著:麦芋 先生

たくさんいろいろ考えたけれど
自分がシルヴィオに対して抱く
気持ちが恋愛感情なのか違うのか
それすらきちんとわからなかった。
それでも幸音は幸音なりに
「シルヴィオさんがくださっている
気持ちと同じものを返したい。
この気持ちを恋愛と呼ぶのであれば-」
そこまで伝えたところでシルヴィオが
ひどく苦そうな顔をしていると気づく。
「むずかしい…。」
幸音なりの答えを伝えようとしたものの、
幸音の伝え方はシルヴィオには難しくて
ほとんどの内容が伝わってなかった 笑
改めて何かを伝えようとして、幸音は
シルヴィオに恋愛ってどういうものか
わかりますかという質問をするけど、
更に混乱してしまったシルヴィオ。
「わからない…デス…。」
そう答えるけど、続けて
「『わからない』で良いと思うします。」
シルヴィオはそう言った。
シルヴィオらしい答えだよね。
見えないし今はわからないけど、
お互いを大切にしたい気持ちは
確かにそこにあるんだからきっと
幸音とシルヴィオは大丈夫だろう。
「試しますか?オレと。」
「はい、是非。」
気持ちが軽いってわけじゃないけど、
シルヴィオがこんなふうに軽めの言い方を
してくれるからこそ幸音も変に身構える
ことなくすんなり答えられた気がする。
シルヴィオがいる場所はいつも柔らかく
安心する空気が満ちている気がするよ。
ゆっくり、2人のペースで愛を
与えあっていけたらいいね。

時は少し遡って幸音と桃と片倉
3人で飲みながら話してた日の続き。
片倉の好きな子いる宣言を受けて桃は
‥あまりにも脈なしな反応をした。
「さ…流石先生…!そっか…そっか…
本当に皆してアオハルして…可愛い
のう…うぉおぉ…甘酢っぱ…!!!」
その後も桃は妙に応援ムードだし、
片倉と幸音の表情はどんどん曇る。
「…本音を言うなら…。」
そう言ってから続けた桃の言葉は
きっと大事なオタ友としての言葉で
しかなかったのかもしれないけど、
またここで関わりがスパッと切れて
しまうのは嫌ってことだけはわかった。
まあ好きな子にそんなことを言われる
片倉はもう哀れでしかないのだけど 笑
片倉は前に踏み出せるんだろうかね。
恋愛感情持ってるからって、きっと
今の片倉は恋人同士になることより
オタ友としてでもそばで桃の笑顔を
見ていることの方を望むんだと思う。
無理に踏み出して断られちゃったら
それこそ繋がり切れちゃいそうじゃん。
お互いに好きで一緒にいたいことに
違いはないのに、現状では2人の好き
の意味が全然噛み合ってないんよね。
前記事の最後に少し書いたんですけど、
許されたとしても過去にしてしまった
ことは消えないし負い目があるから
片倉とまた恋愛って考えに至れない
んじゃないかなーって思ってまして。
桃が何かしら感じてくれたらいい。
片倉は‥これからどうするんだろう。
難しいな、こいつら難しいな 笑
頑張れー負けるな片倉ー!!!

昼休み、まだ原稿で忙しい幸音は
お昼寝中でこの日は片倉と桃2人。
時間になり解散しようという頃
店内で片倉は同僚のを見かけて、
桃はそこで知らない片倉を見た。
この人よく片倉と一緒にいる人だし
きっと気安い仲なんだろうと思う。
そんな同僚と話をしてる片倉は桃達と
接する時とは少し雰囲気が違ってて、
桃はなんとも言えない気分になった。
(喋り方…?表情…?言葉遣い?なんか…
なんか…片倉が知らない人みたい。)
ある、あるよねそういうの。
その時はただ、なんだかわからない
モヤッとした気持ちで終わったんだと
思うけど、後に幸音とシルヴィオとの
ことを話してて気づくことになった。
今はわからなくて悩んでる幸音だけど
いずれ恋愛感情がわかってきたら、桃の
知らない一面が出てくるんだろうなって、
それはなんか寂しいって思ったんだよ。
それで、知らない片倉を見た時に感じた
のは寂しいって感情だったのかもって。
まだ、今はそれだけだったけど、
知らない面を見て寂しいって感じる
くらいには桃にとって片倉を近い
存在に感じてるんだろうなって。
今はまだ恋愛に結びつかないとしても
そういうの意識するようになったら
すぐに気持ちが動きそうな気がした。

今日はイベントにやってきました。
桃がサークル参加の手伝いとして
一緒に行く?って誘ってたんだけど
サークルのスペースに桃と幸音の
他に片倉とシルヴィオがいるのを
想像したら狭いしカオスだし‥
ってんで今回はシルヴィオと二人
一般参加することにしたみたい。
無事欲しい同人誌を買い回って、
一休みしてから桃達のスペースに
行こうって‥そこでシルヴィオと
少し話をしてたんだけどね。
「シルヴィオってなんで
春日が好きなんだ?」
その質問へのシルヴィオの答えが、
本当にシルヴィオらしいなって。
最初は黒髪の綺麗な日本人だから
目を惹いた程度だったかもだけど、
関わってくうちに幸音がどんな人か
知って少しずつ好きになったのかも。
いいね、まだシルヴィオと幸音の関係は
スタート地点なんだと思うけど、きっと
これからまだまだ知らない一面だったり
素敵な一面を知っていけるんだと思う。
そうやって過ごしながら、シルヴィオの
夢はどんどん増え続けてくんだろうね。

職場の仲がいいらしい同僚2人に
片倉は桃のことを話してみた。
というか、好きなんじゃないの?って
言ってくれたあれ以降片倉の片想いが
始まったことも話してなかったようで
片想いしてることと、好きなやついる
宣言したら応援されたって話をした 笑
オタクだってことは誤魔化しつつも
高校時代付き合ってて自然消滅した
とかいう話もした上で相談をした。
高峰さんって女性の同僚さんが、
こんな現状でも脈はあると言う。
高校の時は①のタイプの付き合い方を
してダメになったけど、今なら既に
情もあるし片倉が意識させられれば
情はあっという間に恋になるかもって。
同僚のアドバイスを受けて、片倉が
どう動くかは今後の片倉次第だろう。
きっと好きなやつがいるってことが
バレず応援されることもなかったなら
もうしばらくオタ友として楽しそうな
姿をそばで見られたら満足だったかも
しれないけど、現状は好きなやつがいる
ってバレて応援されてしまってるんだ。
現状維持は片倉の精神的にきつそう。
シルヴィオみたいにスマートに、とは
いかないだろうけどそれでも片倉なりに
アプローチを始めることになりそうね。

子供向け映画だけどストーリーが
大人でも楽しめる深いお話だからと、
4人でどうかと幸音は桃達を誘った。
でもここ最近の幸音は原稿が忙しくて
シルヴィオとせっかく付き合い初めた
のに全然二人で遊べていなかった。
「観たいのは俺もだけど…いや…
シルヴィオと二人で行ってやれ…?」
片倉からの助言もありシルヴィオの
日本語の勉強もかねてシルヴィオと
幸音の2人で映画を観に行くことに。
ずっと原稿で忙しかったし、まだ
シルヴィオとの関係や気持ちに答え
は出せていないままの幸音だった。
でも映画を観た後シルヴィオとその
内容について話していたんだけど‥
本当にどこまでもシルヴィオが紡ぐ
言葉はまっすぐで温かくて心地よい。
幸音にとって恋愛っていうのは、
物語の中のもの、ドラマがって
色んなものを乗り越えて幸せに
なるような‥そんなものだった。
でもきっとそんなこと全然ない。
もちろん映画とか漫画とかそういう
物語として形に残るのは幸音が思う
ような恋愛が多いかもしれないけど、
何気ない日々や時間の中にある楽しい
だったり綺麗だったり、一緒に過ごす
中で沢山見つける良いなって気持ちが
シルヴィオの好きなのかもしれないね。
一緒に過ごしてきて、シルヴィオを応援
したい気持ちもすごいって思う気持ちも
嬉しいもドキドキも、幸音なりの好きの
気持ちだったんだって気がつけたんだ。
「簡単なことでいいんですね。
私もシルヴィオさんが好きです。」
別に同じじゃなくていい、物語のように
すごい何かがなくたって別に構わない。
2人それぞれの想いをこれから
先も一緒に過ごしていく中で
大切にし続けられたらいいね。
いいなー恋してる人たちって
すごく素敵だなって思った。

オタ友達の1人として桃と2人だったり
4人でだったり過ごす日々は続いていた。
そんな中片倉は、桃が好きなことを語って
楽しそうにしてる姿に可愛いなって心臓
鷲掴まれてそうな音が聞こえてきた 笑
そんなある日のこと。
カフェで休憩していた桃と幸音は
店の外を通過していく片倉とその
同僚の女性(高峰さん)を見つけて
‥困ったことに桃はある誤解した。
「あの人か!!」
違う、仲いいのは事実だけどその人
全然片倉の好きな人じゃない、違う!!
桃よ‥恋愛化石どーこーは置いといても
ほんとどこまでも鈍すぎて片倉可哀相 笑
きっと桃の発言の意味に隣にいる幸音は
気付いてると思うけど、はっきり違うよ
なんて言えないだろうし‥苦しいな。
桃(達)の存在に気付いた途端にとっても
いい顔して手を振ってくれてる男がよ、
隣歩いてる女性に恋してますとかそれは
ちょっと違和感あるでしょ気付いて 笑
桃の誤解、早く解けてほしいな‥
あわよくば自分か?って思って 笑
片倉がいい顔してるのは桃を見つけて
桃の話してるからなんだよ、誤解よ 笑
片倉の片想い長引きそうですね。
~ひとこと~
前に片倉が桃のこと、可愛さ余って
憎さ百倍とか言ってた気がするけど、
ほんとそれだなって思ったシーン 笑
まあね、自分のこと好きだって微塵も
思ってないから仕方ないのかもだけど
ちょいちょい片倉が哀れになります。
幸音とシルヴィオはゆっくりだけど
すごく順調に幸せそうに感じるから、
だからこそ桃の空回りっぷりが痛い。
片倉の気持ちを考えるとすごくしんどい。
桃だけは何もわかってないけど、幸音も
シルヴィオも応援してくれてるだろうし
片倉もきっと頑張る気あると思うから、
私も桃が意識するよう願っておきます 笑
さてね、今後どうなっちゃうんだか。
また次巻良かったらお付き合い下さい。