著:石田拓実 先生

シェアハウス解散..なんて大事を
口にしながらも直後話題を戻して
旅行話を進めようとしてくる長谷。
曖昧なことを言われて戸惑う亜希
だが、自分の決断はこのみんなとの
シェアハウスを解散させてしまうって
ことなんじゃ..あかりや本行の顔を
思い浮かべてそんなことを考えた。
それでも今は長谷のことを考えると
決めた、前に進むと決めたんだと
それ以上のことを考えるのをやめた。
本行は部屋にこもることが多くなり
しばらく顔を合わせていない状態。
こんな状況が続いて近い将来シェア
ハウスも解散して、さよならすることに
なってしまう可能性も十分にあるんだ。
変わっていく、どうあがいたって
このままではいられないんだろうね。
そんなことを思って、亜希はどこか
寂しいような気持ちを抱いたのかな。
本行への気持ちも消えきらないまま、
あかりと過ごす時間も楽しかったろう。
そういうのが無くなるのはやっぱり、
簡単に受け入れられる変化ではない。
一体どうなってしまうんだろうか。

旅行、という話は長谷が用意してくれた
一泊の温泉旅行に決定、周りの景色もいい
the旅館って感じのキレイな宿で、室内に
小さめの露天風呂もついているような所。
でも寝室は布団ではなくベッドがあって。
亜希にとっては夜のそういうのも想定内
の旅行で、いまいち落ち着かない様子を
見せながらも気持ちいい温泉、美味しい
料理ですっかり楽しい時間を満喫した。
その中でいい雰囲気になってキスしたり
するくらいはあった、ハグだってあった。
でもそこから先に進むことはないまま、
それぞれのベッドに入り眠りについた。
先に、招き入れる様子もなく一人で
ベッドに入ってしまった長谷に対して
自分からそこに入っていくようなこと
亜希には出来るわけもなく、ただ眠る。
室内露天風呂、くっつかないと入れ
ないような小さいものでそれに入った
時、何の反応も示さない長谷のそれに
気づいてしまった亜希は、ただただ
漠然とした不安に襲われしまった。
そういう本能的な部分で求められない
ってのはやっぱり不安にもなるよね。
比べるのは失礼かもだけど、身体の
関係だけは十分だったから、本行。
付き合う前までの話だったけども。
態度や言動からもすごく愛されてる
って感じるのに、身体の関係だけは
不安を感じてしまうことが多い長谷。
どっちが、いいんだろうかね。
極端だからこそ、しんどいわ。

亜希の旅行の誘いにあった目的の
一つは何もなくただ楽しい旅行で
終わってしまったわけだが‥
長谷だって元々そういう目的が
なかったわけではなかったようだ。
流れでそうなったんであろう本行
との差をつけるためにも、長谷は
程よい宿を見つけその先でもいい
雰囲気を作ろうとしてきたんだろう。
でもいざとなると、緊張してる?
全くそういう感じになれない長谷。
それは数回続いて、結局何もなく
旅行は終わってしまったんだけど。
亜希のことを好きだって気持ちは
すぐに溢れてくるのに、長谷は
それだけで満たされてしまうのか
その先へ進もうとはしなかった。
そばにいて、亜希のいろんな表情が
見られて、寝て起きたらすぐ隣に
亜希が眠っていて..それでもう
長谷の心は満たされているようだ。
(とりあえず俺は、寺田さんと
一緒にいられるならそれで……。)
熟年夫婦かな? 笑
長谷はそういう人なのかな。
亜希に対してはって感じだけど。
愛情の向かう方向は人それぞれ、
長谷がおかしいわけでもないし
亜希がおかしいわけでもない。
それでも、想い合えてもその
愛情の方向が噛み合っていない
今の現状のままでは、きっと
すぐに亜希が辛くなるよね。

「トモがこんな近くにいたんじゃ
不安定にもなるよな………………
やっぱり早く2人にも言わなきゃね。
シェアハウス解散のこと。」
あやふやにされていた解散の話、
まだ亜希には引っかかる部分が
あるように思えたけどそれでも
元カレと今彼と同じ場所に住んで
いるこの状況は確かに良くはない。
そしてそういう行為は別としても
自分を必要としてくれて愛情表現を
してくれる長谷のそういう考えを、
亜希は受け入れようと考え始めた。
もうじき本行はあの約束を遂げる。
小説を書き終える頃だと思うよ。
本行と長谷の約束は、亜希は
まだ知らないままだけれど..
亜希の心は定まりそうでまだ
不安定なのが続きそうです。

長谷の口から、本行とあかりに
シェアハウス解散話を伝えた。
「いやだ、絶対ムリ、出てかない。」
でもずももももぉおおおっていう
効果音が付きそうなくらいすごい
形相で本行は断固拒否の姿勢だ。
受け入れようとしていたあかりも、
本行の様子を見ると対応を変える。
「私も賛同しかねるわ。」
「私のごはんはどうなるの?」
あかりは亜希のご飯が大好きなので
決して嘘ではなかったと思うけど、
やはり意見を反対する方向にした
のは本行の態度を見てのことだろう。
決して冗談で言っているわけでは
なく、存外本気だとあかりは言った。
本行のためだったろう、でも他にも
4人の話し合いの場でお茶を入れたり
して部外者を装う亜希や、最近どこか
様子がおかしい面がちらちら見える
長谷に不安を覚えていてってことも
彼女の中にはあったのかもしれない。
そんな詳細がわかるのは少し後
になってからのことなんだけど。
今簡単に、じゃあ解散しましょうと
言ってしまうには不安が大きいわ。
一歩も譲ろうとしないあかりの態度に
今日のところはこの辺にして、また
おいおい話していこうということに。

自分から積極的にそういう行為を
しようとしない長谷に対し、亜希
はしたくないのかと訪ねたことが
あった。でも対して長谷は言った。
自分としたいんじゃなく、自分と
しなければいけないって気持ちが
あって焦ってるんじゃないかって。
そう言われたことに対して、亜希
なりにまた考えていたんだろうね。
それで彼女なりの答えを出して、
改めてした提案だったのだけど..
..長谷よ、なんというか、ほんと。
「そんなことしなくても俺は十分
寺田さんが好きだし……そばにいて
kるえるだけですごく嬉しいから。」
長谷の発言に、亜希の想いを尊重
する部分はほぼゼロである気がした。
長谷にしろ本行にしろ、なんだか
随分と両極端な人ばかりだなぁ。
亜希の好きになる人はどうしても
自分が苦労するタイプばかりね。

長谷の発言で既に大混乱、いっぱい
いっぱいの亜希に更に混乱させる
ことを言ってきたのは本行だった。
これまでは、どんなことに対しても
曖昧な言葉で誤魔化してきた本行。
例の約束のことで頭が硬すぎるのか
誤魔化しが下手くそだったせいだが。
それを今更になってから、本音を
ぶつけてくるんだ、わがままに
しか聞こえないような言い方で 笑
でもまだ本行のことが好きな亜希は
どうしても期待してしまいそうになる。
そんな自分を止めるためだったのかも。
「本行は私のこと別に
好きではないんだよね…!?」
これまで、聞いてこなかった内容。
きっと怖くて聞けなかった内容を
亜希は今になって聞いてしまった。
ようやく本行の気持ちを知れる時が
来たのだろうか..続きは次巻です!
~ひとこと~
私はずーっともやもやしています 笑
恋なんて所詮はタイミングなわけで、
きっとこのまま本行のことは亜希の中
から少しずつ薄れてって亜希は長谷に
夢中に..って未来もなくはないだろう。
でもやっぱりいろいろとすっきり
しない部分が多すぎて、長谷に対する
苦手意識が強くなってきている私には
何とかして本行と亜希をくっつけたい
なんて、思ってしまっています 笑
最終的に決めるのは亜希だけど、
どっちと付き合っても悩むんだから
本当に好きな人と両想いになれる
可能性があるなら、少し頑張って
見てもいいと私は思ってしまう。
彼らのシェアハウスがこの先どう
なってしまうかわからないけれど、
もやもやしたままではなく最終的
にはすっきりして、亜希も本行も
幸せになれたらいいなと願います。
もちろん、形はそれぞれだけれど
あかりや長谷の幸せも願いたい。
長々失礼致しました。
それではまた次巻お付き合い下さい。