のぼさんとカノジョ? 第5巻

著:モリコロス 先生

友人達に本当のことを話し、
カノジョという存在を理解
してもらうために家に招いた。

でもそこにいる友人達は、幽霊
のカノジョなんて存在に怯えたり
疑って怒ったり‥信じてくれない。

そんな状況でカノジョを紹介
しようとするも、カノジョも
不安がって動こうとしなかった。

それで、怒って出ていこうとする
近藤と連れられて出ていこうとした
金城さんを引き止めたのはカノジョ。

ようやく決心したように、動いた。

「ボクの妄想じゃないってことは
わかってくれた?設定でもないんだよ。
姿も見えないし声も聞こえないけど、
カノジョは存在してる。怖くも
何ともない、優しい人だよ。」

存在は、信じるしかない状況だった。
それでもカノジョはあくまで幽霊で、
宮本は何か裏があるんじゃと言う。

そう簡単に信じられるものではない。
あんなふうに向き合えたのはきっと
野保さんだったからだと思うわけで‥

でも、ほんの少しずつでもいいから
分かってもらえるようになれたらいい。

カノジョのことを話す野保さんは、
いつもほわんとしてる彼からは想像
できない‥真剣そのものだったから。

カノジョを紹介されてからも、それぞれ
いろいろ思うことはあったと思うけど、
一番様子がおかしくなったのは近藤 笑

何かと野保さんに敵意を向けっぱなし、
金城さんを心配して、何かと金城さん
を肯定しカノジョを否定したがった。

金城さんに勘違いさせてしまった
ことに関しては野保さんちゃんと
謝罪をしに行っていたという。

カノジョの存在は事実で、だからと
言ってこれ以上どうこういう話では
ない‥それをいつまでもグチグチと
言ってる近藤に対し宮本がキレた。

「クソうるせえんだよおしゃべり
クソハゲクソ野郎があ--ッ!!!
終わった他人事に口出しすんなハゲ!!!」

そして最後にこう言う。

「金城さんにホレたかそうだろ、あ゛あ!?」

「そんなわけ………ある。」

そう、惚れてしまったんだそうだ。
自分から行かなくともモテてしまう
この男は、いろいろ変わり者だけど
誰かに恋したのは初めてなんだと 笑

まだまだいろいろ不安はあるけど、
ちょっとおもしろくなって‥きた?笑

「…確かにのぼさんにはフラれ
ちゃいましたけど、相手がユーレイ
ならいないも同然!!!再アタック
しようと思ってるので!!!」

想定外の事実に落ち込んでいた金城さん
に自覚したばかりの自分の想いを伝えに
やってきた近藤だったけど‥なんでか
随分明るくそんなことを言われてしまう。

でもよく見ると、手が震えている。

(そうか…恐らく失恋のショックで
現実に向き合いきれてないんだ…!!)

事実はどうであれ、そう解釈した
近藤は思い切り金城さんを抱きしめた。

勢いのままに告白しようとして‥
し終わる前に玉砕してしまう 笑
この後近藤はやたらと長い髪を
ばっさり短く切ることになる。

ある時近藤は野保さんにとっての
カノジョとは何なのか問う‥恋人?

そう言われて恋人ってどういうもの?
から始まるレベルの野保さんだった。
実際にこんな感じ‥といくつか言われ
考えてみたけどいまいちピンと来ない。

でも田山の一言に対して野保さんは
「うん」と答えることはしなかった。

触れられない‥そこに何かひっかかり
を感じてしまったのかもしれない‥。

その日の野保さんは、家に帰っても
どこか上の空‥というか、カノジョ
から触れられている感覚はあるのに
自分はカノジョに触れられないと
いう現実を、初めて苦しいと感じて
いるような、そんな表情を見せた。

ある日千夏が野保さんの家にやってきた。
以前お世話になった路倍さんへのお礼を
したいと言って、タコパの準備をして。

「ユーレイじゃこんな風に触れない
から羨ましいんじゃないの?」

なんてカノジョに言う千夏の言葉に

「うらやましくなんかないし。」

少々拗ねたような絵文字付きだった
けど答えたカノジョに対して‥
野保さんはあからさまに落ち込んだ。

そしていじけるように千夏にくっつき
ながら田山の言葉を思い出していた。

(たしかに寂しいなあ…。
千夏ちゃん体温高いなあ。
こんな風に、カノジョにも
触れられたらいいなあ。)

なんて考えながら海老の背わたを取って
いたら、思い切り楊枝を指に刺した 笑

それからの野保さんは何をしてても
危なっかしい感じが続いて、その
理由に勘付いたのか、それとは別に
ただ自分の本音を教えてくれたのか。

さっきまで酷く落ち込んでいる様子
だった野保さん、カノジョの言葉に、
気持ちに耳や首まで真っ赤にして
喜んでいた。良かったね野保さん。

野保さんもカノジョも、互いに
触れたいって思ってるんだね。

野保さんの様子がおかしい‥

食欲があまりなく集中力もない、
夜はなんだか寝不足気味のようで
カノジョは心配している様子だ。

でも病院に行っても寝不足ですと
しか言ってくれなくて‥しばらくは
その原因がずっとわからずにいた。

そんな彼の症状に答えを出して
くれたのは、近藤の言葉だった。

「それは恋じゃないの?」

鯉 ?? なんて頭に浮かべるほど
ボケている野保さんは置いといて 笑

ここでようやく自分がカノジョに
対して恋してるって自覚したみたい。

そのせいでカノジョのことを考えたり
カノジョに接したりするたびに一々
ドッキュドキュしてしまって大変そう。

気持ちを伝えたい‥そう思う野保さん
だったけど、もし振られたらと考え
たら怖くて伝えられなくなってしまう。

カノジョへの気持ちを自覚してしまった
野保さんは、冷静にカノジョに接する
ことができなくなってしまっていた。

それでもいつまでもそんな状況を伝え
ないままでいることも出来ず、今日
伝えようと決意下はいいけれど‥

心を落ち着かせるために長湯して経を
唱えればのぼせて倒れてしまうし、
素っ裸で倒れた彼をカノジョがベッドに
運び一先ずパンツ履かせてくれてるし 笑

田山の告白話もいろいろ残念な感じで
はあったけど、それ以上に悲惨だった。

でもそうやって一人迷走している間、
カノジョはずっと不安に思っていた。

「のぼくん、わたしのことさけてる?
わたしのことでのぼくんとおともだちに
たくさんめいわくかけちゃったから。
のぼくんのちょうしがわるかったの
わたしのせいだったんじゃない?

だからおきょうでわたしをじょうぶつ
させようとしてたんでしょう。
おきょうもきかなくてごめんね。」

一生懸命弁解しようとした結果、恥に
恥を重ねてしまった野保さんだったけど、
心をこめて伝えたい気持ちを届けた。

それはちゃんと届いて‥カノジョは
喜んでくれた。嬉しいと言っていた。

その気持ちが少しでも伝わるようにか、
毛布でぐるぐる巻きにして抱きしめる。

ちょっと苦しそうだったけど 笑

カノジョの野保さんに対する
気持ちも恋なんだろうと思う。
本当に、両想いなんだろう。
なんかすごく‥嬉しいよ。

おめでとう。
前途多難だと思う‥でも、
想いが通じ合えたのは嬉しい。

~ひとこと~

いろいろあったけど、晴れて両想い
になりました野保さんとカノジョ。

紹介しそびれている部分では、
野保さんにひっつきっぱなしの
千夏はただのブラコンだったと
判明したり、近藤の入れ知恵もあり
金城さんは少し引く作戦に出てたり。

表向き、強がっていた彼女の本心は
幽霊という得体の知れない者から
野保さんを引き剥がさなきゃいけない
と、心配してる気持ちが強いようだ。

千夏や金城さんの気持ちは届かぬまま
2人は両想いになったわけだけど…

その日の夜、野保さんが眠りについた
頃カノジョにはまたあの男性が見えた。

これまでは顔がわからなかったけど、
今回ははっきり見える、随分冷たい
雰囲気を覚える表情で枕元に立って

「帰ってくれ、ここは
お前の居場所じゃない。」

そういった所で5巻は終わった。
幸せな気持ちは長く続かない
ということなんだろうか‥不安。

ただでさえ人と幽霊、これから
一体どうなってしまうんだろう。