著:石田拓実 先生

久々に4人で食事をしたその場で
‥知らぬ間にあかりさんに恋人が
出来ていたことを知ることになる。
「簡単にトモやめて男作ってその男
のために料理覚えるとか……-あかり
がそういう男に尽くす…-媚売る
ようなことするとは思わなかった。」
突然のあかりさんの報告に、
いちいち突っかからないと
気が済まないのだろうか‥
長谷、やっぱすごく苦手 笑
でもあかりさんさすがすぎた。
ほんとこの人はかっこいいわ。
「何だかすごくそれを見て
みたくなったの…それだけよ。」
あかりさんの気持ちや言葉に長谷
もそれ以上は何も言わなかった。
あかりさんの恋人、彼女にとって
良い変化をくれる素敵な人みたい。
もしかしたら最後になるかも
しれない4人の晩餐で、複雑な
思いよりもあかりさんの話で
すごく温かい気持ちになった。

恋人ができたというあかりさんに
本行のことはもういいのかと疑問
を口にした亜希だったけど‥
「いいわけないじゃない。」
ものすごい形相で否定された 笑
ただ、あかりさんが本行を思う
気持ちは亜希のそれとはやはり
ちょっと違うものだったようだ。
それに気付くきっかけになった
のが、本行のある思いだった。
本行が抱える問題についてずっと
知らされていなかったあかりさん。
あかりさんにだけ、教えてくれて
いなかったという事実が彼女の中
では結構大きなショックで‥
でもその理由があかりさん的には
すごく嬉しいことだったみたい。
本行にとってあかりさんは優しくて
楽しそうでいろんなことを知ってて、
かっこよくて尊敬する存在だった。
そんなあかりさんが出会った頃から
自分の結構ガチなファンで、そんな
あかりさんだからこそ話してがっかり
させたくなかった‥そう話したのだ。
その言葉が、気持ちがすごく嬉しくて
幸せで満たされる思いだったという。
あかりさんは本行自身にというより、
本行の作品が大好きでだからこそ
それを生み出す本行という存在が
大好き‥そういうことなんだろう。
そして、あかりさんの気持ちごと
受け入れてくれている彼氏さんは
びっくりするくらい素敵な人だ。
亜希の本行に対するような想い
とはまるで違うものなんだろう。

(--私の欲しいもの、て、
行きたい場所、てどこだ。)
自分の欲しいものを自覚して
行きたい場所にたどり着いた
あかりさんを見て、話を聞いて、
自分にとってのそれを考えていた。
長谷と今後のことを話すための
時間は長谷が忙しすぎるようで
もう少し先になるらしい。
というわけで、もうしばらくの間
本行に看病&お手伝いをしてもらい
ながらの生活が続くようだった。
余計なことを考えなくて良いのなら
本行とそんなふうに過ごす時間は
亜希にとってすごく楽しいもので‥
やっぱり亜希の行きたい場所って
そこなんじゃないのかなと思う。
でもそこに恋とか本行の気持ちとか
余計なことを踏まえてしまうと
面倒な部分の方が多くなってしまい
しんどくなってしまうんだよね。
だったら‥本行が亜希に対して恋心を
持ってくれているという前提の上で
本行の隣に要られる関係、だろうか。
近いようで、きっとものすごく遠い。

ここ最近一緒に過ごす時間は増えた
けど亜希が本行を好きだという気持ち、
相変わらず本行はしっくり来ないまま。
ただ、亜希に嫌われてしまうこと
だけはひどく怖がっているのか、
亜希が嫌がるようなことを極力
しないように過剰なまでに意識
した行動をとっているとわかった。
本行のこと、気持ちの面でもやはり
謎なこと理解できないことが多い
ままではあるけれど、可能性として
自分に勝ちを見出だせていない。
その可能性は十分にあると思う。
寂しいけどね、自分が好きな人が
自分をそう思ってるんだとしたら。
でももしそうなんだとしたら、
それらを正しく理解出来たなら
本行が何を思っているのかも
今よりはわかるかもしれない。
(ちゃんと本行と向きあってみたい。)
亜希はそう思ったから、そのために
これからどうするか心を決めたようだ。

ようやく長谷と話をするその日に
なったが‥結局長谷がどんな答えを
出しても付き合うのは無理と言う
亜希、今はできないけどもう少し
待って欲しい(別れたくない)と
言う長谷‥両者譲らずだった。
長谷が亜希に対して見ていた幻想
のようなものはとけたようだけど
それでもやはり亜希は特別みたい。
長谷が本気で亜希の気持ちに
向き合うのが遅すぎたんだろう。
きっともう亜希はグラつかない。

どちらも譲らないまま、食事をして
いたお店が閉店時間になって2人は
帰り道につく、何の答えも出ぬまま。
店を出てしばらくの間だまったままの
2人だったけど、ようやく口を開いた
長谷はどうしてもダメなのかと、再度
気持ちを確認し、亜希は無理と答えた。
「--今、なら、今だったら何か
--たぶん…………………だから、
挑戦、させてほしい。いっかい。」
今はまだ無理と言っていたその日のこと、
‥実際覚悟が決まっていたかわからない
けど本当にすがるような思いだったろう。
少し前の亜希だったらグラついていた。
流されてしまうような長谷の態度に、
亜希はなんとか自分を抑えたようだ。
長谷の方も、もう本気でどうにも
ならないんだと関係の解消を認めた。
亜希こういうのに弱いものね‥
それでもここでグラつきかけた
のに自分を止めた亜希はほんと
偉いと思ったし、自分のためにも
長谷のためにもこれ以上は決して
グラつかないでほしいと願った。
やっと真っ直ぐな気持ちで本行に
向き合うと決めたんだから‥この
まままっすぐ進み続けて欲しい。

それからの日々は、本行と向き合うと
決めたはいいものの実際に何をすると
いうプランがあるわけでもなかった。
ただ、少し前からずっと長谷は亜希
と仲良くなるためにどこに行くにも
ついてきたりいろいろ手伝おうと
してくれていて、相変わらず一緒に
過ごす時間は多かったように思う。
一緒に買い物に出た日、公園で休憩
がてらアイスを食べながら話をした。
「寺田さんが誰とも
つきあってないと安心する。」
「いやだ、寺田さんがいなくなるのは。」
長谷と話をして別れたこと、近い
うちにあの部屋から出ていくこと‥
伝えるとこんな反応が返ってきた。
本行の頭の中のややこしい感情は
やっぱりよくわからないけれど、
事実に対する感想のような本行の
言葉、気持ちの理由はやっぱりどう
考えても好きなんじゃないの?と思う。
亜希の言う通り、それ以外の
答えが見つからないくらいだ。
でも、本行はまたも否定する。
「そういうのとはやっぱりちょっと
違うんだと思う……たぶん。」
………
えーっと、ほんとどういうことなん。
本行は何を思っているんだろう。
まだまだ彼を理解するには程遠い、
近いうちに出ていくというのはほぼ
決定事項だろう、けじめとしても
出ていくべきだろうと思うし。
それで、本行は、どうするか。
好きだと言うならきっといくらでも
動きようがあるだろうけど、違うと
いうなら出ていくという亜希を
引き止めることは出来ないだろうし
出ていったらもう関係は終わるだろう。
本行ってほんと何を考えてるんだろ。
~ひとこと~
亜希の『はぁ?』で終わりました 笑
ほんと、疑問とやや怒りがこみ上げて
来そうなほど本行は謎だらけ (^o^;)
亜希の恋に明るい未来はあるのか、
この先に良い変化はあるのだろうか。
時間はかかるかもしれないしそう
簡単ではないかもしれないけど、
きっと亜希はもう逃げないだろう。
どれだけ時間がかかってもきちんと
向き合ってお互い納得のいく答えを
見つけられることを願います。