著:麦芋 先生

冬コミでの出来事以降、一応説明と
謝罪のため話をする場を作りはしたが
片倉にとってあまりに衝撃の真実で、
途中からはもう周囲の言葉の内容が
頭に入らないほどいっぱいいっぱい。
やっと言えた、桃の真剣な謝罪も
聞こえてはいたと思うけど頭で理解
できていたかは微妙かもしれない。
「すまん…ちょっと頭働いて
ないから今日帰るわ…。」
そう言ってその日は帰ってしまって、
桃から話がしたいと連絡をもらっても
年が明けた今も返事を送れずにいた。
でもその理由は怒ってるわけではなく
自分の中の問題だったのかもしれない。
自分なりに桃の行動の理由は理解
していて、その結果自分が騙されたり
身勝手な態度をとられていたとしても
それは彼女にとって仕方がなかったこと
だと納得しようとしてくれていたんだ。
桃と行った舞台の時だって、片倉は何も
悪いことしてないのにそういう人達から
見たらそう見えてしまうものなんだと、
それこそ仕方ないと考えていた気がする。
怒ったっていいのに、こういうのは
優しさなんだろうか、心の広さかな。
物事や状況を理解した上で自分なりに
他人の気持ちを考えて理解できるを
思うからこそ、怒れないんだろうか?
躊躇いもあるし傷ついただろうに‥
上手く言葉でまとまらないけど、
片倉のこういう所すごいなって
思う反面すごく心配にもなった。
ただ桃(モモ)だけに関して言えば、昔は
趣味もなくただ淡々と日々を過ごしてた
片倉にここまでのめり込めるものを教えて
くれた存在という意味で、もしかしたら
感謝の気持ちの方が大きかったのかも。
何も返してやれないっていうのは、
彼女が故意にしてきたことではなく
ともこれまでもらっただけ自分も
返せたらいいのにって思うから?
私の理解力不足でしょうか‥笑
片倉が抱えてる気持ちをきちんと
理解出来てないけど、それでも今
こんなに悩むのは片倉が今の関係や
桃を大切に思うからなんだろうな。

お昼に全く顔を出さなくなってしまった
片倉の存在に、3人だけ集まったその場の
空気も自然と重くなってしまっていた。
コミケに片倉と一緒に行ってしまった
ことが原因だろうかと申し訳無さそうに
俯いてしまうシルヴィオに対して
「問題は私がそこに居たこと、私が悪い
ことしたからでシルヴィオは悪くないよ。」
そう、桃は全部自分が悪いって思ってて
嘘ついたり騙したりしてたことに関しては
悪かったと思うけどそれが全てじゃない。
そういうのまで、全部なかったことに
なってしまうみたいに自分を否定する
桃をシルヴィオは放っておかなかった。
反省する気持ちは大事、でも彼にとって
決してそれだけじゃなかったのは事実。
自慢気にする必要はないかもしれない、
それでも素敵な物を生み出し続けてきた
事実が片倉を幸せにしていたことだけは
きっと誇りに思っていいことだろうな。
片倉が喜んでくれてた気持ちまで、
片倉の大好きって気持ちまでなかった
ことになるわけではないのだから。
まだ何も解決してない、それでも
シルヴィオのまっすぐ過ぎる言葉は
ただ待つだけしか出来ずどんどん
悪い方にばかり考えてしまってた
桃にとって大きな救いだったろう。
シルヴィオって、やっぱりすごいよ。
彼のこういう所、ほんと尊敬する。
大丈夫、まだ何も終わってないから。
もう少し、またちゃんと話ができる
その日までもう少し頑張ろう、桃。

ある日の夜、シルヴィオは片倉の
会社の前の通りで片倉が出てくる
仁王立ちした状態で待っていた。
人でも殺めるんじゃないかって
顔してて片倉ビビってたけども 笑
その日は、VRゲームが出来るという
場所に誘うためにやってきていた。
「俺と二人で行くの?コレ。」
そんな片倉の問いかけに
「グウゼンですがモモと
ユキネに会うよ!!」
事実ではないけど嘘もつけない、
そんなシルヴィオ嫌いじゃない 笑
4人で遊びに行く予定だと理解した
上で、片倉は行くと言ってくれた。
気まずいのは相変わらずだけど、
まずは片倉から連絡を返さなかった
ことを謝っると、一旦何もなかった
ことにして今日は楽しもうと提案
してくれて‥片倉ぁああああああ。
私少し泣きそうになりました。
彼には誰よりも幸せになってほしい‥
そんなこんなでその日は始まった。
遊び回りつつも、きっとみんなこの
関係が無事修復されることを願ってて
中でも幸音は、ずっと桃達のことを
心配して時折ぼーっと考え込んでいた。
仲直り、そして関係修復のために
みんなで遊んでみるというのを
提案したのは幸音だったみたい。
あの日シルヴィオの言葉が桃を
救ったのを見ていて、自分には
できないことだって思ったけど
自分にも何か出来ることはないか
自分もシルヴィオのように何か‥
そんな考えに至って自分なりに
動いた結果がこれだったみたい。
2人のためだと思ってやったこと、
でも結局は自己満でしかなかった
のかも‥なんて後悔もしていて。
そういう小難しい説明はシルヴィオが
理解するには難しい日本語のようだった
けど、幸音がずーっと考えているのが
2人のことなのはわかってくれていて
彼なりの思ったことを伝えてくれた。
シルヴィオの言葉ってどうして
こんなにまっすぐ届くんだろう。
きっとシルヴィオは人が好きなんだな。
だからその人のいい所を上手に見つけて
それをすごい所だって認めてくれるの。
自分にできないことをデキる人は
すごい、確かにそうだって思った。
でもそれをこんなにまっすぐに相手の
心まで届けられるのはやっぱり彼自身の
すごい所なんだろうなって思った。

何もなかったことに、とはいえ
気まずいものはやはり気まずい。
覚悟を決めて話を振って
くれたのは片倉の方だった。
「俺はな、高校の時みたいな結末は
もうごめんだと思ってんだよ。」
結局片倉にとって1番大事なのは
今の関係性を終わらせたくないって
ことで、高校の時はろくに話もさせて
もらえないまま避けられて終わったし、
そんなことにならないためにはどう
したらいいかずっと考えてたみたい。
その答えは出ないままだったけど、
それならばと結論から告げたのだ。
あんなふうに終わるのは絶対嫌だって、
前みたいに気軽な関係でいたいんだって。
片倉の気持ちを聞いて、言葉を聞いて、
桃から出てくるのは謝罪の言葉ばかり。
「片倉は怒ってないって言ったけど、
私は許されなくてもいいって思ってて
そのくらい申し訳ないと思ってて…。」
でも最後に、片倉の気持ちを無視した
言葉まで出てきてしまったものだから、
さすがの片倉も態度・顔共にオコです 笑
でもこれは大事だから故のムチだね。
そして片倉かっこよすぎたよ、言って
自分で照れちゃったね、可愛いかよ 笑
きっと桃も、罪悪感が全て消えた
わけじゃないと思うけど、それより
これから先もこんな良いヤツと友達で
いられるってことだとか、こんないい
ヤツのために何ができるかなってこと
だとか‥そういう前向きな方向で
向き合っていけたら良いなと思った。

無事仲直りも済み、もう
大丈夫だなって様子を見て
幸音も安心したようだった。
そしてそんな幸音を見て安心した
シルヴィオは余計なことを言う 笑
「スズヤはモモのこと好き
だもの。ちゃんと仲良し
すると思うしていました!」
好きってワードに過剰反応してしまう
片倉、その好きの意味に気づく幸音、
何も気づかず能天気に照れてる桃。
まあね、きっとシルヴィオは友達と
しての好き、のつもりだったと思う。
だからきっとどちらかと言えば正しい
反応は桃の方だったんだと思うんだ。
ただ恋愛感情的にいろいろ思う所が
ある片倉があーなって幸音が気付いて
しまったのも致し方ないことだろう 笑
ああ‥恋愛方面はこじれる一方です。

ある日の仕事上がり、片倉と桃と
幸音は飲む約束をしてたんだろう。
桃が残業でまだ2人の間に、幸音は
VRゲームをした日の疑惑を確認した。
「片倉くん…桃ちゃんのこと
本当に好きなんですか?」
ド直球過ぎる幸音だったけど、
逆に直球だったからこそ片倉も
素直に認めてくれた気もする 笑
でもこの話題はエスカレートして
「せっかくだから片倉くんに
質問したいのですが!」
‥ものすごい勢いで恋愛という
好きとはどんなものなんだろうと
いうことをめっちゃ聞かれた 笑
(私気になります!!)
顔がね、すごいそー言ってて、
どっかで聞いたフレーズだね。
決して逃げられないやつね 笑
最終的に、推しに対する気持ちに
近いパターンもあるのではって
話になって幸音的推しへの気持ちは
「どんな形でもいいからどこかで
幸せでいてくれたら良いなって…。」
おかん的な考えでして 笑
「『幸せでいてくれ』が友達
とかへの情だとするなら、その
幸せを『与えられたらな』って
思うのが恋の方の愛情なんじゃね?」
そう結論を出した。
ただ、それを聞いた幸音に、
「片倉くんは桃ちゃんを
幸せにしたいんですね。」
そう言われて片倉はアレ?って
なってて自分でもよくわからない
みたいになってしまってたけど 笑
結局これは新刊の参考にされそうな
ネタ収集だったわけだが、この後幸音は
かなりの問題発言をすることになる。
「今の恋愛とはなんぞやという化石的
問題の数々なんですが…桃ちゃんと
一緒に悩んだ疑問なんですよねコレ。」
つまり彼女達にとってBLはファンタジー。
ファンタジーの中ではいくらでも恋愛を
語れる2人だけど、現実世界に戻ってきた
途端恋愛とは何なのかわからなくなる 笑
片倉はとても難しい相手を好きに
なってしまったのかもしれない。
でもきっと、今はこんなふうに好きな
ものを語る楽しそうな桃の姿をそばで
見ていられるだけで、片倉は幸せだと
思えるのかもな‥これも恋だよね。
っていうか‥これは多分愛かな?
そんな2人を幸せにしたい気持ちで
いっぱいの読者がここにいます 笑

本日は『氷菓子』『俺の名は』の
聖地とされる飛騨高山に旅行に来て
いて‥いわゆる聖地巡礼旅行です。
モモさん作のしおりを持って、
4人で旅行‥めっちゃ楽しそう。
アニメ好きで旅行も好きな方なら
聖地巡礼とか結構する人も多いの
かもですが‥彼らは中でも特殊。
『俺の名は』の聖地、みんなで
五平餅を食べてるシーンのお店に
やってくると、やはり映画を観て
遊びに来たという人が多いようで
「じゃあ良かったらこの
ノート書いていってね。」
そう言われてノートを開くと
映画が好きで店を訪れた人達が
思い思いに書いていった文字や
イラストがたくさんあって‥
「はい。(訳:お前も描くんだよ)」
幸音は桃にペン立てを渡した。
一応言葉は発してるけど、はい
っていうだけでほぼ無言の圧力 笑
さらにはそんなやりとりをすぐ隣で
見ていた片倉がじーっと桃を見る。
彼こそ無言なのに何考えてるのか
丸わかりな程あからさまな視線で、
少々緊張しながら桃は絵を描いた。
聖地巡礼しながら、憧れの絵描き
さんの生お絵描きが見られるって‥
何それめちゃくちゃ羨ましいぞ!!
録画は断られたので、自分の目と
脳内にしっかり残した片倉だった 笑
で、描き終わった後の反応もさ、
もーなんなのこの子超可愛い 笑
片倉ほんっと見てて飽きないです。
「写真も撮った、店員さんも優しい、
食い物は美味い、生でお絵描きが
見られる…聖地巡礼って最高だな…。」
私もそんな聖地巡礼してみたい
ってものすご---く思った 笑
~ひとこと~
いやー‥一先ず良かったです。
冬コミで会っちゃった時はほんと
焦ったしその先に不安しかなかった
けど、これまで通りの距離感のまま
桃や幸音に対して憧れの作家さん達
という情報が追加されたことにより
たまーにおもしろい片倉が見られる。
多分それくらいの変化で済んだよ。
ラブ展開に関しては、片倉の気持ちは
恋心だけど今はまだこのままのオタ友と
しての距離感で幸せだと感じてるみたい
だし、もうしばらくはこの微笑ましい
感じが続くかなと思うのが、一組目。
シルヴィオと幸音に関しては、
現状恋とかそこまでのわかりやすい
描かれ方何もしてないんですけどね。
慣れてない幸音が一方的に翻弄されて
ちょっといっぱいいっぱいになってて、
そんな幸音が可愛くて仕方がないのか
あえて困らせるような質問を投げかけて
からかったりするシルヴィオがいたり、
そんな可愛らしい状況なのが二組目。
今後の展開はまだちっとも読めない
けど、ラブ要素もオタ要素も充分に
楽しめるお話なのでのんびり読み進め
レビューしていけたらなと思ってます。
相変わらず文章下手すぎですみませんが
興味持ってくれる方がいたら嬉しいです。