

著:モリコロス 先生

貰った名刺で思い出せたことは僅か。
榊さんはカノジョの父親、カノジョ
の両親はカノジョがまだ幼い頃離婚
していて母親のもとで育てられた。

でもその家にカノジョの居場所は
無く、居場所を求めて父親の住む
この部屋に会いに来てしまっていた。

でもそれに対して榊さんは迷惑そう
にして、カノジョは追い返された。

ほんとそれだけ。名刺を見たことで
成仏してしまうということには
ならなかったけど、これではまだ
全然情報が足りていないようだ。

成仏しなかったことに安心してしまう
野保さん、その気持ちはわかるけど‥
これからも情報は集めないといけない。

カノジョの記憶は決していいものでは
ないかもしれない、思い出すってのは
つらいだけかもしれない‥またそれを
繰り返すのはきっと嫌だと思うけど‥

野保さん、カノジョを支えて欲しい。

地縛霊という形であの部屋に
居着いて出られなくなってる
カノジョ‥そんな状況から、
近藤はある不安を口にしてきた。

彼なりにぼかして言ってくれた
んだろうに‥宮本はそれを
どストレートに言ってきた 苦笑

必死にその場を誤魔化そうとして
カツ丼やら鶏南蛮やらを宮本の口に
突っ込む田山と近藤だったけど、
時既に遅し‥野保さんは冷や汗を
描きすぎて干からびてしまった 苦笑

でも実際の所、そんな危ない人には
思えないとは言えまだ彼のことを何も
知らない‥今は穏やかそうに見える彼
でも100%大丈夫とは言えないだろう。

このまま榊さんと接触して、もし
彼が危ない人だったら大変だと
思い接触の前に榊さんについて
調べることにした野保さん。

そこで思い出したのは路倍さん。
名刺から、榊さんは路倍さんと
同じ会社で働く人だと気付いた。

でも路倍さんに榊さんの名前を
出すと‥随分怯えた様子を見せて
最初は何も話してくれなかった。

千夏という誘惑を使って (笑)
部屋に呼び出し、カノジョという
幽霊と榊さんの繋がりも説明した
上で何とか話してくれたのがこれ。

幽霊に怯えて、そして千夏の可愛さ
に負けてと言ったふうだったけれど、
路倍さんは黒歴史を話してくれた。

榊さんとの出会いは、路倍さんが
会社の就職面接に行った時のこと。

確かにこんな過去、話し
たくなかったろうな 苦笑

この話を聞いて、社内でも高感度は
高い方だということを教えてもらい
榊さんが悪い人ではないだろう、と
野保さんが安心した様子だった。

大丈夫‥きっと悪い人ではない。

本当に成仏する気があるの?
やす兄ちゃんを一緒に連れて
行くつもりなんじゃないの?

いつまで経ってもカノジョを信用
出来ないままな千夏は、カノジョに
対してそんなふうに思っていた。

真意を探るために一晩野保宅に
泊まることにした千夏だけど‥

「のぼくんにめいわくかけたく
ないから。じょうぶつしたいの。」

成仏したら何もなくなくなってしまう
かもしれない‥怖くないわけがない。
それでもカノジョは野保さんのためを
思って成仏することを決心したんだ。

カノジョの真剣な思いを理解した
千夏は、これまでしてきたことを
随分と後悔してしまったようだ。

その夜、千夏は野保さんが夢に
うなされている様子を見ることに。

「いかないで…いかないで…。」

野保さんがカノジョを大好きな気持ち。
そしてそんな野保さんを大好きだから
こそ真剣に向き合おうとするカノジョ。

それを知ったら、これ以上2人の
邪魔をしちゃいけないって千夏は
思ったんだろう‥翌朝、千夏は少し
沈んだ様子で家を出ようとしていた。

「ユーレイ。…今まできつく
当たってごめんなさい…。」

気にしてないよとカノジョは答えた。
これから先のことはわからない。
でも、千夏が理解してくれたことは
本当に嬉しいことだなって思うから‥

カノジョも野保さんも、これから先
辛いことがあっても諦めないでね。
まっすぐに向き合って頑張ってね。

ある日、榊さんと会って話をする
機会が出来た。話せば話すほど、
彼は悪い人ではないと思えてくる。

それでも過去のことはわからない。
あの部屋が今幽霊物件であること、
女の子の幽霊がいること、それが
榊さんの娘さんであるということ、
自分がカノジョの恋人であるという
こと‥それらを伝えた野保さんは、

「どうして…カノジョを部屋
から追い出したんですか?」

そこからは場所を変え、野保さんは
榊さんをカノジョがいる部屋に連れて
いくことにした。ドアを開けると、
いつものようにホワイトボードで
おかえりなさいと出迎えるカノジョ。

「しえりなのか?」

そう榊さんが言った拍子に、ホワイト
ボードは床に落ち、榊さんもドサッと
倒れてしまう。慌てて彼に駆け寄った
野保さんもそこに倒れてしまって‥

気がつくと真っ暗な世界にいた。
少し若返ったように見える榊さんと、
カノジョと出会ったばかりの頃を
思い出させる風呂上がり姿の野保さん。

暗闇の先に見えた光の中には、
これまでのカノジョの記憶が
映し出されているようだった。

突然の娘の来訪に戸惑う榊さん。

でもここに来る理由を問うことは
せず、カノジョがここに通い続けた
理由を知らないままでいたらしい。

母親と再婚した義父は、外面ばかり
が良くて中身はクズそのものだった。

カノジョのことを再婚相手のコブ、
バカ、恥‥と酷い扱いをしていた。

そんな事情は知らずとも、自分と
一緒にいる時の娘は楽しそうだった。
‥いつしか一緒に過ごす時間に
心地よさすら覚え始めていた。

でもそれは長く続かず‥榊さん
にカノジョの義父から電話が来る。

その内容も酷いものだったけど‥

「あなたはもう父親じゃないでしょう?
私の娘を家に帰してください。」

最後にそう言われて、榊さんは
カノジョを追い出してしまった。

「…ここはお前の居場所
じゃない。帰ってくれ。」

その言葉を受け、カノジョは苦しい
気持ちを抱えたまま走り出した。

居場所がない‥帰りたくない‥
その先で交通事故に遭ったんだ。

カノジョの記憶はとてもつらく
残酷で‥苦しいものだった。

榊さんの口からは、後悔する言葉
がずっと出続けていたくらいだ。

でも最後に‥思いもよらなかった
事実を告げられることになった。

「…しえりはこの後集中治療室に入り
ました。未だに…目を覚ましません。」

カノジョは亡くなってはいなかった。
8年もの間昏睡状態だというけれど、
それでも身体は病院にあって、榊さん
が親権を取り戻してくれたおかげで
これ以上カノジョが苦しむことはない。

もし目を覚ましてくれたら‥幽霊と
してではなく人として幸せになれる?

カノジョが事故に遭う前までの記憶が
流れ終わり、まだ生きているという
話をしていたら‥今度はカノジョが
幽霊になってから、この部屋に来て
からの記憶が映し出されていた。

事故から一月後、事故を思い出して
耐えられないからと榊さんは社員寮
に移っていったという。その後何人
もの人がこの部屋に住もうとした。

でもカノジョからしたら知らない人が
部屋に入って来て好き放題する状況。

それが嫌でずっと追い出し続けた。
自分が誰なのか‥それは幽霊になった
ばかりの頃から記憶がなかったようだ
けど、この8年の間になぜ自分が人を
部屋から追い出しているかも分からなく
なって‥助けを求めるようになった。

そんな頃、野保さんがやってきた。
優しそうな人‥彼の印象は最初から
悪いものではなかったんだけど‥

そう、例のお風呂上がりの時だ 笑
その光景が映し出された所で、2人は
真っ暗な世界から元の世界に戻った。

「パンツはいて!」

記憶を取り戻したてに、記憶と現実が
ごっちゃになったカノジョにホワイト
ボードではたかれるハメになったけど 笑

そして改めて落ち着いたカノジョは

「全部思い出したよ」

ホワイトボードに漢字でそう書いた。
記憶は全て戻ったんだ。きっと辛いこと
もたくさんあったろう。それでも最後に
出てきたのが野保さんとの記憶だった
から‥少し安心できたのかもしれない。

あとはきっと野保父が手伝ってくれる。
何とかしてくれる‥きっと戻れるよね。

~ひとこと~

7巻‥ほんといっきに話が進んだ。
カノジョ‥しえりさんの明かされた
つらい過去。父、榊さんの思い。

7巻は、ほんとまるっと読んでも
泣きっぱなしになってしまうかも
というくらいに話が詰まっていた。

それを説明しようと頑張ったら
随分長文だらけですみません (汗

次巻で最終巻になります。一体
どんなふうにまとめてくれるか。

泣いても笑っても最後です。
お付き合い頂けたらと思います。